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「ぬとっとしてたんだって。いやぬちょっと?」
「どっちでもいいだろ、そこは」
サフィアン様は呆れつつも私の言葉に応えるあたり、本当に生真面目な人だなあと思う。
いや、なんていうかね、サフィアン様はアナベルのことがとても好きなんだよ。
好きだし愛しているからこそ、婿入りしてもいいやって思ってこのノクス公爵領に自ら足を運んで公爵様に頭を下げて婚約者になったんだもんね。
ようやく見つけた可愛いアナベルとちょっと過ごしたところで結婚の話……なんて公爵様も受け入れがたかったに違いない。
とはいえ、跡取りな立場の貴族令嬢としては婚約者がいないのは結構辛い話だし、そういう意味で王族で有能、さらに年齢も釣り合うという優良物件ぶりを発揮したサフィアン様以上にいい相手も見つからないし、とても複雑だったんじゃないかしら。
(っていっても正直、ノクス公爵領って他の領地に比べるとなんかこう、違うんだよな……)
私もこの出自と育ちのおかげで国内各地を渡り歩いた経験のある人間なので断言しちゃうけど、ノクス公爵領は他のどの地域よりもキツく、そして特殊だ。
そこら辺は説明すると長くなるから割愛!
人々もかなりこう……王族よりもノクス公爵家の人を敬っている感があるんだよね。
そのくらい、この土地ではノクス公爵家ってのが特別なのだ。
まあ、魔獣が多く発生するわ厳しい天候が続く土地だってこともあって、王家からの支援よりも遥か膨大な尽力を見せてくれているノクス公爵家の方が領民からしてみたらありがたい存在であることは間違いない。
なんせここは本来捨てられた土地って言われるほどだったけど、暮らしている国民のためにって初代ノクス公爵が自ら志願して……ってそれもどうでもいいわ、この際。
とにかく、ノクス公爵家ってのが特別って話。
(……しかも公爵家の人たち自身も特殊なんだよな)
強力な水系の魔力を有した、王族から分かたれた家系。
それだけでもまあパワーワードだらけだなと思うんだけど、なんかこう……性格が独特っていうか、身内に入れたら大事にするけど敵対したら……みたいな面が強いというか。
そう、シリウスがいい例だと思う。
そういう意味ではアナベルも似たような性格をしているってサフィアン様も言ってた。
そしてノクス公爵家は、割と来る者を拒まない。
それはどのような相手が来ても、自分らで対処できるとわかっているから。
実際できるってのがすごいところなんだけどさ……物理的にも財力的にも、メンタル面でも強いからさ……。怖いよね!
そういう意味で、外から来る者を拒まない……割に、受け入れない。
だから敵も多いってわけ。
サフィアン様を受け入れたのは、そういう相手への渉外役として適任だろうと公爵様が踏んだってのもある。
王族を使い倒してやろうとする、そういうところやぞ……。
「王女だけじゃなくてその護衛まで相手にしなくちゃならないなんて、お前も大変だな」
「そこは弱者を救うために手助けしてやろうとか、そういう博愛精神を示すところでは?」
「救うべき弱者かどうかは議論の余地があると思うが、その役割を担うのはお前の婚約者だろう」
「そもそもその婚約者のせいですけど?」
「……まあそいつを選んだのが運の尽きだ。いや、選ばなくても多分拒否権なかったけど」
「じゃあやっぱ私弱者じゃん!?」
私、弱者じゃん!?(立場が)
新年一発目がこれかよ!と思われるかもしれませんが()
今年もよろしくお願いしまーす!!°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°




