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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第17話 いじめ(過去)



 そしてそのまま僕たちの恋人関係は続いて行った。

 正月も、一緒に初詣に行った。

 そして、新学期が始まった。


 新学期、三学期。そうなってくると、えななんとだいぶ長く過ごしてきたなと思う。


 そんなある日、「陽君、ちょっと案内したい場所があるんだけど」と言った。

 僕はそれにただ頷いた。


「今日は少し行きたいところがあるの。体育倉庫なんだけど」

「体育倉庫??」


 僕は驚いた。

 体育倉庫と言えば、カップルで行く体育倉庫と言えば、妄想が膨らんでいく。

 イケナイ事だ。

 大人の階段を上る行為だ。


「ぜひ行きたいよ」

「ありがとう、じゃあ昼休みに待ってるね」


 昼休みに待ってる、とは言っても同じクラスなんだけどな。

 それに、えななんの顔が少し悲しそうに見えたのは気のせいだろうか。


 でも、詳しいことを考える必要はない。僕は昼を楽しみに待つだけだ。

 そして、すぐに昼休みになった。

 僕はすぐさま体育館倉庫まで駆けだしていった。


 楽しみな気持ちであふれていた。


 僕が体育館倉庫に着くと、


「は?」


 そこにはえななんだけじゃなくて、相沢美冬さんたちもいる。そして次の瞬間、扉が閉められた。

 ガチャンと。


「これはどういう事ですか?」

「陽君ごめんね」


 そう言ってえななんは髪の毛を手でかき上げ、


「本当にあたしが彼女になると思ってるの?」


 と、言い放った。


「あたしは」


 えななんがそう言った瞬間、頬に強い衝撃を感じた。


「あたしがお前みたいなブスと付き合うわけないだろ」


 その言葉は僕に強くのしかかった。

 何を言っているんだ?


「そうだよ、何か勘違いしてたんじゃないのか? 馬鹿だろ、こんな嘘告白信じて」


 笑いながら相沢さんが言った。


「うちらは共同でてめえをだましてたんだよ。そのために行きたくもないデートなんかに行って、ご機嫌取りしてたんだからな」

「うん。あたしもつらかった」


 そう言ってえななんは泣きまねをする。

 辛かった?

 楽しそうにしてたのに、あの時間が苦痛だったのか?


「あー、そのリアクション面白いわ。ほんとえなっちには感謝しかないわ」


 なあ、夢と言ってくれよ。


「うん。本当に感謝して欲しい。あたしだって苦労したんだし」

「うん、本当に感謝してますえなっち様」


 僕とえななんの3ヶ月を否定しないでくれよ。


「さて、体育館倉庫でエッチなことをすると思っていたカスにはここでお仕置きをしないとな。このエロ猿」

「いいねー」


 えななんも否定してくれ。


「僕たちはカップルじゃなかったのか、僕たちは愛を誓いあったカップルじゃなかったのか?」

「ウケる」


 えななんはその一言しか返してくれなかった。

 今までの関係が嘘だった。

 僕はようやく現状を受け入れた。その瞬間、目から涙が零れ落ちる。


「泣いてやんの」

「泣くことないっしょ」


 そんなことを言っている陽キャたちを前に、僕の心は思考を始めている。

 僕たちはカップルだったのに。



「もっとリアクションしてくれないと、面白くないなあ」

「確かに!!」


 これを僕は知っている。



 

