マーカスサイド 母親が居なくなった。
和歌山県がやばい。
マーカスサイド
「母上が離宮に?」
マーカスは突然の事に呆然とした。
自分とセシリアの婚約を強く要望していた母親が居なくなっては婚約話が立ち消えになってしまう。
幼い頃、バーバラのお茶会で見たセシリアをマーカスが欲しがってからバーバラは何度も父親であるアマルファ王に言ってくれていたのに、アマルファ王は首を縦に振らない。
流れる様な銀髪に澄んだ蒼い瞳のセシリア。
お茶会でも多くの子息達が彼女を褒め、頬を染めていた。
マーカスも本当はセシリアと仲良くしたかったのだが、王子である自分を褒め称えないセシリアの白い帽子を池に捨てたのもちょっと意地悪をしただけのつもりだった。
「ちょっと生意気なあいつに意地悪をしただけなのに。父上はどうして俺を睨むんだよ」
幼かったマーカスがバーバラに文句を言えば
「セシリアも泣かないでマーカスに謝れば良かったのよ」
と、マーカスの肩を持った。
母親がセシリアのありもしない非を口にしたせいか、マーカスはセシリアの顔を見る度、意地悪をする様になり、セシリアは次第に王宮でのお茶会に出席しなくなった。
そうなるとマーカスは次第に姿を見せなくなったセシリアに執着する様になり、無理矢理王宮に呼び付け意地悪をしようとしたが、ウィンストン公爵が正式に抗議し、セシリアは完全に王宮に来なくなった。
しかもバーバラが必死にアマルファ王にマーカスとセシリアの婚約を訴えても首を縦に振らず、バーバラが社交界でセシリアはマーカスの婚約者にする、と言っても誰一人信じず、動かなかった。
マーカスは焦っていた。
このままではセシリアが自分以外の誰かと婚約してしまう。
そんな中、母親が王宮を離れ社交界から遠ざかった事で、マーカスとセシリアの婚約する手段は完全に無くなってしまった。
「どうしてだよ。セシリアは俺の物なのに」
母親の病気を全く心配しない、マーカスの身勝手な呟きに誰も答えない。
ニュースでは横殴りの雨。怖