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まわるよまわる勇者はまわる  作者: 小鳥遊ロイ
家族成立編
15/16

12 一行は塔の攻略に入ってみた 中


(承前)


 ガイコツ騎士二十体を捉え、俺たちは攻撃準備を整えた。

「へへっ、腕が鳴りますぜ」

「ヴァレリー、おまえは今日も元気だなぁ」

 俺はヴァレリーを見やる。

 黙ってみてると、なかなかの好青年である。

 青髪の短髪に普通に鼻梁はすっきりと整い、優男だよなぁと感じる。

 装備は銀のむねあてと銀の籠手を。

 そして獲物はミスリル製ハンマー。

 一メートルはあるかと思われる長さのその武器を、一度握らせてもらい扱ってみたが、これ、かなりの重労働だぞ、と改めて彼の膂力に驚嘆したものだ。


 さて、と俺はヴァレリーに向けていた注意を敵に向けると。


 連中は、のろのろとゆっくりと森に向かって進軍していた。

「森の先には何があるんだ」

「集落がありますねぇ」

 そう、ヴァレリーが答えた。

「行かせるわけには、行かないな」

「ええ」


 俺は息を整える。

「俺たちもでるぞ。アリシア、皆にバフかけをかけ終わったかな?」

「ええ、ダーリン。攻守ともにかけ終わってありますわ。攻撃準備、整っております。ご指示を」

「うん、じゃ、行こうか。突撃!」


 草原を。森へ続く小径を。

 ヴァレリー、ハチワレ、フィリシアの三人がそれぞれ左右真ん中の三方向から、ガイコツ騎士本陣へ切り込んでいった。


 ガイコツ騎士は鋼の盾と鋼の片手剣を装備していた。

 そして、きゃつらが迎撃すべく、片手剣を振り下ろすも――。

 数合と持たず、打ち崩されその身体を骸へと還らせていくのだった。


 俺とアリシアはそれに、復活できないように、「鎮魂」のことばをかけていき、きゃつらの魂を強制的に天へと召し上げさせた。


 三人が討ち漏らした敵も少数はいたけれども。

 アリスのミスリル製棍で滅多打ちにされ、粉々に粉砕される哀れな運命が待ち受けているのみだった。

 例によって。アリスの攻撃はエグい。

 頭に、胴に、手先に、足に。

 左右交互に滅多打ちである。

 俺はこんな少女をナデナデして喜んでいたのかと、少し恐怖を覚えるほどに。


 なんというか、まもの使いだな、俺、とは感じた。


 なお、ユイは対アンデッドに関してはややというか、かなり分が悪い。

 とくにスケルトン系の敵には、彼女の持っている武器、すなわちダガーと弓だが、それらが有効ではないのだ。

 相性が悪いというやつである。


 だからといって。

 役に立たないわけではない。

 こうして、斥候の係をしてくれるし、塔の中にはトラップも仕掛けられているだろうから、解除の役割もお願いしている。

 まことに隙のないパーティーである、俺たちは。


 戦闘開始から数分後。


 あたりは静寂が支配するのみとなった。

 蒼穹がどこまでも高く。

 制圧完了である。


◇ ◇ ◇


 制圧対象の塔を見上げる俺たち。

 かなり高い。十階建てのビルディングに相当する高さではないだろうか。

 赤すすけたレンガ造りのその塔は、今はアンドッドの巣窟で。

 もとは宗教的なものの儀式のために用いられ、やがて放棄されたという塔。


 いったい何匹、何十匹、いや何百匹いるのだろうか、連中――。

 困難が予想された。

「ほほぉ、これはこれは攻略しがいのある塔ですな。いったい何匹屠れば、この塔は浄化されるものやら。誠に楽しみですな」

 ハチワレがそう言うと、

「プロフェッサーもそう思いますか? 違いありませんな。血湧き肉躍る冒険の始まりですよね。ドキドキです」

 そうヴァレリーが返した。

 一同もうなずいていた。


 キミら、なんというか、本当に脳筋だよね。

 とかいいつつも、俺も血がたぎっている。

 そう、興奮している。

 アドレナリンだかエンドルフィンだかが脳内に分泌されているのだろう。


 ともあれ、塔の攻略開始である。


 塔の入り口に立つと。鈍色の鉄の扉が開け放たれていた。


「ふむ、ここからアンデッド共が大量に外に出てこられるとまずいな。さきほどの連中もここから出てきたということだな。ユイの報告によればここしか出入り口はないということだしな」

