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ラブコメを作るために付き合ってください

「ラブコメを作るために付き合ってください」


唐突に言われたその言葉は

俺の脳内でぐるぐる回った

彼女、もとい結城真里奈は無表情で突っ立っている

俺は整理するために人差し指を立てて結城さんに質問する


「結城さん、それはつまり恋人?」


俺の質問に無言で頷く結城さん

メガネの奥の鋭すぎる目つきは

明らかに嘘はついてない

というかついてたら逆に怖い

俺は次は中指を立てて質問する


「そのラブコメ・・・・っていうのはどういうこと?」


俺の質問に結城さんは「小説」とだけ述べる

いや、そういうことは聞いてない

俺は少し頭を抱えながら今度は薬指を立てる


「君は小説のラブコメを作るために俺と付き合って欲しい、と?」


俺の質問にさらに目を鋭くしてから頷く

いや、その目はなんなのだ

俺何かした?罰ゲーム?虐められてるの?

そんな言葉が脳裏に浮かんだが

結城さんが持っているノートには

確実に小説とでかでかと書かれている


「結城さんは小説好きなの?だから書きたいと?」


また頷く結城さん。さっきの台詞しか用意してなかったのかな?

正直この高校三年間ずっと同じクラスだけど

実際彼女と会話をした記憶など一切ない

彼女は冷静沈着、頭脳明晰、友達なにそれおいしいの?という

この三箇条を常に掲げていると噂が立っている

いつも教室にいれば読書しかしていなかったイメージなので

小説を書くというのは、納得はした


「じゃあ、そういうことだから」


そこまで考えてたら結城さんは承諾したと思ったのか

そのまま踵を返して立ち去ろうとする


「ちょ、ちょっと待って!」


呼び止めると、結城さんは無表情で振り向いてくれる

いや、呼び止めたはいいけどここからどうする俺!

俺は青ざめるのをギリギリ我慢してからこう言った


「わかった。君と付き合うよ」


俺がはっきりそう言うと

結城さんはなぜかお辞儀をしてから立ち去る

これが俺たちのラブコメの1ページ目となった


「なあ高杉、付き合うってなにすればいいと思う?」


「は?急にどうしたの」


昼休みに結城さんの告白を受けたはいいものの

はっきりいって彼女歴イコール年齢の俺には

付き合ったらどうすればいいのか全く分からない

ということで経験が豊富そうな顔をしている高杉 (あき)

話を聞いてみることにした

(豊富そうなだけで本当に豊富なのかは知らない)


「付き合うって、そりゃあお前デートとか?」


「他には?」


「キスとか?」


キス、その言葉を聞いた途端顔が赤くなる感覚を覚える

あ、あの、結城さんに!?俺が!?チュー!?


「は、はしたないですわ高杉!」


「気持ち悪りぃぞお前」


「まだ清潔なこの俺にチューしろって言うのか!」


「そこまでは言ってねぇよ。てかチューって言い方やめとけ」


高杉の冷静の対用にようやく顔の熱りが冷め

俺はさっきの煩悩を振り払う

俺は咳払いしてからさらに質問をする


「高杉は彼女とどこまでいったんだ?」


「あー、Cくらいかな〜」


「なんの話!?」


「ほら彼女とどこまでした?って聞かれたら普通ABCDEのランクで分けて言うじゃん?」


「聞いたことねぇよそれ!」


「間違えてもキスで動揺してるお子ちゃまはAもいかないだろうけどな」


「だ、だまらっしゃい!今に見てろよ!」


少し頭に血が上った俺は

そのままつかつかと歩き結城さんの所へいく

結城さんは視線はあげないものの

俺だと気づいたようで「どうしたの」とだけ呟く


「明日予定あるか?」


「帰宅部に予定なんて入らないわ」


「なら明日どこかいかないか?駅とかでさ」


「構わないわ」


「分かった。じゃあ朝9時ごろ駅集合ね、あっもしかして遠いかな?」


「構わないわ」


俺はそれだけ話してからまた高杉の方へ行く

驚きの表情をしている高杉に

俺は頰が緩まない程度に胸を張る


「見とけ高杉!俺は絶対にやってやるぞ!」


「・・・・あ、あぁ、頑張れ〜」


まだこの付き合いは始まったばかり

このラブコメは、決して1ページで終わらせない!

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