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第壱話:始まりのチャイム

第壱話「始まりのチャイム」



僕の名前は加藤翔カトウ ショウ 普通の日常を過ごしていた中学2年の男子生徒である。

見た目はまぁ…中の下(自称)ぐらいだが…モテたためしがない。

今日は2年の一学期が始まる日である。僕は毎日が暇でしかたなかった。毎日つまらない学校の繰り返し… 一時期引き篭もりになろうかと考えた事もあった… でも今日から新学期。クラス表を確認し、自分は4組だという事がわかった。自分には特にこれといった友達もいない… 今学期こそ一人ぐらいは友達を作ろうと思っている。

僕は大のゲーム好きで、時にはクラスの人から「ゲヲタ〜 ゲヲタ〜」とはやされた事もあった。そんな事を考えながら僕はクラスの後ろのドアを開けた。


ガラガラガラ…


一瞬皆がこっちを見た。しかしまた友達に向きなおし話し始めた。「まぁ、しかたないか…」と心でつぶやく。そんな時、僕の目がある女子生徒に向けられた。見たことない人だった。「転校生かな?」と思いながら席に着いた。


キーンコーンカーンコーン


学活開始のチャイムが鳴った。


ザワザワザワ


皆は新学期が始まってテンションが上がっているみたいだ。ずっと隣や後ろの人と話している…そこへ


ガラガラガラ


先生が入ってきた。見た目は無精ヒゲにボサボサ頭黒いスーツを着ていた。

「おーい。皆そろそろ静かにー」と声をかけると一瞬辺りはシーンとなったが、少し経つとまた少しずつざわつき始めた。

「ではー、まず私の自己紹介をしよう。私は落合学オチアイ マナブ見てのとうり中学教師だ」

先生が自己紹介をしたが、誰一人として聞いている人はいなさそうだ…

「さっそくなんだが、皆に伝える事がある。」と先生は言って、真ん中の列の一番後ろにいる女子生徒を手招きした。彼女はスッっと立ち上がり、前に出た。さっきの子だった。

彼女が立ち上がった瞬間、クラスの男子生徒が皆の目が彼女を見た。

「えぇーと、ではまず自己紹介から。」

桜井春香サクライ ハルカ…」

「えー、今回は親の都合で転入してきた桜井さんだ。皆仲良くしてやってくれー」

「うい!」│(クラスの男子一同。僕を除く)

キーンコーンカーンコーン


学活終了のチャイムだ…

「ではー次は始業式なので皆遅れないように!以上!はい、号令ー」

気を付けー れー

「ありがとうございましたー」

号令を掛けた瞬間、男子生徒が一気に立ち上がり桜井さんの席を囲んだ。まぁ無理もない…背は高いとも言えないが、無表情で少し可愛いし… まぁ、あの輪に入る気は無いが…

「ねぇねぇ、前の学校何処?」「彼氏いるの?」「好きな食べ物は?」「好きなテレビ番組は?」僕の席は窓側の一番後ろ、彼女の席は通路を挟んで右隣である。そのため質問が飛び交っているのがよく聞こえる。しかし、彼女の声はまったく聞こえない。まぁ、あの自己紹介からして結構おとなしい性格なんだろうな。すると一人の男子生徒が、「ヤベッ!始業式!あと2分もねぇぞ!」と言うと、男子皆時計を見て「本当だ!ヤベェ!急げ!」男子生徒が皆自分の体育館履きを席から取り、一目散に走っていった。僕は一人取り残されてしまった。いや、桜井さんも居た。僕はあまり人初めての人と話すのは得意ではないが、彼女に話しかけてみた。

「あ…あのー 桜井…さんだったよね?」コクッっと彼女は首をふった。

「始業式始まるから早く行った方がいいと思うよ?」彼女はスッっと立って教室を出て行ってしまった。今度こそ一人っきりである。時計を見ると、8時49分… 始業式の始まりは8時50分…

