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をぐらのさうし 巻之弐十伍  作者: 小椋夏己
2025年  1月
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震災と音声と映像

 あまり震災関係のことは書かずにおこうと思っていたんですが、どうしても書きたいことができました。


 それは30年前に耳と目にしたラジオとテレビのことです。どちらも家族が亡くなっている方のことなので、そういうのはつらいなと思う方はここまでになさってください。


 当時、病院にいたんですがしばらく停電が続いてテレビなどが付けられず、電池でかかるラジオを持ってらっしゃる方が大きな音でかけて、周囲の部屋まで聞こえるようにしてくれていました。


 そのラジオの中で、アナウンサーか記者か分かりませんがインタビューをしていたんです。その内容に思わず絶句することになりました。


 一人のおじいさんが家の前にいるところに話しかけたら、


「まだ息子が家の中にいる」


 と淡々と話していたんです。そしてそこにこう続きました。


「どうしても息子を出せないうちに火事が迫ってきて、親父もう行ってくれって言ってここにいる」


 つまり、目の前で燃えてる家の中にその時までご存命でいらしたかどうか分かりませんが息子さんがいらっしゃって、どうすることもなく見つめているところに声をかけたらしい。


 これ現実? と思いました。だって、そんな場面を生放送するなんてあると思えません。


 そしてもしかしたらその録音らしきデータが公開されているのをネットで少し前に耳にしたんです。内容は覚えているけど、そういうやり取りだったかまでは覚えてませんが、息子さんがお父さんに「もう行ってくれ」と言ったという言葉と、「今目の前で燃えてる」と言った言葉は一緒でした。あの時聞いたのはこれだったのかなと思いましたが、記憶とばっちり同じという感じではなかったので、もしかしたら他にもそういう方がいらっしゃったのかも知れません。あの時はそんなことが他にあってもおかしくなかったですし。でも多分、これだったんでしょうね。


 もう一つは映像で、これは今回また何回も流れていました。


 それは崩れた自宅前で呆然と立ちすくむ一人の男性。そこにいとこが原付きで走ってきて、男性の兄は救助したが母親は亡くなったと伝えます。男性は崩れた家の一部を思い切り蹴り飛ばし、いとこの原付きの後ろに乗って兄のところに去っていきました。


 これも当時見てなんともつらいと思ったものです。


 前回書いた「神戸アーカイブ写真館」と同じく、これも貴重な資料でありデータなんですが、そこになんとも残酷な現実を突きつけられている人物がいるだけに言葉を失ってしまいます。


 最近ではメディアのあり方に色々問題がありますが、当時はまだそれほどひどくなかったと思います。だけど、そんな頃ですが、主にテレビを見ていてかなり腹が立った言葉や取り上げ方がありました。それはこうです。


「もしもこれが東京で起こったら」


「もしもこれが首都圏だったら」


 何回この言葉を聞いたでしょうか。実際に今、まだ崩れた家の中に家族がいらっしゃったり、全てを失ったり、大事な人を亡くした、行方が分からない、ケガややけどで苦しんでいる方がいらっしゃるのに、まるで地震が起こったのが東京ではなくてよかったとも受け止められます。本当に耳にする度に不愉快でした。


 言わんとすることは分かります。日本の中枢部である東京で起きて色々と動けなかったことが出たらどうなっていたかと言いたいんですよね、でももう少し考えて発言ができないものかと思いました。仮にも言葉を使って仕事をしているプロなんですから。


 日本は地震が多い国、そして台風などの災害も多いです。そんなことに遭遇した方に、ただでさえつらい境遇にある方に、言葉で追い打ちをかけるようなことだけはやめてほしいと思います。

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