修羅場不可避
「突然だがまた転校生が来る」
二学期も中盤に差し掛かった頃
先生は表情一つ変えずにそう言った
この瞬間、クラスの全員が思ったであろう
遅すぎじゃね?・・・・と
三者面談も終わり、体育大会も終わり
就職の人は既に面接の練習などをしているころに
何故今更になって転校なんてしてくるのか
親の事情なんだろう、とようやく皆が理解すると
先生は入れ、と促す
入ってきたのは、多分学校で一番可愛いかもしれない女の子だった
俺と高杉以外の男子はおぉーと言葉を漏らす
何故俺たち二人が言葉を漏らさなかったかと言うと
「初めまして。神谷伽耶って言います♪そこのお二人はお久しぶりですね、恋愛さん暎さん♪」
「伽耶じゃねぇか!ひっさしぶりだなー!」
高杉が俺より先にそう言って嬉しそうにする
だが、俺は目を合わせることが出来なかった
前に、というか最初に彼女いない歴イコール年齢と教えたことがあったと思う
それはこのことを隠すためだったんだ
「恋愛さん。気持ちは変わりましたか?」
高杉の言葉を聞いてなかったかのように無視し
俺に近づいて俺の手を取る伽耶
この人は・・・・俺の初恋だ
前に、伽耶から告白されたことがある
俺はその時、恥ずかしすぎて拒否したのを覚えている
その頃はまだシャイだったしな
だけど、それが裏目に出た
伽耶はその拒否を本当だと思ったのだろう
その日から彼女は俺の前から姿を消した
もともと彼女は親の仕事都合で引越しを何度もするらしい
あれから一度も会ってなかったけど
今こうしてここにきたということはやっぱりこういうことなんだと思う
「えっと・・・伽耶、その話はまた後で」
「・・・・分かりました。ではお昼休み、ご一緒しても?」
「あー。えっと他の奴らがいていいなら」
他の人達はなんの話か分からなかっただろう
だけど全員の気持ちを代弁して呟いた人がいる
「また八坂さんみたいにならないでしょうね」
そう呟いたのは百華さんだ
八坂さんみたいに、というのは恐らく
行きすぎた愛ゆえに起こした事件だろう
でも、心なしか百華さんが怖い表情に見える
「心外ね百華姫。私は罪なんて犯さない」
「そうならいいんだけど?」
なんで百華さんが怒っているのか俺には分からなかったけど
その間を雲雀さんが立ちふさがる
「もー皆ピリピリしちゃダメ〜!せっかく転校生来たんだから楽しもーよ!」
雲雀さんの言葉で場が和んだのか
百華さんは踵を返して勝手に教室を出る
先生は困った顔で後ろ頭をかきながら
「まーとりあえず仲良くしろよーかいさーん」
先生がそう言って逃げるように教室を出るのを見てから
伽耶は俺に目線を合わせる
「お返事、待ってますね♪恋愛さん♪」
あぁ・・・・また大変なことに・・・・