ヤバイ!こんな初日から恥をかくのはゴメンだ!僕は全速力で体育館に向かった。


体育館には沢山のパイプ椅子が並べられていた。僕は入ると体育館履きに急いで履き替え、席に着いた。その瞬間


キーンコーンカーンコーン


終業式始まりのチャイム。

「うわぁー よかったぁー 間に合ったぁー 一時はどうなることかと思ったよ…」と息を切らせながら心の中でつぶやいた。


司会の生徒会の女子生徒が出てきて、「それではこれより、春間夏鈍ハルマゲドン中学校始業式を開会します。それではまず、校長先生より。校長先生お願いします。」

壇上に背の低い口ヒゲを生やした小太りの校長が立った。


「気を付け! 礼!」


「おねがいしまーす」


「えぇー 今日から新学期、皆休みボケをしてない事を願いますよ私は最近犬を飼い始めていやぁー可愛いのなんのって…」校長先生の話はいつもくだらない… 僕は校長の話を聞くよりも、辺りをキョロキョロして桜井さんを探した。

いた。僕の席から約7,8個後ろの席に前を見て無表情で座っていた。

「えぇーですからー皆さんも今後受験やらその他で忙しくなると思いますが、頑張って下さい。以上で私からの話は終わりにさせていただきます。」


「気を付け! 礼!」


「ありがとうございましたー」


やれやれ… どうやら長くてくだらない校長の話が終わったらしい。僕は少しホッとした。

「では次に、先生から。何か連絡のある先生方はいらっしゃいますか?」

辺りが静まりかえった。

「いないようなので、これで春間夏鈍中学校始業式を閉会します。」


「気を付け! 礼!」


「ありがとうございましたー」


ザワザワザワ ザワザワザワ ザワザワザワ


号令を掛けた途端皆がまた喋りだした。なぜそんなに話すのだろう?僕には分からない…

すると隣に座っていた女子が急に、「ねぇ?どうしてそんなに悲しそうな顔してるの?お葬式でもあったの?」と聞いてきた。彼女の名前はたしか… 小倉沙希オグラ サキクラスの中でもトップクラスの可愛さを誇る女子であり、男子の中では憧れの存在である。

その彼女が…僕に話し掛けている…これは…どんな風の吹き回しだろう?初日からこんなにも嬉しい事があるとは!

「ねぇ?どうしたの?」彼女が僕の顔を覗き込む、「あぁ…何でもないよ。ちょっと考え事してただけだよ。あぁー べ…別にクラス1の女子が僕なんかに話し掛けてくれている事を心の中で嬉しがってたわけじゃないよ。」あっ… やってしまった…と僕は思った。なぜ言ってしまったんだろう…

「ふーん。そうなんだー」あれっ?怒ってない?まぁそれだけ心が広いんだろう…と解釈しておこう。

すると4組が体育館を出て行く番になった。時計は9時30分。校長先生長く話したなーと思いながらパイプ椅子を生徒会の人に渡し、体育館を後にした。

今日は初日だったので、後は教室に戻り学活をして解散だ。

僕は心の中で帰ったらする事を考えながら一人教室に向かった。

教室のドアは開いていた。さっき開けたまんまのようだ。僕は教室に入り、教室内を見渡した。教室には桜井さんが一人だけ席に座っていた。机はさっき男子がゴチャゴチャになりながら走っていったのでグチャグチャだった。

一人教室にいる彼女は本を読んでいた。何を読んでいるのか見えなかったが、難しそうだった。

その内生徒達が続々と教室に戻ってきた。

僕は一人窓辺の席に座り、外を見ていた。今日は雲1つない快晴であった。すると。


キーンコーンカーンコーン


本日三度目のチャイムが鳴った。

皆はチャイムが鳴った事に気づき、急いで席に着いた。2,3分後、先生が入ってきた。

「はい。では号令をお願いします。」


きをつけー れー


おねがいしまーす


帰り学活の始まりだ。僕にとってこんなにも暇な時間は無い… 早く家に帰りたいのが僕の本心だ。

「えーと、じゃあまずは始業式ごくろうさん。皆ちゃんと時間どうり到着したみたいだったな。初日から遅れたらどうしましょうか?と先生達の間で話し合ってたんだが、遅れて来たら放課後に残して掃除でもって言ってたんだが。ちょっと残念だったなぁー休みの間溜まったゴミをキレイにしてもらいたかったんだが…」うわぁー アブねぇー 危うくそうなる所だったよ… 少しでも早く帰りたいのに…そんな事されたらたまんないよ…

