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 本日の私の戦闘服、それはメイド服――ではなく、侍女服だ!

 何が違うのかって?

そりゃもういろいろ違うんだよ。

 生地も違えばデザインも違うし、エプロンもないからね!!


 まあそこのへんのデザインについては各貴族家で違うらしいけど、ノクス公爵家はそうって話。

 ちなみにノクス公爵家のメイド服は濃紺に白エプロンで動きやすいよ。

 同じくノクス公爵家の侍女服は紺色でドレスっぽさが増している感じ。

 侍女頭とメイド長はそれぞれその制服にスカーフと宝石でできたスカーフ留めが配給されているんだってさ!


(それにしてもいい生地だよね~、さすがノクス公爵家……)


 多分このメイド服一着だけでも平民の洋服が十着は買えるレベルでいい布使ってるよホント。

 シリウスの部下になって最初に三着配給された時には『いいのか……!?』って思ったもん。


 ちなみに私が慄いていたらシリウスが足りないと勘違いして追加を持ってこさせたから丁重にお断りしたのはいい思い出である。

 気遣いができる男だなあと思うけどそうじゃない。


 さて、簡単に階級について説明しておくと…この世界では女性使用人は侍女頭を筆頭に侍女がいて、その下にメイド長、そしてメイドがいる感じだ。

 細かな分類を始めるともっと面倒な感じになるので割愛ね!

 

 侍女とメイドの大きな違いは単純に、身分。

 侍女は大体が貴族だったり、その家の家臣の娘といった、いわゆる〝名家のお嬢さん〟だ。

 対するメイドはそこいらの……というとちょっと聞こえが悪いけど、要するに一般公募ってわけ。

 勿論雇い入れるに当たって、身上調査的なものはされているけどね!


 仕事内容もだいぶ違う。

 教養のある名家のお嬢さんたちに与えられる仕事は基本的に秘書的なものであったり、髪結いのようなもの、装飾品の管理……といった仕える主に直接手が触れることを許される、そんな距離感の仕事だ。


 メイドはそれこそ給仕、掃除洗濯、買い出しといった汚れ仕事などを含んだ雑務が多い。

 なので他家のお茶会について行くためには侍女じゃないといけないってわけ。


「いいな、セレン。お前は今日だけ本邸の執事の遠縁の娘、コートニーだからな」


「はいはい、わかってますって~」


「返事は一回!」


「はい! ……シリウス様、部下に面倒くさい上司だって言われたことないです?」


「お前なあ……」


 侍女としてついていくなら、それなり(・・・・)の身分が必要だ。

 相手方もわざわざ公女(アナベル)が連れてくる侍女のことについてまで何か言ってくることはないだろうし、シリウスが目立つから突っかかられることはないと予想しているけれど……。


 それでも攻撃のきっかけになりそうなところで私に話かけてアナベルの足を引っ張る要素を探そうとする可能性も捨てきれないので、仮の身分を用意したってわけだ。

 さすがに王都に暮らすお嬢さんたちはノクス公爵家本邸の使用人たちのことまでは把握していないだろうし、執事の名前は知っていてもその遠縁となればわかるはずもない。


 詐称がバレたら問題だけど、要はバレなきゃいいんだよ!

 でも私がボロを出すんじゃないかってシリウスも、アナベルの護衛騎士であるヴェゼルも疑いの目を向けてくるんだよねー。心外だわ!


「あのねえ、お二人とも。私はこれでも裏社会で生きてきたんだし、それこそ身分を偽って潜入だって何度もやってんですよ。経験で言えば貴方がたよりずーっとありますってば」


 私はお料理上手なメイドで雇われたんじゃないんだって忘れてないかな?

 すっかりシリウスの胃袋は掴んだとは思うけど!!


「それよりお二人こそ段取りわかってんですよね? ヴェゼル様はアナベル様の護衛で私と一緒に周辺注意、シリウス様はアナベル様の同伴者としてご令嬢たちを煽ってもらわなきゃいけないんですからね?」


「……わかっている」


「普通にシリウス様がアナベル様を可愛がっている様を見せれば大丈夫ですよ。周りの変化に気づいても動かないでくださいね?」


「……わかっている」


 嫌そうな顔が飼い主に叱られたわんこみたいで心が痛むなあ!

 ちょっとでも可愛いとか思ってないからね! ホントだよ!!

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