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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

二人きりの断罪者

作者: あおいろ発泡飲料

注意:主人公の名前が出てきません(考えてなかった)。

ウラスス歴三百二十年。エリカの月が始まって十五日。ある男爵家で殺人事件が起きた。

殺されたのは、男爵と男爵夫人、それと五人の使用人。成人男性の手のひらほどはあろう木杭により、背後から心臓を一突きされていた。おそらくは、即死。

男爵と男爵夫人は、寝室のソファーの上で、隣り合って死んでいた。心臓を貫く木杭と、赤黒く染まった胸元が目に入らなければ、二人揃って転寝しているように、肩を預け合っていた。二人の手には、男爵と男爵夫人、その子どもが描かれた一枚の姿絵。仲睦まじい、家族の絵だった。その絵には血痕が付着していないことから、死んだ後に持たされたのだろうと考えられた。

五人の使用人は、各々に与えられた自室で、両手両足を拘束され、かつ目隠しされ、猿轡を噛まされ、正面から木杭を心臓に打ち込まれていた。まるで、床に縫い付けるように。

温度差を感じる殺され方。男爵の寄り親から派遣された衛兵たちは、揃って首を傾げた。目撃証言もなければ、犯人像も浮かばない。しかし、似たような事件は過去二年で五回は起きていた。そのことに気付いた一人の衛兵は、過去の殺人事件を再度調べ始めた。

だが、どれも共通しているのは、木杭で心臓を一突きにするという殺人方法と、殺された人間はほとんど拘束されているということだけ。今回のように、温度差を感じるものではなかった。加えて、犯人を突き止める材料が一つもない。どこから侵入したのかすらわからない。

結局、事件は犯人不明で処理された。


犯人不明?ふざけるな。

残された者は、それで納得などしようはずもない。

あれから七年。未だに両親を殺した奴の手がかりは見つからない。それでも、諦められない。許せない。

父さんが、母さんが何をした?生まれつき体が弱くて、時折生死の境をさまよっていた俺のために、頑張って働いて、自分たちの老後のためにと蓄えられた年金さえ使って、高額の治療費、診察費を捻出してくれた両親が、何をした?

二人に家族の姿絵を持たせて、何がしたかった?

なぜ、両親は殺されなければならなかった?

わからない。わかりたくもない。けど、犯人だけはわかりたい。わかったら、すぐに殺してやる。殺された使用人たちと同じように。

復讐心を抱いた、当時六歳だった俺を引き取ったのは、ネーシス子爵家。父、ガジェッタ男爵と同じ、国の宰相一族であるファーネン公爵家を寄り親とする貴族だった。領は隣。食糧や衣類などの物流が盛んで、互いの領地を隔たるものは国一番の長さを誇るアイード川のみ。川の上には互いの家が出資してかけられた橋がある。そのため互いの家にも交流があった。

両親を亡くした俺を哀れんで、従者の仕事を与えてくれたネーシス子爵には感謝している。給金はもらえるし、衣食住も整えられている。犯人を捜すにしても、先立つものを蓄えなければならない。そのためには働かなければならない。まだ六歳だった俺には、ろくな知識もなかったけど、幼馴染みの子爵令嬢と一緒に、同じ教育を受けさせてもらえた。感謝してもしきれない。


「お嬢様、夕食の時間でございます」

「……」


ネーシス子爵令嬢、ウェンディア・ネーシス。昔から無口で、喋ることは滅多にない。一月に一度、声を聴くか聴かないかだ。

俺より二つ年上の彼女は、神出鬼没なお子様だ。今年で十五歳になるのに、十歳に間違われる見た目。逆に俺は、今年で十三歳になるのに、十八歳に間違われる。そのせいで、よくネーシス子爵にはからかわれる。

腕の立つ従者の目の前からいつの間にか姿を消していたり、かと思えば中庭でリスや小鳥と戯れていたり、図書室で読書をしていたり、屋敷の近くの草原で寝っ転がっていたり。まったくもって令嬢らしくない。それを見つける度に諫める俺を、彼女は「そっちだって従者らしくない」という目で見てくる。どこが従者らしくないのか、と、一度でいいから半日問い詰めたい。

