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壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優


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第16話 劇(過去)

 そして劇当日。

 その日も僕は精いっぱいのおしゃれをしてきた。

 とは言っても僕にできる範囲ではあるが。


 というのも姉ちゃんに服を決めてくれたのだ。これで、僕は今日多少はえななんと肩を並べられるのではないか。



 しかし幸せだ。まさか僕がえななんと、学校のマドンナと一緒にクリスマスデートに行けるとは。

 夜デートではないが十分に幸せだ。

 僕が待ち合わせ場所に行くと、えななんはもう既にいた。


「あ、おはよう陽君」

「おはよう、えななん。待った?」

「待ったよ。ほら、あたしに罰金払ってね」

「ええ」

「当然でしょ」そう言うとすぐにえななんは「アハハ」と言って笑った。

 僕もそれに合わせて笑う。


「待ったと言っても、3分くらいだよ。ほら行こ」


 そう言ってえななんは僕の手を引っ張る。

 その手は相変わらず暖かかった。


 今日のえななんも可愛らしい。一瞬でも釣り合えるかなと思ってしまったのが恥ずかしく思ってしまう。


 そのまま二人で歩き、劇場に行く。

 今日の劇はクリスマスに関係がある物らしい。というのもまさにそれはキリスト教関連の劇、イエス・キリストに関係するものらしかった。

 僕は無宗教だ。というかそもそもこの国はあまり宗教に寛容だと思う。

 お正月には神社に行くのに、今日はキリスト教関連の劇を見るんだし。


 席に着くころにはそこそこのお客さんがいた。

 この時点で人気の劇という事は頷ける。

 たったの千五百円で見られる劇という事で、マイナーな層にも人気なのだろう。


 僕とえななんは隣同士の席に座る。


 えななんが隣にいるとやっぱりどきどきはする。

 僕は京劇に集中できるのだろうか。それが気掛かりな事実だ。


「ね、今日の劇を見れば、イエスキリストのことが分かるんだって」

「そうだね。当時はローマ帝国なんだっけ」

「うん、その地区を治める人が、ユダヤ人を苦しめてたんだって、そしてその中で生まれた救世主がイエスキリストらしい」

「へー」

 僕は頷く。


「クリスマスらしい劇だから楽しみだね」

「うんっ!」


 えななんの笑顔、素晴らしい。

 そして劇が始まって行った。

 劇は終始コミカルな感じだった。

 この劇では、イエスキリストの生誕までを主にやるみたいだ。

 そして、「エルサレムに行こう」とみんなが言っている。

 しかし、劇の演者の演技力も素晴らしいなと思った。



「はあ、良かったね。下手な映画見るより楽しい」


 えななんはそう笑顔で言う。

 そんなえななんを見るとなんだかうれしくなる。


「まだ時間あるけど、どうする?」


 その言葉に僕は軽くつばを飲み込む。

 僕の方を覗き込むえななんの姿が美しかったのだ。

 僕は少し考えて、「昼ご飯食べに行こう」と言った。


 そうはいったものの困った。「陽太の行きたいところに行きたいなー」と言われた。

 ファミレスあたりでいいかなと思っていたが、この流れで本当にファミレスを選んでいいのだろうかと、少し怖くなってくる。


 でも、僕が最初にクリスマスマーケットに行かない? と訊いたら高いからダメって言われたし、僕もそこまでお金があるわけじゃない。それに

 二人でファミレスに行ったこともある。そのことを踏まえれば全然かまわないはずだ。

 ならば、と。


 結局ファミレスに行った。


「結局ファミレスなのね」


 えななんはそう呟いた。


「ごめん」

「いや、そう言う意味で言ったんじゃないよ。学生の身ではファミレスが正解だし、今のはあたしが陽君を虐めたかっただけ」


 そう笑って、えななんがメニュー表を開く。

 でも確かに今日は劇代でお金を使っている。

 そこから考えればそこまでのお金を使えない。

 僕はバイトをしているわけじゃないし、養ってもらってる立場なのだ。


 僕はハンバーグを頼む。前と一緒だ。


「ねえ、陽くん」


 色っぽい口調でえななんは言う。


「これからどうなるかは分からないけど、あたしは陽君の味方だから」


 その言葉の意味が分からなかった。

 でも僕は「うん」と頷いて見せた。

 えななんは何を言っているのだろうか。


 味方って、それは当然の話だろって思ってしまう。


 えななんは何かを隠しているのだろうか。


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