サイレン
目が離せない。
すばらしい君、幸せに歌う。
手も足も洗練されて、私は手も足も出ない。
思いは絶てない。
すばらしい君、幸せを歌う。
目も口も麗しく、私は目も口も塞げない。
遥か遠くで鳴るサイレンに振り向いて、霧のような胸騒ぎに震えてる。
燃えた写真が記憶に染みて、闇のような回想に泣いている。
声は出せない。
すばらしい君、幸せを纏う。
毛先も指先も思い通りで、私は声も涙もなにも出せない。
腐食が進んだドラム缶、望みと殺意を混ぜたら戒めて。
すばらしい君、幸せの代理人。
残された希望の人、私の真実を包む人。
白昼の子守唄、霧と闇を混ぜたら会いに来て。
遥か遠くで聞こえる、幸せの歌。
せせらぎのような音階を駆け上がり、最後にすばらしい君が飛び込んで。
きっと私は待っている。
どうやら私はそれしか出来ない。
燃えた写真に私は宿る。