ウェンディアお嬢様は、図書室のソファーで転寝していたところを起こされたからか、恨めし気にこちらを睨んでくる。


「寝るなら夕食を召し上がり、風呂に入ってからでお願いします」

「……………」


はいはい、とでも言いたげに、お嬢様はソファーから身を起こして溜息をついた。かわいくない。











ウェンディアお嬢様の従者としての勉強と、男爵令息としての勉強と、従者として休憩時間中に姿を消したお嬢様の捜索と、日々多忙を極めていたある日。

マヌカの月が始まって三日。ある人身売買組織が一晩で壊滅した。いや、これは不適切だろう。正しくは、組織の組員及び関係者全員が惨殺された、だ。どうやらこの人身売買組織は、人体実験にも手を出していたらしい。繰り返された実験により両手両足を失くした少女が、木杭で心臓を貫かれて死んでいたそうだ。その胸には、カキツバタが置かれていたという。

カキツバタという、ここから遠い北にある国の花には、「幸せは必ず来る」という意味があるらしい。

死んだ両親の手にあった姿絵を思い起こす。

なぜ、殺した相手に何かしらを持たせるのか。その理由が、なんとなくわかった気がした。

組織の組員と、組織を贔屓にしていた貴族や商人は、両手両足に木杭が打ち込まれ、後頭部からも木杭を生やしていたらしい。どうやら口から木杭を打ち込まれたようだ。

またもや、温度差。それも、わかる気がする。

おそらく犯人は、悪に手を染めた人間は惨殺し、それ以外の人間は苦しみを与えずに殺して慈悲を与えているのだ。


最初の事件は、ウラスス歴三百十八年。アザレアの月が始まって二十日。隣国で知らない者はいないと言われるほどの豪商が、自宅の浴室で、背中から複数の木杭を打ち込まれて殺された。この時、心臓だけ正面から木杭を打ち込まれていた。この豪商、どうやら隣国の貴族たちに取り入って様々な情報を入手し、この国に高額でその情報を売っていたそうだ。さらには人身売買に手を染めていたらしい。この国でも、隣国でも、人身売買は法律で禁止されている。奴隷の所持も禁止だ。しかし、この豪商はスラムから子どもを浚い、その手の趣味を持つ貴族に売っていた。そのことが豪商の自宅の金庫に保管されていた売買契約書から明らかになり、子どもを買った貴族は爵位及び私財の没収を受け、社交界から消えたらしい。

二つ目は同じ年の、ネリネの月が始まって十三日。この国の中央都市のスラムに住んでいた自称自警団の男が、都市近郊の古きの森にて、全裸の状態で心臓と頭と股間に木杭を打ち込まれて殺された。心臓は背中から、頭は上から、股間は言わずもがな。心臓が先か頭が先か股間が先かは不明。この自称自警団の男は、廃嫡された伯爵令息だった。その廃嫡理由は、不貞。婚約者がいるいないに関わらず、父親の爵位に物を言わせて、見目のいい女性たちと肉体関係を持っていたらしい。廃嫡された後も好色なところは変わらず、加えて情けにと与えられた金貨一枚では足らず、女性を買うお金欲しさに、父親の屋敷に度々盗みに入っていたという。同じ男として恥ずかしい限りだ。

三つ目はウラスス歴三百十九年。プリムラの月が始まって一日。リールハインという隣国との境界にある街で、領主一家が殺された。領主と夫人、次期領主との声が高かった長男に次男、長女。そして、長男の妻と長女の夫。皆、心臓を木杭で一突きされていたという。それも正面から、両手両足を拘束された状態で。この一家は当時次男の誕生日パーティーを行なっており、そのパーティーでは、この国で使用が禁止されている薬物が使われていた。気分を盛り上げるためか、と始めは言われていたそうだが、後の調べでは、この一家が隣国の犯罪組織から薬物を購入し、さらには売人として街で売りさばいていたことがわかったという。帳簿から、国から与えられた事業費などの予算を横領していたこともわかった。

