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2 2日前(風呂あがりのひと時)

「ん〜〜〜〜〜♪」

お風呂あがり、私はベッドに寝転がり、思いっきり伸びをした。そしてその後、全身の力という力を抜き去る。今日一日の疲れが、いい感じに取れていく。あぁ、いい気持ち。明日の宿題も終わってる事だし、今日はこのまま寝ちゃおうかな。


それにしても、私は何でホラーサークルなんて作ったのだろう。

うとうとしながら、そんな事を考える。今まで何度も何度も自問自答して、結局答えが出せない問題だ。いや、本当は最初から分かっているのかもしれない。悩むまでもなく、答えとは言えないかもしれないけど、自分なりの回答のようなものを。私はきっと、思っているのだ。昔の自分を取り戻したい、と。


「…………」

少し目が覚めて来てしまった。私は、2年前のあの事件の後、物事をどこか冷めた目で見るようになってしまった。何を見ても何を聞いても何に触れても、どこかリアルさに欠けている。


「……………香織」

居なくなってしまった親友の事を思う。どうせなら、私も全てを忘れてしまえれば楽だったのに。


「うーやめようやめよう!!」

もう悩むのは止めようと、私はまた虚しい決意をする。どうせ直ぐに、また思い出してしまう事になるのだ。私はそういう性格なのだから。それでも、今は全力で別の事を考える。


今日の部活は、何をしたんだったかな。ああそうだ、【こっくりさん】についてだ。まぁ、何も新しい発見などなかった。第一、部長である私のやる気がないのだ。伊井田もあんな調子だし、双葉のやる気もいつまで続くものやら。双葉が居なかったら、実質今日も、くだらないお喋りだけで終わっていた。


「……………ホラーサークル、か。」

昔の事を思い出してしまったからだろうか、私は部のメンバーについて思いを巡らせた。


双葉。一番最近入った一年生。元気すぎる子。今日一日の疲労の半分くらいは、彼女に持っていかれたような気がする。

瀬戸。多分、いや絶対彼は性格悪いわね。先輩である私と伊井田に対して、一応敬語は使っているけど、誠意が全く感じられない。まぁある意味では、そういう子の方が我が部に相応しいのかもしれないけれど。

伊井田。私の同級生。クラスは違うけど、以前から割りと仲は良かった。私が部を作りたいと言った時、協力してくれたのも彼女だし。ちょっと部活をサボりすぎなような気もするけど、やる気のない私が責めるというのも、何か悪い気がする。

堂間。……………。堂間部長の弟さん、か。いや、弟だった人、かな。今は堂間部長は居なかった事になってるから。念の為に本人にも聞いてみたけど、一人っ子です、って言われたし。二人して怖い話が好きだなんて、やっぱり兄弟なのかな。


ピロピロピロピロ


漫然と思考を捏ね繰り回していた私を、聞き慣れない音が現実へと引き戻す。その音は、私の携帯から鳴っていた。こんな音、聞いた事がない。

少しだけ嫌な気分になりながら、差出人を見る。見た事もないアドレスだった。


タイトルには、「助けて下さい」と書かれている。


「……………」

私は、複雑な気分を覚えたが、取り合えず本文を読んでみる事にした。

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