 たしか僕のお父さんも浮気をされたのだ。お母さんに裏切られたのだ。


 そこから養育権だけは守ったが、その代償にかなりのお金を取られた。財産分与という物だ。


 勿論、養育費が払われるわけがない。調べたところ、父親の養育費の支払う確率よりも女性の方がはるかに低い。


 それから父さんは余儀なく貧しい暮らしをさせられたのだ。

 姉ちゃんは、貧しい暮らしの中で、僕の世話をしてくれている。

 だけど、姉ちゃんは僕のお母さんに似ているのだ。

 だから姉ちゃんには悪いけど、少し苦手だ。



 あの時の言葉を今も忘れはしない。



「いい? 私はお父さんに追い出されたの」

「なんで私のところに来ないの?」

「あなたは実の母親よりも、あの父親を選ぶのね。血も繋がっていないあの父親を」

「あんたなんて私の子どもじゃない」


 まだ7歳だった僕はその時のことをあまり覚えていない。


 しかし、当時かなりのショックに襲われたことは言うまでもないだろう。


 あの時と同じ感覚がした。


「おうっええええええ」


 僕はその場で軽い吐き気がし、中の物を吐いた。

 幸いそこまでの量は無かったのか、昼ご飯自体をまだ食べていなかったからか、そこまでの量は地面に吐き散らかしていない。

 しかし、それもまた嘲笑の的となった。


「あたしたちに掃除をさせんのかよー」


 そうゲラゲラと笑う陽キャたち。


 僕は天国を信じてここに来たのに、地獄を味わう事となった。

 ああ、そうじゃないか。何を僕は勘違いしてたんだろう。

 人間、特に陽キャ女子というのは悪魔だという事に。


 僕はそれから心を閉ざした。

 もはや、感情を出しても無駄だ。それを利用され笑われるだけなんだから。




 その日からどんどんといじめはエスカレートしていく。


 トイレに顔を突っ込まれたこともあれば、ロッカーの仲がぐちゃぐちゃに案ってたり、教科書が水にぬれてたり、もう、両手の指では数えられないくらいの苦痛を味わった。


「ねえ、あんたどうしたの?」


 ある日、姉ちゃんに言われた。


「最近学校に行く足が震えてるよ」


 そうだろうか、僕にはよくわからない。


「学校で嫌な事でもあったの?」

「そんなのない」


 僕は首を振った。

 何が言いたいのか分からない。


 あるにはあるけど、姉ちゃんには言いたくない。

 女子である姉ちゃんになんか。

 僕はあれから女子、それが姉ちゃんであったとしても信用することが出来なくなってしまっている。

 ちょっと苦手だったのが完全に苦手になっている。


 姉ちゃんの顔が声が、お母さんの声に聞こえる。芹原さんの声に聞こえる。

 そのたびに吐きそうになる。


 姉ちゃんもいつまでも僕の味方なんてことがあるか?

 そんなことはない。


 それに僕も何も考えてないわけじゃない。

 僕だって逃げ道を考えているんだ。


 姉ちゃんは心配そうな顔でこちらを見ている。

 僕は今日は虐められに行く。

 これは女子を信用してしまった僕が悪いんだから。


 僕は悪口に着く時間を遅らせる。

 先生に虐めの件を相談したが、まともに取り合ってくれなかった。

 それどころか嘲笑されてしまった。


 あの二人に限ってそんな訳ないだろと、笑い気味に。

 しかも最悪な事に「いじめの件は本当か?」と訊いたらしい。

 そのせいでいじめは更にデッドヒートした、

 その時点で、僕は先生に対して何の期待もしなくなった。


 だから僕が今考えているのは転校だ。

 僕は幸い勉強ができる。そして、とある高校では来年のよ月からの転入生を募集しているそうだ。

 そこに僕が転入試験を受け合格して見せれば僕はこの地獄から解放されるのだ。

 その時まで我慢するべきなのだ。


 僕は今日、父さんに頼むのだ。

 転校試験をうけさせて欲しいと。


 僕はいじめが辛い訳じゃない。

 僕はえななん、芹原の顔を見るのが辛いのだ。

 騙されてた自分を見ているようで。

 間抜けな自分を知ら占められているようで。


 僕は、この地獄から抜け出すために頑張りたいのだ。


 その日の夜。僕はお父さんのもとに行った。久しぶりに帰ってきたのだ。


「お父さん、話があるんだけど」

「どうしたんだい?」


 僕のお父さんは、背が高く、眼鏡をかけている。

 僕から見て結構イケメンだと思っている。


「転校したい」


 僕のその言葉に父さんは目を丸くした。


「それはどうしてだい?」

「僕は虐められているんだ」


 僕は物怖じせずに言い切った父さんはなるほどと頷いて見せた。


「詳しく教えてくれないかい?」

「うん、わかった」


 そして話は始まって行った。

 僕の現状を教えた。嘘告白をされたと、それからいじめが始まって行ったと、女子が怖くなったと。

 その言葉を聞いて、父さんはもう一度頷く。


「分かった。そうとあるならば僕も検討しよう」


 父さんのその言葉に、僕はほっと息を吐いた。


「ただし。編入試験に合格する自信があるんだね」


 僕はその言葉に強く「はいっ!!」と言った。


「それで学校はどうする?」

「僕は……」


 僕は行きたくない。しかし、何も言わずにお別れは嫌だ。


 だから、芹原にメッセージアプリで「ばいばい」とだけ送り、ブロックをした。


 そこから僕は猛勉強をし、頑張って合格点に乗せた。転入試験は緊張したが、なんとか合格することが出来た。


 僕は翌年の五月から学校に通う事になった。は

これにて過去編終わりです……!!

そして、次話は?

お楽しみにです!

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