四つ目は同じ年の、ハレルヤの月の三十日。ネーシス領の修道院で、神教の司祭が十字架に磔されて殺された。頭、喉、両手両足。そして心臓。それぞれに木杭が打ち込まれていた。司祭は寄付金を横領しており、そのお金で女性を買っていたという。中には司祭に迫られて無理矢理肉体関係を持たされた修道女もいたそうだ。そのため領民は、これは神の裁きだ、と信じている。

五つ目はウラスス歴三百二十年。アネモネの月が始まって九日。とある騎士爵が、アートラート・マールという港町で、両手両足の骨を折られ、心臓と喉に木杭を打ち込まれて殺された。騎士爵は、国から許可を得た者しか行えない金貸しを無許可で行なっていたらしい。しかも利子を、国が定めた率の倍以上としていたらしく、金を貸した友人たちから恨まれていたそうだ。口約束のつもりが契約書まで用意されていたというのだから驚きだ。なぜ貸してもらった本人は、契約書のことを知らないのだろう。そもそも契約書を持っていたら、無許可の金貸しをしていたという証拠になるだろうに。


これらの事件の詳細は、なぜかウェンディアお嬢様の本棚の中にあった。

中央都市にある学院でよく使われるノート。そこに書かれた日々の出来事。そう、日記だ。

しかし、ただの日記ではなかった。それは、日記に見せかけた報告書だった。

お嬢様の、控えめな大きさながらも美しい字で、様々な情報が書かれていた。日記と見紛うほどに。入念に暗号化されて。

見つけたのは、おそらく偶然だ。お嬢様がネーシス子爵――旦那様と一緒に中央へ向かわれていて、俺は買い出しの係だったから居残った。買い出しが終わると暇だったから、お嬢様の本棚でも漁ろうと思ったのだ。たまに暇を持て余したお嬢様と二人で、その本棚の本を読みふけることはあったし、お嬢様から「好きなだけ読めばいい」と許可も得ていたから。何の気もなしに、何か面白い本はないか探していただけだったのに。

それなりに厚みのある本が詰められた棚の中に混ざる、一冊のノート。始めはただの日記だと思ったのだが、読み進めていくうちに、自分で調べた両親の事件以前の情報が断片的に散りばめられていて、もしかして、と思った。

そうして読み解いた暗号は、事件の詳細だった。しかし、犯人については書かれていない。事件が起きた日付と、殺された人間の罪が書かれているだけ。

俺の両親の罪は、人身売買に手を貸したことだった。

俺の病気の治療費のため、人身売買組織が人を拉致しやすいよう手引きし、その報酬として結構なお金を得ていたらしい。

報告書には、両親が苦悩していたことも書かれていた。本当は、こんなことをしたくなかった、と。

しかし、たかが男爵では、平民一生分の給金分の治療費は簡単に払えない。早くしなければ、俺が死んでしまうかもしれない。いつまで生きていられるかもわからない。

そこで使用人の数人が囁いた。組織に手を貸しませんか、と。ああ、だからあんな殺され方をしたのか、と納得した。

両親が殺されたのは、俺のせいか。俺の体が、弱かったから。今もたまに熱を出すが、それだけで済んでいるのは、両親が罪に手を染めてまで、俺の病気を治してくれたから。

わかりたくなかった。こんな事実。犯人への恨みは、どうすればいい?

枯れ果てた、と思っていた涙が頬を伝う。伝って、ノートににじんだ。幸い、何も書かれていない場所だったため、文字は潰れていない。

なぜお嬢様がこんな情報を持っているのか、どうやって手に入れたのか、この報告書は誰宛てなのか。わからないことは多い。

今わかっているのは。

俺という存在が、両親が罪を犯してしまい、殺されてしまう結果を作ったということだ。











ウェンディアお嬢様が帰宅した。帰宅してすぐに俺を見て、何かを悟ったようだった。旦那様が、悲しそうにお嬢様を見る。

お嬢様の自室に連れられる。夜分にあってはならないことだが、旦那様が了承なされた。「この子に訊きたいことがあるんだろう」、と。もしかしたら、俺があの報告書を見つけたのは、必然なのかもしれない。


