プロローグ 怪しい不動産屋
初めましての方、やまぶどうと申します。
前作をお読み頂いた方、これからまたよろしくお願いします。
書きながら日々自分自身もグルメを楽しんで行けたら良いなと思います。
「予言通りです!ま・さ・に・あなたの様な方をお待ちしておりました。」
蓮川宮子35歳。こんなところに不動産屋さんなんてあったかなと気になって入ってみたものの、とても胡散臭そうだ。
「いえね、、、売主さんのこだわりが強くてね、、、何年何月にこう言う人が来るからその人にだけ売って欲しいと言うものですからね、、、、半信半疑で買い取ってみましたが正直驚きました。まさか指定の日にちに条件とぴったりのお客様が本当にご来店されるとは!!!!」
狸顔の営業マンが机から顔をずいっと近づけて
「都内でこの値段!!破格だともいませんか??」
中古物件とはいえ土地建物付き販売価格1000万円は安すぎやしないか。
曰くつきに決まっている。
「いえ、結構です。」
断ろうと振り上げた手をガシッと掴んで
「そうおっしゃらず、あなたにしか売れないんです!まずは見て下さい!ね!すぐ近くですから!」
真剣そのものの目に思わず宮子は圧倒されてしまった。
「見るだけでしたら、、、少しだけなら、、。」
いいですけどと言い切る前に、狸顔の営業マンは宮子の手を引き
「では善は急げ!今から参りましょう!!」
賃貸物件を探していた宮子はそもそも購入するつもりはなかったのだ。
でも1000万円であれば住宅ローンもせずに買えてしまう値段では無いか。
もし、本当にいい物件であるのであればお得ではある。
人目見るくらいなら良いだろうとそんな気にもなったりしていた。
いや、そもそも最初から半ばヤケになっている部分もあったのだ。
35歳まで実家暮らし、合コンお見合いも全て失敗、日々の母親からの結婚への圧力が辛くなり一人暮らしをする決意を固め、こうして物件探しをしている。
、、、のだが、、、
「うわぁ、、、。」
想像以上に酷かった。
確かに建物も土地も広い。
だがしかし、壁面には蔦がはびこり、庭の草はぼうぼう。
まるで魔女が住んでいそうな家だった。
前作同様また毎日更新できるかチャレンジしたいと思います。