「では、私からは以上ですので、ちょっと早いが終わりにしましょう。はい号令ー」


きをつけー れー


ありがとうございましたー


号令が掛かった瞬間また辺りは騒音に包まれた。僕はカバンを持って一番に教室を出た。

昇降口でスニーカーに履き替えると、強歩で帰路についた。僕の両親は小さい頃交通事故で死んでしまっているので、今は親戚のおじさんの家に居候している。おじさんの家は学校から約20分程度で、家の近くには人気の無い広場がある。僕は小さい頃よくそこで一人戦隊ヒーローの真似事をして遊んでいた。

歩き続けて約18分ぐらい経った頃その広場に差し掛かった。すると、そこには一人の女子中学生が制服のまま片手に30cmぐらいの木の枝を持ち、立っていた。近づいてよーく見ると…

「桜井さん…?あんな所でなにしてるんだろう?」

と思いながら近くにあった岩の陰から見ていた。

すると、彼女の手が青白く光り出し辺りはまばゆい光につつまれた。僕は見ていられずに、目を覆った。光が消えて目を開けると、彼女の手には… 日本刀? なぜ?木の枝のはずじゃ…?すると、どこからともなく、学らんを来た中学生が約10人出てきた。彼女はその手に持っている日本刀で彼らをズバズバと切っていく。

「こ…これは…戦国無双!いやいや、人殺し!?なぜ?Why?」

僕はなにがなんだかさっぱり分からない…しかし、よく見ると彼らの目は赤く普通ではない…「何だこのアニメやマンガのような人達は… ここは現実だよな… イタタタタ…」僕はほっぺを引っ張ってみた。痛かった。「これは夢じゃない…現実味がないけど現実だ…」すると後ろに何か気配を感じた。とっさに振り向くと桜井さんが戦っていたあの中学生が目の前に立っていた。赤い目を光らせながら…

彼の手が近づいて来る… 「嫌だ…まだ死にたくない! まだやりたい事が沢山あるんだ!」

しかし、彼の手は止まらずどんどん近づいて来る「もうダメだ…僕の人生はここで終わるのか…」と思いながら僕は目をギュッと閉じた。

目を閉じた次の瞬間。


ズシャーーーーー!


という音と共にパンッと何かがはじけるような音がした。

僕は恐る恐る目を開けた。そこには桜井さんが日本刀を持って立っていた。

「あなた…どうしてここに…」彼女は静かに言った。

「い…いやー 家がすぐそこだから、通り掛かったんだよ。」僕の声は少し震えていた。無理も無い、さっきまで生と死の綱渡りをしていたのだから…

「ここから早く離れて…」 「えっ?」 「いいから…早く…」 「あ…あぁ…」

僕は一目散に家に向かった。

家に着くとおじさんがテレビを見ながらせんべいを食べていた。

「おぉー おかえりー学校どうだったんだ?」僕は答えられなかった。でもせめて「よかったよ」と言って部屋に向かった。僕は帰り道で起こった事が理解できずにベッドの上にねっころがった。

その日の夕飯はほとんど残してしまった。

「もう今日は寝よう。」と決め、ベッドに横になった。


次の日の朝、僕はいつもより早く目が覚めた。

別にする事も無いので、ボーっとしていた。昨日の出来事を思い出しながら…

おじさんが部屋に来て、「朝ごはんの準備ができたぞー」と呼びに来た。

普通に食べて、僕は出かけた。昨日よりも早く歩いて。早く桜井さんに会うために。


学校に着くと教室の後ろのドアが開いていた。僕はそのドアから中を覗いてみた。やはり桜井さんが一人だけ教室に難しそうな本を読みながら自分の席に座っていた。僕は彼女に歩み寄り、話しかけた。

「昨日の出来事はなんだったの?」ダイレクトに聞いてしまった。なんせ、コミュニケーションが苦手なのでこういう聞き方しかなかった。

彼女は本をパタンッと閉じて、こっちを向いた。



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