「知ったのか」


女性にしては低めの声。かすれた様子のないそれは、俺を責めるのではなく、ただの事実としてつい出たようだった。


「知ってしまいました」


答えると、お嬢様は小さく息を吐いた。


「しかしそれは、罪ではない」「しかしそれは、罪ではない」


お嬢様の声と、それに被さるように聞こえた男の声。耳がおかしくなったか、と目を瞠ると、お嬢様は首を横に振った。


「私は罪を裁く者」「私は罪を裁く者」


罪を、裁く者。

つまり、それは。


「………両親を殺したのは、あなただったのですか」


証拠はない。ないが、裁きとも言える一連の事件は、この罪を裁く者によって引き起こされたのだろうと、根拠のない確信があった。

殺されたのは皆、罪ある者たち。優しい死を与えたのは、どうしようもない理由があったから。だから、手向けに姿絵を、花を持たせた。


「本当は、殺さずともよかった」「本当は、殺さずともよかった」


お嬢様、いや、罪を裁く者は、悲しそうに目を伏せた。


「二人が、死を選んだ。自分たちに、親たる資格はないと。しかし、我が子だけは、健やかに生きてほしい、と。来世で、再び家族となるために」

「故に、この子の父親に言ったのだ。事実を知った時、死を選ばぬよう、この家で引き取れと。さすれば、例え死を選んでも止められる」

「五日前のあれもそうだ。手足を失くした子ども。あれに罪はない。しかし、あれが死を望んだ。このまま生きていても苦しいだけだ、どうせ実験のせいで先は長くない、と」

「来世で、幸福があるよう、祈ったのだ」


お嬢様と罪を裁く者が、交互に語る。その言葉に、再び涙がこぼれた。


「俺の存在は、罪ではないのか」


思わず問うた。俺の存在が、両親の死につながったのだから、それは罪にならないのか、と。

罪を裁く者は、苦しそうに言った。


「貴方の存在を罪というなら、私も彼も、その存在自体が罪だ」「貴様の存在を罪というなら、私もこの子も、その存在自体が罪だ」


お嬢様が、本来彼、罪を裁く者はここにいてはならないのだ、と言う。

罪を裁く者は、間違って罪を犯してもいない人間に罰を与えた罪があるのだ、と言う。

その罪を贖うため、お嬢様の体を借りて、罪を犯した人間が、本当に罪を犯したのか見定め、罰を与えているのだ、と。それ以外には、安らかなる死を与えているのだ、と。


「ネーシス家は、元々国の諜報を司る一族だ。そのため、高い情報収集能力が要求される。噂話の収集はもちろん、枕仕事や尋問まで。私はそれらを必要としない。隠密だけで、得たい情報は得られる」

「この子の魂にその才を見出したために、私がここにいる。真罪深き者か、見定めるために、この子を利用しているのだ」

「では、よく脱走しているのは…」

「私なりの情報収集だ。罪を裁く者の力を使えば、転移も可能だから」

「……道理で見つからないわけです」


今まで何度か、お嬢様が脱走したまま半日以上戻ってこられないことがあった。それはすべて情報収集をしていたからか。

もしかしたら、そのことを知らないのは、この屋敷で俺だけなのかもしれない。何せ、従者と言えども、俺以外の皆が、収集方法は様々ながら高い情報収集能力を持っているのだ。さすがネーシス家、と感激した覚えが何度もある。そもそも事件の情報のほとんどは、従者・使用人仲間との会話から得たものだ。俺一人では到底得られなかった情報がぽんと与えられた時には、さすがに驚いた。どこで手に入れたんだこの情報、と。


「貴方には選ぶ権利がある」


お嬢様が、また小さく息を吐いてそう言った。


「選択肢は複数。私の従者のままでいるもよし、私をこの場で殺すもよし、辞めて市井で暮らすもよし。ただし、死を選ぶと全力で止める。貴方の両親の望みを叶えられないから」

