セレナサイド 準備万端です。
今日はちょっと過ごしやすかったかも。
「上手く行った?」
「上出来ですわ」
騒がしくなった講堂とは裏腹な、人が居なくなった養護室で、ベッドに寝かされているセレナが目を開け、恐る恐るアリアンナに声を掛ければ、アリアンナは満足げに微笑んだ。
「これでマーカス殿下が暴力的だ、と生徒達に知れ渡りますし、セシリア様に絡んで来なくなりますわ」
1週間なんてあっという間で何も出来ない、と言う人もいるが悪評なんか一瞬で知れ渡る。
「セシリアたんの記憶を見た時、少しでもアイツとの楽しい思い出があったら手加減しようと思ってたんだけど……」
ゆっくりと起き上がりセレナがため息を吐いた。
「かけらも無かった、と」
アリアンナの切れ味鋭い言葉にセレナは鼻息荒く頷いた。
「だから、擦り潰す」
言葉通り、セレナとアリアンナは入学前にさっさとマーカスの傲慢で暴力的な人物像を学園内に広め、ヒロインもどきのイジメ捏造を根底から潰す事を決めていた。
マーカスの悪評は次の日には学園中に広まり、セシリアの周りにはリリアンやイザベルだけで無く、多くの令嬢達が守りを固める様に集い、令息達も彼女達の周りを護衛の様に囲っている。
当然、王族に対して不平不満を直接言う事は無いが、鉄壁の守りでマーカスの行動を逐一監視している。
このままでいくと、避暑は沖縄で、なんて事になるかも。




