アマルファ王サイド 王宮にて
ストックが無くなったので、2、3日休みます。
王宮にて
学園から戻ったマーカスはアマルファ王の執務室に呼び出された。
「お前、ウィンストン公爵令嬢に怪我を負わせただけでなく突き飛ばしたそうだな。しかも、令嬢が気を失っていると言うのに」
感情の無い、冷たい目をしたアマルファ王。
けして冷たい父親では無かった。
幼い頃は走り寄れば抱き上げてもくれたし、剣の訓練を頑張れば褒めてもくれた。
だが、今目の前に居る父からなんの感情も読み取れない。
「う、嘘です。ちょっと腕には触れましたが」
「嘘か。王家の影が見ていたのに、嘘と言うか」
王家の影。誰であるかは知らないが、アマルファ王に忠誠を尽くす者が嘘など吐くはずがない。
マーカスは青褪めた顔でアマルファ王を見るが、冷たい視線は突き刺すほど鋭くなっている。
「子には罪が無い、と思っていたがお前は母親にそっくりだ」
突然バーバラのことを言われ、マーカスは首を傾げたが、王宮で働く者達は誰も急な病で離宮に下がったバーバラに同情を向けていない。
それどころか、既に居なかった者の様な扱いだ。
「母上の病気は何ですか?もしや不治の病とか……」
「今更聞くのか」
鋭い視線に耐えられなくなったのか、マーカスは下を向いた。
「お前はあと一年で学園を卒業する。その後の処遇は、成人するのだから勝手にしろ。王太子にはアーロンがなる事が決まった」
王族から外される事はない様だが、王位継承権は剥奪され不要のもの、と言い渡された事にマーカスは愕然とした。
ふらふらと執務室を出るマーカスの背中を見ながら、アマルファ王は冷ややかな声で背後に立つ青年に話し掛けた。
「シルヴァン卿。貴殿の妹は優秀すぎるな」
マーカスがアマルファ王の執務室に入った時から王の後ろに立ち、黙って2人のやりとりを見ていたシルヴァンは軽く頭を下げてる。
「幼い頃からアリアンナはセシリア嬢と親しくしておりましたから」
「それだけか?」
「陛下。陛下がセシリア嬢への嫌がらせを黙認していた事、ロードハイド家は忘れておりません」
シルヴァンの妙に座った目にアマルファ王が軽く頭を下げた。
「すまなかった。いずれは自分の過ちに気が付き、謝罪すると期待していた」
まったく。親の心子知らずとは良く言ったものだ。
結構書き溜めてたのに、無くなるの早い。