「ちなみにこの子をこの場で殺すと、私は貴様の中に入ることになる」

「何それ聞いてない」

「今言ったからな」

「先に言って」

「すまない」


お嬢様の出した選択肢に驚いている間の二人のやり取りに、罪を裁く者――おそらく神に連なる者――が意外と人間臭いのだと思った。お嬢様と一緒にいるうちに人間臭さが出てきたのだろうか。


「この子と婚姻を結ぶ、という選択肢もあるぞ」


思い出したように、罪を裁く者がそう言った。自らの口から出たその言葉に、お嬢様が目を見開く。俺も驚いて、みっともなく口が開いた。閉じようにも、閉じ方を忘れてしまった。それほど動揺しているらしい。

いや、確かに。初恋はお嬢様で、両親が死んでからも、その容姿に、行動に、雰囲気に癒されて――悲しいことに復讐心は燻ぶったままだったけれど――きた。今でも、従者でもなんでも、形はどうあれ一緒にいたいと思うし、他の男と結婚して欲しくないと思うし、子どもを作るなら俺と、とか思う。あ、これいろいろと残念なやつだ。なんだっけ、隣国で流行ってるあれ。誰かここに病院を建てろとかなんとか。

駄目だ。頭が上手く働かない。今日はいろいろありすぎて、一日の情報の許容量を超えてしまったのだろう。


「とりあえず、保留にさせてください」


俺の返事を聞いたお嬢様は、「存分に悩め」と、ちょっと困ったふうに笑った。


――復讐心が懺悔の念に変わった今、俺はどうすればいいんだろう。


お嬢様にも、罪を裁く者にも恨みはない。ならば、両親の願いを叶えるためにも、彼女の傍で幸せになってもいいのだろうか。今見せてくれたような笑顔を、見続けてもいいのだろうか。

結局のところ、どんな理由があっても、俺はお嬢様の傍を離れたくないのだと気付いたのは、お嬢様の誕生日パーティーで罪を裁く者のサプライズ――黄色いバラの花びらを風の魔法で降らせていた――により、お嬢様の嬉しそうな笑みを見た時だった。

というか、魔法使えるんだな、罪を裁く者。お嬢様が転移とか言ってたし、やっぱり神に連なる者なんだろう。でなければ魔法ではなく科学が主流になった今の時代、そうそう使えるものでもないから。






俺が十八歳になった時。旦那様からお嬢様を嫁に、と勧められた。笑顔で了承した。お嬢様からは罪を裁く者を押し付けられた。……え、なんで?

二人きりの断罪者=ウェンディアお嬢様と罪を裁く者。後にお嬢様の旦那さんも手伝わされる(押し付けられたとも言う)。

十八歳なのに二十三歳に見られる旦那さんと、二十歳なのに十二歳に見られるお嬢様。旦那さんは別に老けてるわけではなく、背が高くがっしりした体格に加えて彫りの深い顔立ちのため、年相応に見られないだけです。子爵家の皆さまとの鍛錬のせいとも言う。お嬢様は単純にチビで童顔なせい。合法ロリ。本人曰く、「隠密行動に胸が邪魔になるという無様なことが起きないから助かる」。脱ぐと腹筋割れてて二の腕は細いながらもしっかり筋肉ついてます。特に脚の筋肉すごいです。がっちがちやでぇ。

罪を裁く者は神ネメシスの眷属。無実の悪役令嬢に不要な罰を与えた罪で、真実の見極めができるネーシス家のお嬢様に憑依することに。ネーシス家の興りは神ネメシスの信仰によるものなので、魂の親和性は高かった。でもお嬢様にしてみれば、余計な仕事をさせられるので、正直いらない。「誰が好き好んで男に憑依などされるものか」とはお嬢様の弁。

お嬢様が喋らないのは、単純にめんどくさいのと、罪を裁く者の声がうっかり出ることを防ぐため。あと自分の声があまり好きでない。見た目に似合わないから。だけど旦那さんにそんなところも好きだと言われて、照れ隠しに旦那さんの脇腹に手刀を入れる日々。ツンデレ。正直恨まれてなくて、嬉しいやら悲しいやら。

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