序章
受験を控えた男子高校生が贈る、狂いに狂ったミステリー!
今の時期に小説を書き始めること自体が自殺行為!
それもこれもコロナによってできた休校期間のせいだぁ!
連載にする予定ですが投稿ペースは期待なさらないでください。
それではそれでは
朱い夢の世界へ
ようこそ
ここはどこなんだろうか。眼前には見渡す限りの樹々が広がっている。そして、背後にも。
書店にありあまりすぎるほどに並んでいる、いわゆる「異世界もの」に出てくるような風景ではある。しかし異世界などに転生はしていないはずだ。死んだ記憶もないし。駄女神にも会っていない。
ナーヴギアにも、それに準じる機械にも神経を接続した記憶もない。とりあえず、利き手たる右手に持ったスマホの画面を覗きこんでみるものの、予想どおり“圏外”を表示する画面が、こちらをまた覗いているだけだった。
やれやれと顔を上げた先に目下、最大の悩みとなっているものが映る。そこにはこちらを向いた状態で木に背を預けている女子高生がいた。ただし、それは、一般的な女子高生とは違い、それはそれは美しい女子高生だった。
そんなにタイプだったのかだって?答えは”NO!”である。なぜか。
まず、第一に、僕のタイプは同い年くらいの、落ち着きのある女性である。現在、僕は25歳だ。…タイプ云々の前に手を出したら犯罪だろ、それ。
第二に、なのだが、こちらのほうが主だ。タイプがどうやらなんて話は重要ではない。彼女の顔は見えなかった。こちらを向いていたのに、である。顔が見えない状況でのタイプかどうかの判定は少なくとも僕には不可能だ。
おっと、忘れていた。ここで訂正しておきたいことがある。
皆様は「美しい女子高生」と聞くと、顔立ちが整っている、だの、スタイルがいい、だのを考えるかもしれない。というか普通そうだろう。間違っても、本来、存在してしかるべき頭部を首の上に備えておらず、その切り口から噴出したであろう朱い液体で夏服にアヴァンギャルドな模様を描き出している女子高生の、その存在自体を美しいなんて感じる奴はまず、いないだろう。
しかし、私はその命題の反例としてこの世に存在を賜ったようである。
凡例ではない。反例である。
そう。目の前には、本来、存在してしかるべき頭部を首の上に備えておらず、その切り口から噴出したであろう朱い液体で夏服にアヴァンギャルドな模様を描き出している女子高生がいた。
「あぁ、なんて。なんて、美しい。目も眩むような麗しさだ。」
僕は謳うように呟く。
「あぁ、なんて!なんて、麗しい!目も眩むような美しさだ!」
僕は歌うように嘯く。
僕は考えることをやめることにした。
嘯く僕の左手には大きな鋏があった。
それはまるで、女子高生の夏服とのペアルックかのような朱さを纏っていた。