表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/81

第3話 沈黙

 

 そして翌日。いつもよりも早い時間に起きた。

 ストーカーの夢を見たからか、朝からどっと疲れた。

 大学生である姉ちゃんは授業が昼かららしく、まだ寝ている。


 今日は、一人で朝の用事は済まさなくてはならない。

 勿論姉ちゃんに対して不満があるわけではない。と姉ちゃんはしっかりと夜ご飯を作ったり家事をしてくれているのだ。


 今日くらいはゆっくりと寝ていて欲しい物だ。


 何しろ、姉ちゃんの事は苦手なだけで、嫌いなわけではない。



 そして、お父さんも今日は珍しく休みらしく寝ている。

 お父さんは不定休なのだ。


 僕は、卵にしょうゆを入れかき混ぜ、ご飯の上にかけて食べた。

 うん。卵ご飯は美味しい。


 そして僕は家を出た。


 その足は重い、とまではいかないが、軽やかなものではない。

 何しろあのストーカー女、御堂鈴美がいるのだ。

 せめてクラス、もしくは席が別だったらな、と願ってしまう。



 昨日のアレはまさにホラー物だ。

 そして電車に乗り、スマホをいじる。


 御堂さんは流石に電車の中にはいないようでほっとした。

 そして僕は毎週更新のWEB漫画を読む。




「おはよー!」



 電車から降りて早速そう言われた僕の気持ちを答えて欲しい。


 もし国語のテストでこんな問題が出たらボーナス問題だろう。

 40人のクラスだとしたら、38人は少なくとも解けるだろう。


 やっぱりいるのか、ストーカー女。



 返事をするつもりなんてない。

 返事をする必要なんてないのだ。


 だって、僕は彼女の友達ではないのだから。


「ねえ、返事してよ」


 これは空気だ。そう空気だ。

 返事をする必要なんてさらさらない。

 ただの雑音だ。


 町の中にいたら聞こえてくるものだ。

 聞きたくなくても、他人の喋り声や、会話の内容が。



「ねえ、ねえってば!!」


 彼女はついに肩を掴んできた。

 くそ、ここまでやるか。しつこすぎるんだよ。

 だめだ、いけない。僕はあくまでもこれを無視しなければならない。


 僕はハエを払うように彼女の手を跳ねのけて、進む。

 彼女の思い通りにはさせない。

 あくまでも無視無視無視だ。


 無視を続けていればいつかは諦めてくれるはずだ。



 もし、しつこいようだったら警察やら何かに頼めばいいだけの話だ。


 というか、周りから僕はどう見えているのだろうか。

 周りをふと見る。


 あ、これは思い切り嫉妬されているな。

 僕は好きで、こんな謎の好かれ方をされてるわけでは無いのに。


 そもそもこいつは特級呪物なんじゃなかったか?

 それはクラス内で言われてるだけなのか?


 そして苛々としたのか、ついに僕の隣を歩いてきた。



 これは周りから見たらデートに見えるだろう。

 でも僕はそんな気分にはならない。

 むしろ、拷問を受けているかのような気分だ。


 腸が煮えくり返そうだ。

 少しずつ吐き気がしてくる。


 まさに地獄、その一言だ。


「なあ」


 僕はそう口にした。

 あまり、話しかけたくなかったのだが、こうなってしまったらもう仕方がない。

 話しかけない方が、きつい状況にあるのだ。


「なに?」


 目を輝かせている。そんなに僕の返事が欲しかったのか。


「もう、付きまとうのはやめてくれ。僕には女子という生物がトラウマなんだ」


 今こうして話をするのもだいぶしんどい。心臓の鼓動が早くなっている。

 恐怖心から来る緊張。正直今も過呼吸ぎりぎりだ。


「そりゃ、そうだよね。裏切られたらトラウマだよね。ごめんね。付きまとって」

「え?」

「じゃあね」


 そう言って彼女は走っていった。


 俺はそんな彼女をただ見送るしかなかった。

 いったいどういう事なんだ?


 それにそもそも、僕は一言も女子に裏切られたなんて言ってないよな。

 トラウマだとか、苦手と言った言葉しか言っていないはずだ。


 僕は少し怖くなった。背筋が震えている。


 もしかして彼女は僕の過去を知っているのか?

 その情報元はストーカー行為によるもので、僕の家も特定されているのかもしれない。


 そうなると、なぜ今彼女が諦めたのか。

 またわからなくなる。謎ばかりだ。




 教室に行くと、彼女は話しかけてこなかった。

 だが、その代わり、机に突っ伏して寝ていた。

 いや、あれは寝たふりか。



 僕に喋りかけることが出来ないから、今度はああやって同情を誘おうとしているのか。



 ふざけるな。僕はそんな事ごめんだ。


 あれから色々と思考がまとまってきた。


 彼女が素直に諦めたという可能性もある。しかし、今度はそんな事があるのかという疑問が生じる。あんなストーカー女が、女子がトラウマと言っただけで引き下がるわけがない。


 この時点で、彼女について考えてしまっていることが煩わしく思う。


 僕はどちらかというと、男子のことについて考えたいのだ。

 男子とどう仲良くなっていくかどうかを。


 まだ友達は作れていないのだ。



 漫画とかアニメのように転校生というだけですぐに質問攻めになるようなことはない。

 その事実を今痛感している。


 唯一話しかけられたのは、御堂さんを特級呪物と評したあのクラスメイトだけか。

 確か名前が、井達優希だったはずだ。


 

 それに怖いのだ。

 今、御堂鈴美が何を考えているのか。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