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主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?  作者: 玉響なつめ
第六章 まあ人それぞれってことで!
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 シリウスがちょっと長いこと出るらしい。

 といっても一週間程度の討伐任務なんだけどね。

 

 そりゃもうグズグズ言ってたけど本人もなんともならないことはわかっていたから、何度も振り返りながら出て行った。


(……で、心配してくれるのはありがたいけど)


 食料も水も保存食も含めてばっちり用意してくれて、お菓子の類いも保存魔法の効いた箱(勿論高額)を用意して、万が一の戦闘のための武器まで用意と至れり尽くせりなんだけど……。


「私が出て行かないと信じてる……ってよりは信じたい、が正しいかなあ」


 玄関ドアの鍵は相変わらず三重で、私の知らない魔法だ。

 ……でも本当のことを言えば、私は出ようと思えば出られる。


 だって私の特殊技能は『分析』なのだから。

 勿論、物理的な……毒とか物質の方がいいけど、それでも魔法もまた一つの組み上げられた作品のようなもの。


 言ってしまえば火の弾を飛ばす魔法なんかはざっくりと『火を生み出す』『火を絶やさない』『位置を移動させても消えない』『固形物にぶつかればそれらの制約は解除される』四つくらいの要素で構成される。

 だからこれそのものを全部潰すんじゃなくて、ただ火を消したい場合だったらどれか一つを書き換えてしまえばいいのだ。


 一番外側の『固形物にぶつかればそれらは解除される』は全部を内包しているけど、書き換え方が思いつかない場合はその前の『位置を移動させたら消える(・・・)』に書き換えてしまえば火を生み出しても撃ち出せないってわけ。

 

 とはいえこれ、便利そうに見えて戦闘中は使えないから難点である。

 だって私の能力的に分析して書き換えることはできても、魔力量が低い分だけ干渉に時間がかかる。

 その間に向こうが魔法を発動して攻撃されたら元も子もないじゃない!?


 ってなわけで罠の解錠なんかには適している……んだけど、私の魔力量が低いので数をこなせない。

 だからこの特殊技能、宝の持ち腐れなんだよね!!


 組む相手がいたら別だと思うけど……逆を言えば分析と分解を持っていても私一人では役に立たないからこれまでもそこまで目立たずにやってこれたんだと思う。

 ちなみに分解は自分の中の毒素を消すだけで魔力が尽きたので、正直コスパ悪すぎぃ。


(……そう、なんだよなあ)


 分析して書き換える。私にはそれができる。

 そしてそれを、シリウスは知っている。


 だって私が教えたもん!!


 だから目の前に広がる三つの扉を、時間をかけていいんだから私は解錠できる可能性が高いってことよ……!

 あっ、ちなみに窓とかそういうところの魔法はものすごく強固なものだったから無理。

 

 万が一、この家の周辺に置かれた魔獣よけの護符を突破してくるような危険な魔物対策ですごいのにしているらしいからね!


「……ちょっとした退屈凌ぎにやってみるかあ」


 シリウスは、私がここを出て行くかもしれない可能性を理解した上でいつも通り(・・・・・)出て行った。

 

 それは私への信頼の証なんだろうか?

 それともただの試し行動?

 あるいは、私にただ希望を持たせて解錠できないと踏んでいるのか……。


 期間は一週間。

 答えは、その先にあるような気がした。

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