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みなさまメリークリスマス!!
「……わたくしの後ろにいるのは護衛を務めるルーラントですわ。ルーラント、自己紹介なさい」
「は」
私のことを憎々しげに見たあとに、顎でくいっとやるその仕草。
うーん、悪役みたいですよ王女様!
そうして王女様の後ろに立っていたひょろっとした男……だけど、とても強い人だ。
見た目ひょろっとしているからって弱いとは限らない。
(逆にその見た目を利用して先手を取ってくるタイプだな、あれ……)
なんだか私と同類っぽいぞ。
才能の面で言えば私よりずっとあるだろうけどなァ!!
ははっ、自分で言っててかーなしー……。
(あれっ? ルーラント……ルーラントってどっかで聞いたな)
ひょろっちくて、強い。
そして名前がルーラント。
どっかで聞いたことがあるんだけど……どこでだっけ?
そう思う私をよそに、ルーラントさんは丁寧なお辞儀をしてくれた。
その所作はとても綺麗で、さすが王族の護衛を務めるだけあってこの人は貴族なんだな……と察する。
「ただいま紹介に与りました、ルーラント・クレイと申します。クレイ公爵家の一員として、此度の滞在中に是非ノクス公爵家の皆様方と切磋琢磨できたらと考えております」
クレイ公爵家。えっ、公爵家って偉い人じゃん……?
ぎょっとする私の中で、唐突に思い出した。
そう、カーリーン王女は故国で、公爵家の人である騎士と婚約していた。
いずれ弟王子に王太子の座を譲り、公爵家の嫡男に嫁ぐ予定だったわけだ。
そしてその公爵家の嫡男であり、騎士であり、次期将軍職を有望視されている人物……それこそが目の前にいるルーラント・クレイだ。
でも私が知っているのは、そこじゃない。
彼の異名である。
(……影喰いルーラント……!)
暗殺者界隈で有名な、『影喰い』ルーラント。
影に潜む暗殺者たちを悉く撃退した彼につけられた、裏稼業界隈での呼び名。
思わずひゅっとなったけどまあそりゃ私には関係のない人なので……。
「元婚約者を同行なさるとは、とても仲がよろしいようだ」
しれっとシリウスがぶち込んできたけど、そこはそれ、王女様も負けてない。
にこりと微笑んでシリウスを見つめたまま言い切った。
「正しい道を見せるのも、飼い主の役割ですもの」
偉い人の会話って、いやぁねえ! もう!!
でも……そうか、影喰いかあ。
私とはそりが合わないっていうか、私を狙わせている可能性もあるんだよね……?
いやいや、フった相手のために隣国の要人の婚約者を暗殺するかって言ったらその立場で考えたらあり得ない気もするんだどさ。
王女様がこの王女様だからなあ……。
「よろしくお願いいたします、ルーラント様」
「セレン様も、どうぞよろしくお願いいたします」
なんだか私を見る目がぬとっとしてんのは……気のせい、にしたいなあ!!




