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をぐらのさうし  作者: 小椋夏己
2025年  1月
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ゆずなし湯

 妹が来た時に、


「これ、おばあちゃんのとこのゆず」


 と、こぶりなゆずを数個、袋に入れて持ってきてくれました。


 妹の夫の実家にはゆずの木があり、これまでも何度かもらったことがあります。タイミングがよかった時はもらったゆずでゆず湯をしたことも。なのでありがたくいただきました。


 すると妹がため息をつきそうな顔でこんなことを言い出したのです。


「あんまりたくさんあるから10個ほどお風呂に入れたら逆に体がかゆい」


 思わず、


「カピバラか」


 と突っ込んだんですが、そこにはこんな理由がありました。


 おばあさん、妹の姑さんは今は一人暮らしです。昨年までは末の妹と二人で住んでましたが、妹が結婚して家を出たので一人になりました。おじいさんはもう何年も前に亡くなっています。


 いつもは元日に実家に妹一家、弟一家も一緒に集まってたそうなんですが、今年からは分散することにしました。今回は大みそかに弟一家、元日に妹一家、2日はおばあさん一人で3日に妹夫婦が来ることに。その方が賑やかな日が多くなるからそうしたそうです。


 その大みそかだったかにおばあさんが弟の子どもたちに、どうやら生ってるゆずを全部取ってと言ったらしいのですが、そりゃもう素人の家でどうするんだというぐらいの豊作。


「こんな洗濯かごいっぱいぐらいあった」


 と義弟が手で大きな輪っかを作りながら言ってたんですが、実をもいでしまったら後は傷んでいくだけなので、


「こんなにたくさんのゆずどうするんじゃ!」


 と、大問題に。


 それで弟一家も大量に持って帰り、妹も大量に持って帰り、うちにもお裾分けがきたということです。


 その時におばあさんがたくさん入れろと言ったかなにかで10個入れてみたら、


「もんでないのに体がかゆくなるぐらい」


 効き目があったというわけです。


 それで私には、


「調べてみたら1回に入れるのは5個ぐらいがいいらしい」


 と教えてくれましたが、私は絞りたいので1回に切ったのを1個にしようと思ってます。絞ったら1個でもけっこうかゆいぞ。


 昨夜、帰ってからシグナルで妹と話してたので、


「今日はゆず入れない」


 と言ったら、


「なんでねん!」


 と非常に憤られたのですが、


「明日追い焚きするから」


 と説明したら、


「そりゃ仕方ない」


 と許してもらったので、今日はゆず湯になるでしょう。


 しかし、全部お風呂に入れるのももったいないから、なんか食べる方法も考えたい気がするなあ。


 そういやおばあさんが、


「妹子さんがジャムにしてくれる」


 とか言ってたらしいですが、妹は、


「大変なのでやりたくない」


 とお断りしたとか。もしかしたらその目的で全部取るように言ったような気もするなあ。


 もっとも妹も4日から仕事なので、そんなことしてる時間はないし、休ませてやりたいからやっぱりみんなでゆず湯にするのがよさそうです。

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