事件
おんそれ送りの日はとても楽しくいい思い出になった。
来年もまた、おんそれ送りの日を楽しく過ごしたいなぁ…と部活メンバーの皆と一緒に語り合う。
そして、翌日学校に行っていつもどうりの楽しい日常だ。
「大田原くん、少し話がある人がいるそうです。校門で待ってるそうだから、行ってきなさい。」と公良先生がいう。
どんな話なのか気になったので、ニナに声をかけ抜けさせてもらった。せっかく楽しい話をしてたのに…とは思ったが、正直好奇心には勝てなかった。
「どーも、大田原さん」と気前よく名前を呼んでいるがこちらとしては全く知らない人なのであまり嬉しくは無かった。
「あ、名前を名乗らないと不審者も同然ですよね…ワタクシ、吉宮署の大蔵です。大蔵 石人。」とその男は言っているが、その「吉宮署」というのがよく分からなかった。
「あのー、吉宮署ってどういうものですか?」と確認のために聞いた。
「ん?あぁ、簡単に言えば、吉宮にある警察署ですな」と体格の良い刑事、大蔵石人は言った。
「まぁ、気軽に石ちゃんとでも呼んでくださいよ」と続けざまに人好きのしそうな柔和な笑顔で言って見せた。
「ところで、俺になんの話をしたいんですか?」単刀直入…とは言えないかもしれないが、とっとと用事を済ませてもらいたかった。みんなともっと話したいし遊びたいからだ。
「そうですねぇ…。これはあまりみなさんに知られたくはないんですがね、昨日の晩、冨岡さんが自分で自分の腕を掻きむしり、それを見た神宮寺さん…あぁ、紗夜さんの方がですね、ショックで倒れてしまったんですよ。もちろん、お二人共命に別状はありませんけどね」と大蔵刑事は教えてくれた。
「これは、噂話なんですがね、これはオシロイさまの祟りなんじゃないか、とか言われているんですね」とそんなことを続けて言ってきた。
「祟り?そんなのほんとにあるんですか?」と動揺しつつも大蔵刑事の意図を掴もうと質問した。だが…
「まぁ、ここら辺に住んでる人は信心深いですからそういう噂が流れるのはある意味では仕方ないことなのかも知れませんね…」とはぐらかしたのだ。
「なにかあったら、この番号にかけてきてください。私は、大田原さんの味方ですからね」と名刺を渡してきた。
-続く-




