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をぐらのさうし 巻之弐十伍  作者: 小椋夏己
2025年 10月

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後ろのスケーターズ・ワルツ

 テレビを見ていたらあるご夫婦が、


「スケーターズ・ワルツ」


 をピアノで連弾なさってました。


 その風景は微笑ましく、とても素敵だったんですが、


「スケーターズ・ワルツかあ」


 と、ちょっとしたトラウマになりそうな出来事を思い出しました。


 あれは私が高校生の時です、ちょっと離れた大きな街まで日曜日に出かけたんです。


 一体どんな用事で出かけたのかも覚えてません。友人と遊ぶというのではなく、何かの用事でした。しかも一人で。


 いつもだったら駅まで自転車で行き、駅から電車で行く場所なんですが、なんでかその時はそこまで行くバスに長い時間乗って往復することにしました。


 普通の駅まで行くバスとかではなく、遠くまで行くバスなので本数も少なく、行きにこれに乗って帰りはこのバスに間に合うように済ませようと思って乗ったのは覚えています。もしかしたら雨でも降っていて、駅まで自転車で行くのが嫌だったのかなあ。何にしても往復をバスに乗ったのは覚えています。


 用事を済ませ、時間的には午後3時だったか4時だったか、まだ明るいうちにバスに乗って、一つの席に座って出発を待ってました。


 日曜日のこと、全員が座れているけど人が少ないこともないぐらいだったと思います。私は二人がけの一つに座っていたんですが、隣に荷物を置いててもとがめられないぐらい、そのぐらいの人数でした。


 すると、私の後ろの席に座っていた見るからに小学生の女の子が、


「ら~ら~らら~、ら~ら~らら~」


 と、いきなりスケーターズ・ワルツを歌い出しました。


 小学生のことだし、そういうこともあるだろうと気にせずにいたんですが、バスが走り出しても延々繰り返して歌い続けています。


 ちょっとうるさいなあとは思ったんですが、注意するようなほどでもないし、黙って座ってたんですが、それがなんでか、私が座っている席の背もたれに両手を乗せて顔も乗せて、私の頭上でこれまでと同じ調子で、


「ら~ら~らら~、ら~ら~らら~」


 と、歌い続けたんです。


 正直、あまり上手じゃなかったです。子どもが一生懸命歌っているという感じで、節目節目で「はぁっ」と大きく息継ぎするし、聞いていていいなと思う歌い方では決してありませんでした。素朴ではありましたが。


 なのに、そうやって頭上でずっと延々スケーターズ・ワルツ。ものすごく怖かったです。


 もしかして、この子ちょっとおかしい子じゃないのか、そう思えるようなシチュエーションで、かなりの長い間、いつも電車に乗る駅の駅前のバス停を過ぎ、家の方向に向かって動き出した時にもまだ歌われてたと思います。


 結局その子がどこで降りたか、私の方が早かったのかどうかも覚えていませんが、バスから降りた時にはぐったりと脱力してたなあ。


 一体あの子はなんだったんでしょう。


「もしかして、私にだけ見えてたってこと、ないよな」

 

 と、ふと思ってみたりもして、今でもスケーターズ・ワルツを聞くとちょっとばかりびくっとなる思い出でした。

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