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短編

不平等を願う者

作者: RK

 理不尽に嘆く者がいた。

「この世は不平等だ。運に恵まれた者が甘い汁を吸い、不運に遭った者が地べたを這いまわる」

「私は平等を願う!私は平等を願う!平等を願う!」

 そのものは理不尽に飲みこまれ、死んだ。

 平等と言う言葉に惹かれ、周りの人々は平等な世界を作り出そうと奮起した。


 だが、ここで首を傾げる。

 なにが平等なのだろうか?

 私がそう思うには理由がある。

 分かり易く例えよう。例えられるかは心配だが。

 ここに椅子が3つある。

 椅子の大きさはどれも等しく、同じ材質、同じ製法で作られている。

 仮定の話なのでこの椅子に全く差異が無いとさせて貰おう。

 そしてそこに3人の男がいる。

 別に女性差別だとかそういうニュアンスではない。たまたま男で思いついただけだ。

 身長はそれぞれ150cm、160cm、170cm。

 映像が流されており、椅子に座って視るには150cmには視えない。

 160cmと170cmは問題ない。

 不平等ではないだろうか?

 ならそこで150cmに大きな椅子を与えればいいのではないか?という話になる。

 だが、それも不平等だろう。

 160cmと170cmも望めばその椅子を与えられなければ不平等だ。

 何を持って平等とするのか、それを明確に定めている人間はいるのだろうか?

 ただ、平等という言葉に惹かれていないだろうか?

 男女平等という言葉がある。

 女性も男と同じ仕事をやらせろだの、云々のアレだ。

 女性のみ安くするといった商法、不平等では?

 そこで向こうの言い分はこうだ。

 昔、女性は男性に差別されていた

 私は若い世代なのでその時代を知らない。

 不平等ではないか?

 平等とは適材適所という言葉と真っ向からぶつかり合う言葉だと思う。

 そもそも、生まれながらにして人間は差を持って生まれてくる。

 それすらも不平等だろう。

 死すらも平等ではない。

 生きた時間は例え一秒でも差を生みだす。

 真の平等な世界とはなにか?

 それは平等を唱える生き物が消えることだ。

 平等を願う心は尊いとは嘘だ。

 平等を願う心は、野心に塗れ、醜い嫉妬が生み出すものだ。

 無論全てがそうとは言わない、だが、基本的には自分がそうありたいと思う心が平等を唱えるのだと考える。

 だが、彼らは持たざる者ではない。

 持っていながら、他人の者に憧れるのだ。

 私はそんな平等な世界に疑問を投げかけた罪で死を告げられた。

 平等と謳う世界に、思想の自由は無いようだ。

 世界の平和を脅かす悪だと断じられ、私の命はここで終わる。

 平等を作る者たちが、理不尽を与えられた者達が、私に理不尽を与えるのだ。

 死は平等ではない。

 私は若くして死ぬ。

 どれだけ生きられるか分からないが生きるはずだった時間を奪われる。

 いずれ思想すらも平等となるだろう。

 思考すらも、平等となるだろう。

 人は全にして個に。

 等しく同じ無価値な存在に。

 歯車という一つの部品に。

 平等に使いつぶされ、平等に同じ時期に死ぬように。

 そんなくそったれな世界になる。

 願わくば、世界に不平等が訪れるように。

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― 新着の感想 ―
[一言] 興味深い作品でした。 平等って確かに曖昧ですよね。 けれど人がそんな憧れを抱き、理想として追い求めるのは悪いことではないと思います。 実現不可能であり、実現させてはならないものですが、理想と…
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