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 シリウスが室内に入り、そのまま鍵の閉まる音がした。

 外に人がいるんだろうか?


「安心して欲しい、この家には誰もいない」


「えっ」


「俺とお前の二人だけだ。怪我の具合はどうだ? 起き上がれる程度には回復しているようで良かった……すまなかった、あんな強引な手を使って」


「え、ええと……?」


 待て待て、理解が追いつかない。

 今、シリウスはこの家って言った?


 家……ってことは、つまりまあ、ノクス公爵邸ではないってことよね?

 人払いとかそんなんじゃなくて『誰もいない』って確実に言ってたもんね?


「えっ、個人所有の家ってこと!?」


「ああ。お前と暮らすのに必要になると思って建てたんだ。とりあえずまだ病み上がりなんだし、無理するな。横になったまま話をしてくれて構わないから」


「え? ええと……? ありがとう、ございます……?」


 するりと私の手を取ってベッドまでエスコートしてくれるなんて思わずドキッとしてしまうシチュエーションかもしれないが、今の私にはキュンと来るものはない。

 そんなことしてる場合じゃないのよ、わけがわからない。


 なんだ?

 何言ってんだこの人?


 私の理解力が足りないのだろうか?

 

(今、私と暮らすための家とかって……えっ、言われたことないよね?)


 むしろ王宮騎士から公爵家の騎士になる話すらされていなかったはずなんだけど。

 いやまあ逃げ出したあの日にもしかしたらその旨を伝えてくれるつもりだったんじゃないかと今は考えられるけど……。


 それにしたって〝家を建てる〟って……えっ、シリウスと私は出会ってからまだ一年程度ですけど……!?

 いや逃げていた間に私を閉じ込めて報復するための館を準備したと言われたらそれも納得……


(できるかーーーー!!)


 逃げ出したのは!

 確かに悪いことだったけど!!


 こんな軟禁されるほどのことではないと思います、はい!


「あの、シリウス様……? ちょっと状況が飲み込めなくてですね……もしや私は罰を受けるんでしょうか……」


「罰? そんなわけはないだろう。俺が魔導銃を使ったのは、ああでもしないとセレンを捕まえられないと思ったからだ。俺としてもあんなものは使いたくなかったが……実力行使に出ないと君はまた逃げるだろう」


「いやまあ、それはその……」


 確かに何も言わず逃げたし、あの時も逃げたし……反論はできない。

 違うって言ったところで説得力がなさすぎだもんね。わかるわかる。


 いやでもそれはわかるけど軟禁は! やりすぎじゃないかな!?


「……はあ、わかりました。前回逃げたことも含め、お詫び申し上げます、きちんと話し合いに応じますし、もう逃げることもありませんから軟禁なんてしなくても……」


「別に問題ないだろう?」


「え?」


 えっ?

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