セレナサイド 無駄な足掻きですね。
もう8月も終わり。
セレナサイド
ミアとか言う、ヒロインもどきが編入してきて一週間が経った。
「先ほどのあれは何でしょう?」
教室でアリアンナが首を傾げているとセレナが読もうとしていた本を閉じ、ゆっくりと顔を向けた。
「イベントを起こそうとして盛大に失敗した、と言う所でしょうね」
ゲームのシナリオを知っているセレナにしたら無駄な努力を、と思う所だがアリアンナにしてみたら非常識な行動にしか見えない。
「イベント?」
「何方かが勝手に考えたシナリオの中で、王子や高位貴族の令息と親しくなる為の手段ですわ」
マーカスが居る目の前で、あたかもセシリアに足を引っ掛けられた、と言いたげに転んだミアの姿にセレナ達は呆れていた。
セレナに足を引っ掛けられた、と言い掛かりを付けようにも、セレナの周りには十重二十重に囲む令嬢達が居て、側に寄ることさえ出来ない状態である。
「無駄ですわね」
アリアンナがバッサリと切り捨てる。
「あの方も必死なのでしょう。全く上手くいかないのですから」
セレナはアリスに送ったメールに、ヒロインもどきは超がつく程の馬鹿だった、と書けば良かったと若干後悔していた。
ゲームと現実は違う、と何度も小説や漫画で書いてあるのにヒロインもどきはまるで学習していない。
この一週間、必死にシナリオ通りにしようと足掻いているが、婚約者と上手く行ってる上、貴族としての責任感もある彼らが何のメリットも無い男爵令嬢に靡くはずがない。
暑さにのぼせて良く覚えてないです。




