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豊富そうな人は常に出かけてるものである


「あっ」


「あっ」


しばらく駅を散策していて

ようやく手を繋ぐのが慣れてきた頃

なぜか俺達は高杉に鉢合わせしてしまった


「なんだよ高杉、お前もデートか?」


「・・・・も、てことはお前らやっぱり付き合ってたのな」


「仮みたいなもんだけどな」


「俺は一人でぶらぶらしてるだけだよ、邪魔したな」


高杉はそう言ってぶっきらぼうに行ってしまう

なんだあいつ、つれねぇな

少しぐらい一緒でもいいじゃんか

と思ってると振り向いてきて帰ってきた


「そういえばお前、結城にお前の『名前』ちゃんと教えたか?」


高杉の言葉に一瞬固まってしまう

俺の・・・・名前?

そういやここ最近

まともに呼ばれてなかったような

いや、もはや高杉にもまともに教えてない気がする


「名前・・・・自己紹介まともに聞いてなかったから、私苗字しか知らない」


「だろ?俺もまともにしらねぇよ」


「・・・・わかったよ。引くんじゃねぇぞ?」


俺の言葉に二人とも頷く

俺は唾を飲み込み名前を言おうとする

しかしかつての過去が頭によぎる

名前でバカにされてまともに関わってくれなかったこと

実際今でもまともに友達もいないこと

高杉はまだ心優しかったからだし

名前を知ったら離れるんじゃないか?

そこまで思ってると手を強く握られる感覚がする


「大丈夫よ、あなたを引くことなんか鈍感かアホなことぐらいだわ」


「なにそれ貶してるの褒めてるの?」


「褒めてる方」


「そーだよ、今更絶交とかするかっつーの」


「分かった。俺の名前は・・・・恋愛って書いてらぶって呼ぶ。金華山(きんかざん)恋愛(らぶ)だ」


その言葉に二人とも言葉を失う

そりゃそうだ、姉さんもとい雲母でも

キラキラネームなのだから

察しのいい人は俺の名前も

キラキラネームと思ったのではないか?


「す、すごい名前ね、親を逆に尊敬するわ」


「たしかにお前の姉の名前がキラキラネームだった気がするけど、流石にそれはありえねぇよ」


「だろ?思春期になってから気がついて親父殴ったさ」


俺は二人の顔が見れずにいると

高杉は呟く


「お前としては名前で呼んで欲しくない?」


「そりゃもち」


「じゃあお前のこと、今日から金って呼ぶわ」


「おぉ!初めてのあだ名!大切にするよ親友!」


「大げさだわアホ」


「・・・・じゃあ私もそう呼ぶわ。金くん」


「お前ら・・・・宣言したとはいえ、引いていいんだぞ?」


「名前で引く人は人でなしなので。あまり一緒にしないで?」


「そーだよ、俺らを信じろって」


二人の優しさに俺は自然に涙流す寸前だった

俺はそれを振り払い二人の肩を組む


「よーし!今日は飲むぞー!」


「おっさんが、テメェは。大丈夫なのか彼女とのデートはよ」


「いいじゃないの。こういうの憧れてたわ」


こうして初めてのデートは無事(?)終了した

こんなにいい彼女と友達がいて

俺は心の底から安心した







「よかったじゃない。もうこんなことしなくても済みそうね」


雲母はそう呟くと何処かへ行ってしまう

その表情はどこか嬉しげなのは

言うまでもない話である

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