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修学旅行のバスの中は退屈だ。でも。今日は晴れている。それだけでも救いだった。
午後3時。テーマパークに着いたおれ達は、班で散策を開始した。
おれと隆斗、そして、ロングの髪を首のところで結い、制服をきちっと着こなした莉加と、ボブで前髪が長く、元気な感じで、なぜか1人だけキャラクターのカチューシャを買った夢佳の4人。席の近い「生活班」毎での行動を、余儀なくされた。うちのクラスは。先生によって。
少し遠くに、ジェットコースターが見える。
「おれ、絶叫系苦手なんだよなー」
そういう隆斗に、莉加のぐずりが入る。
「えー、絶叫乗ろうよー」
そういうと莉加は、ジェットコースターへ足早に歩いて行った。莉加は、ぱっと見真面目そうな感じがする。
……が、隣の夢佳と一緒になると……。
「夢佳は私と一緒にジェットコースター乗るもんねー」
「えー、さすがの私でもジェットコースターは怖いわー」
「えー夢佳もー?」
テンションが高い。
「うーん、でも、私、今日、克服したい!」
絶叫にどうしても乗りたい莉加にそそのかされて、夢佳が、プチ勇気を出した感じが伝わってきた。
「よし、絶叫行くか」
おれが、そう、ノリで言ってみると、2人はテンションが上がっているが、隆斗だけは、ガチで無理、っていう顔をしている。
「君たち、次の冒険はどこへ向かうのだい?」
声優さんのような太い声で、ベージュの帽子にベージュのつなぎを着た丸メガネのお兄さんに話しかけられた。
「えーとーお、あのアトラクションでーす!」
夢佳が指をさす。
その先を見る。
頂点に達したコースターは、速度0から、そのまま下へと向かう。
そして、「加速をする」。物凄い勢いで。
コースターが加速を始めた0.9秒あとくらい。
キャー、と叫び声が、一斉に聞こえてきた。
「うわー、あんな恐ろしいトロッコに乗るのですね! 無事を祈ります!」
スキップしながら進む夢佳につられ、おれと莉加も小走りでついていく。
後ろを見ると・・・なぜか、隆斗がお兄さんと話してる。
本当に、怖いのだろうか。悪ノリで、行こうと言ってしまったのが、少し申し訳なく思えてきた。
莉加もやはり心配だったのだろうか、地図に目を向け別のアトラクションを探し始めた。
隆斗は、お兄さんに一礼すると、こっちの方に顔を向けた。
すると。
隆斗に、笑顔が浮かんでいた。
すでに隆斗より結構遠くにいた夢佳は、おーい、と言わんばかりに、手を大きく振った。
隆斗は、走ってこっちに来た。
「おれも、絶叫克服する!」
莉加の表情は安堵へと変わる。
そして夢佳が隆斗に駆け寄りガッツポーズをした。
「ほんと? 私と一緒に乗れるようになろ!」
「ああ!」
夢佳と隆斗は、小走りでジェットコースターへと、向かってしまった。
「おい、待てよー」
おれと莉加も、小走りで追いかけていった。
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