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 そして私の決意は、シリウスに満面の笑みで受け入れてもらった。

 そりゃもう喜ばれた。

 なんだかこう、大型犬が大喜びしてはしゃぐ姿を想像してくれたらいいと思う。


 実際には身長百九十を越えているであろう大柄な美形男性が大喜びしていただけなんだけども……なんかもう、大型犬にしか見えなかったことは内緒にしておこうと思う。


(……まあ生活に不自由はないし、シリウスが納得するまで恋人として過ごせば彼も冷静に現実を見られるようになるはず……)


 私もイケメンと恋人生活を送れるし、八方丸く収まるって寸法よ!


 自分の身の丈を忘れずにさえいれば勘違いもしないで済む。

 この幸せは永遠じゃないってね。


 ただいつかの別れを惜しんで、目先の幸せを蹴っ飛ばすのは勿体ないと思っただけのこと。

 それだけのこと。

 わかったな、自分!!


「セレン、これを……」


 そうして想いを交わした数日後、シリウスが私にプレゼントボックスを渡してきた。

 大きさ的に指輪じゃなくてホッとしたのは内緒だ!


 やりかねないからね……この人なら、いろんなプロセスを無視していきなり結婚とか言い出しそうだからね……!!


(よかった……まだ良識は捨ててないようで良かった……!)


 いや軟禁する人が良識とは……って話になるな。

 あまり深くは考えないでおこう!


「……チョーカー?」


 箱に入っていたのは、上質な濃紺のベルベット生地のチョーカーだった。

 なんとそこそこ大きな滴型の宝石……これはブルームーンストーンかな? がついているではないか。


「ああ、前々から用意はしていたんだ。特注品だったから少し時間がかかって」


「へえ」

 


(うわ、お高そう……)


「以前も言ったように、この家の扉は特定の魔力でしか開かない仕様になっている。だがこれがあればどの部屋でも行ける。玄関以外は」


「玄関以外は」


「ああ、あと窓とテラスも無理だな。破ろうとしても怪我をするだけだから止めた方がいい」


 爽やか笑顔で怖いことを言わないでくれるかな!?

 軟禁自体はやめないんだね! わかってたけど!!


「セレンが俺を受け入れてくれて嬉しい。この贈り物を用意していた甲斐があったよ」


「いつからこれを用意してたんですか……」


「そうだな、領地に戻る前には発注していたよ」


 シリウスの許可がなければ移動すら危うい軟禁にがっつり適した家を建て、室内の鍵となる術式を組み込んだチョーカーを用意して……って良識なんてやっぱりなかったな!

 どんなルート通ろうと軟禁コース一択じゃないかこれ。


 そして何よりこのチョーカー。

 色味がもうね……。

 

 黒にも見える濃紺は、彼の髪色。

 そしてブルームーンストーンは、灰青の彼の目の色に似たものだ。


(いや重たい。愛が重たい……!!)


 これまだ指輪の方がましだったのでは?

 しかもチョーカーだけど、見ようによってはこれ首輪じゃない?


 え? 大丈夫? 私やっぱり早まったかな……!?

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