「ですわね、ダーリン」

「封印をするから、とりあえず皆、中に侵入してくれ」

「「了解」」


 ぞろぞろと皆が移動し、塔に入り。

 皆が皆、塔の内部に入ったのを確認する。


 俺は、扉の方向に向き合うと。

封印シール・アップ・ゲイト

 そう唱える。

 目映い青色のシールドが展開されている。アニメ調で言うところのバリアだ。


 そんなようなわかりやすい障壁を作った。

 これでもう、アンデッド共は自由に出入りできない。


「ふむ、とりあえずアンデッドの殲滅もしくは無力化が達成されるまでは、この「封印」は解除しないでおこう」そう俺が言うと、

「それがいいですわね」と、アリシアも同意し、俺たちはいよいよ塔の攻略に移ることになる。


「さあ、行こうか」


 こくりと、皆がうなずいた。

 楽しい楽しい冒険の始まりだ。


◇ ◇ ◇


 塔の内部は照明が付いていた。かがり火が等間隔で壁の両隣に設置されている。メカニズムは、町の街灯と同じものだろう、すなわち、ケーブルから一定間隔で自動的に魔力が補給されて、結果的に恒久的に明かりがともされている、といったところだろう。

 明らかに人為的なそれは、アンデッドのそれなりに高い知能をうかがわせる。


 俺たちは周囲を見回した。

 塔内部は、小径を通して、いくつものブロックに分かれている。

 ブロック間の移動小径を抜けると、モンスターがいるかどうかがはっきりとわかる仕掛けになっている。

 なお、一ブロックはこの世界での一般住宅の一室ほどの広さに当たる。


 そこで、数多くの戦闘が、繰り広げられた。


 敵の種類はガイコツ騎士、それにガイコツにコウモリの羽がついているような魔物(ガイコツコウモリと俺たちは命名した)、その二種類だけだった。

 上の階に行くに連れモンスターの種類も変わっていくのだろうか。

 ガイコツコウモリ戦では、アリスの棍による攻撃がとても有効だった。


「えいっ」

 その一振りで、面白いぐらいにガイコツコウモリは地面に落下する。結果、ほぼ戦闘不能に陥る。

 それをヴァレリーがハンマーで粉砕する。

 その後は例によって、俺かアリシアが「鎮魂」の魔法で完全に塵に返していく。


「あはははははは。コウモリよ私の棍で安らかに眠れいっ!!」

 そう言って呵々大笑するアリスを俺たちは遠巻きに見つめていて――。

 アリスが、怖いのですが、どうしましょう。


 そんな一幕もあった。


 俺たちはあっちに行っては、アンデッドに遭遇し。

 こっちに行っては、アンデッドに遭遇し。

 とにかく、外敵の駆除に奔走し続けた。


 ちなみに。

 今回はユイは戦闘にはまったく関与しなかったが、それ以外ではなくてはならない働きをした。

 マッピングである。

 ユイがマッピングをしてくれているおかげで、塔の情報が丸裸にされている。

 トラップの類いは今のところ、遭遇していない。


「パーティーに斥候がいると、本当にいいものだな」

「ふふっ、ありがとうございます」

 ご褒美に、俺はユイのオレンジの長髪をナデナデしてあげる。


 周囲から冷たい視線を受け、ヘイトを集める。例によって、ね。

 まあ、こればかりは、俺がしたいからするものである。

 甘んじて、受け入れよう。


 なでなでなでなで。

 ああユイの身体の匂い、いい感じだ。俺の好きな匂い。


 ごほんっ。


 長い間ナデナデしすぎていたらしい。

 無言で。アリシアに引き剥がされた。


 まあ、そんなアクシデント(?)もあったが。

 そうやって――。


 一階から二階、三階をくまなくマッピングして。その分の戦闘をこなし。

 四階への探索を開始しようというところで、第一日目の塔攻略は終了した。





◆ ◆ ◆


最後までお読みいただきありがとうございます。

よろしければ、感想、評価、ブックマークなどできましたらよろしくお願いします。モチベーションアップで作者が喜びます。


では、次回更新をお待ちくださいませ♪



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