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龍之介が出張している間に


 私、武石優香。久々に実家に帰って来ている。実家と言っても、下高井戸から二十分程八王子方向に行った所。どうせまた例の話だと思う。


「優香、この人どうかしら?」

「お母さん、私はお見合いなんてしません。自分の夫は自分で見つけます」

「でも、あなたが大学出てからもう五年よ。今年二十八になるでしょう。そろそろ良い人を…」

「私は、まだ二十七です。それに好きな人を見つけました」

「本当?だったらすぐに連れて来て。お母さんお会いしたいわ」

「彼は、今USへ仕事で二ヶ月出張しています。直ぐにはこれ無いし、とても忙しい人ですから」

「あら、USへ出張なんて、凄い人ね。益々会いたくなったわ」



 見合い逃れに苦し紛れに神崎君を出したけど、変な方へ話が進みそうだ。方向変えないと。

「それよりお父さんは、いつ帰って来るの?もう任期は過ぎているわよね」

「あの人は、もう一年任期延長になったわ。ウェールズが住み心地いいみたいよ」

「お母さんも行けばいいのに。私は心配いらないわ」

「私は、あんな寒い所嫌いよ。英語も気障だし、変な現地語訛りもあるし。それより見合いの話だけど」


「お母さん、とにかく私の夫になる人は自分で決めます」

「でもねえ、あなたに結婚して貰って、お婿さんにここに来て貰わないと」

「お母さん、何考えているのよ。私はお婿さんは取らない。嫁ぐつもりよ」

「でも、そうしたらお母さん達はどうするの?」

「お父さんと一緒に考えて」

「そんな事いわないで。ねっ」



 久々に帰って来れば、お見合いの話ばかり。優しくて私を本当に大事にしている両親だけど、甘えさせられ過ぎるから、大学卒業と同時に家を出た。


 大学は家からバスで簡単に行ける青百合女子大学。そして保険組合の仕事に着いたけど、全然仕事が面白くない。


勿論残業なんて全く無いし、それはそれでとても良いのだけど、トキメキが無かった。何度目かの合コンで出会った男と半年付き合った。


最初はとても紳士的で、この人ならと思って初めてをあげたら、体の関係が出来てから態度が一変してしまった。

とても付き合っていられないと別れを切り出したら逆切れされて、警察にまで届ける羽目になってやっと別れる事が出来た。


それからは、日本橋当たりのスナックで副業的に働いて良い人がいたらと思っていたけど、中々現れなかった。

 働いて三年目、もう無理かなと思ったところにIT関係の会社に勤める常連の竹内さんが、連れて来たのが神崎龍之介君。


 仕草や話し方からして育ちが良い事は直ぐに分かった。バカでもないみたいだし、少し様子を見ている内に来なくなった。


 駄目かぁと思って、そのスナックも限界と思って、今のアパートのある町の知合いのスナックに勤め始めたら、なんと神崎君と出会った。


これは天啓と思って近付いたら、また来なくなって、来たと思ったら、情緒不安定なままに深酒された挙句、抱かれてしまった。


 まあ、私もこの人ならと思っていたから、いいのだけど。幸い酔った次の朝、前日の事は全く忘れていたので、ちょっと冗談、彼女にしてくれるって言うからしたのにって言ったら信じてしまった。

 そして律儀にもUSへの出張前に挨拶にも来てくれて、また抱かれた、いや抱いて貰った。


 育ちが良い上に頭もいい。これは見逃す手はないと思い、本格的に彼を私に向かせる為の方策を考えている時に見合いの話だ。嫌になってしまう。

 でも今回の話を断る為に神崎君を出汁に使ったけど、結構これ利用できるかもしれない。




 私、御手洗千賀子。りゅうがUSへ二ヶ月の出張に行った。彼はまだ知らないけど、帰って来た六月に副室長になる。もちろんプレイングマネージャだけど、商用AI企画開発室の中でも出世頭だ。二十七才の副室長。勿論これからも出世して行くだろう。


 今は、仕事に没頭して、セキュリティも厳しい中にいるが、副室長ともなればAIの開発にだけ関わって行く訳では無い。社内外の対応もしなくては行けなくなる。


 そうすると、今まで彼の存在に気が付かなかった女性達が、彼に気付く事になる。だから出来ればその前に彼と親密な関係になっておきたい。


 そしていずれ私の夫になって貰うんだ。私は彼のパートナーとしての資質は十分あると思っている。それは間違いない。


 前にUSから帰国した時にちらついた女性も最近は見えない。別れたのかしないけどいずれにしろ好都合。



「御手洗さん、この資料まとめておいて。出来たら一度俺が見て、それから室長の所に持って行くから」

「分かりました。期限は?」

「室長に提出するのが三日後だから明後日の昼までには俺の所に持って来てくれ」

「分かりました」

「ところで御手洗さん、今日は退社後空いていないかな?」

「残念ですが、用事が入っています」

「そうか、じゃあまた今度」


 私もそれなりに容姿には自信がる。だから企画室内でも結構、誘われる事は多い。でもりゅうと比較すると全員が劣る。

イケメンとかいるけど、そんなのは、学生までのおまけみたいなもの。社会に出て、そんな男を追いかける尻軽女ではない。


 さて、それより、いくら二ヶ月出張と言っても土日は空いている。ふふっ、遊びに行こうかな。先に連絡しておけば無下には断らないだろう。この前の水曜日も残業で中止になったし。




 私、西島まどか。渡辺の一件は、社内に漏れる事なく終わった様だ。まだ分からないが、今の所陰口を言われている様な気配はない。


 弁護士の先生の話だと、なんと私以外にも被害者が居て、常習的な所がるという事で、軽く見ても十年は出て来れないという事だ。

奥さんも離婚したらしい。私に何か言って来るのかと思ったけど、こちらは被害者ので、なにも言ってくる事はないそうだ。


 後は、冷却期間をおいてりゅうにもう一度、お付き合いを申し込む。確かに汚れた私だけど、私が渡辺に好意を持ったわけではない。無理矢理されたのだ。


りゅうだって一度は結婚を考えてくれた。そんなに簡単に捨てられるとは思わない。もう一度、本当に思いを伝えれば心を開いてくれるかもしれない。諦めるのはその後でも遅くはない。私は若いのだから。


―――――


投稿意欲につながるので少しでも面白そうだな思いましたら、★★★★★頂けると嬉しいです。それ無理と思いましたらせめて★か★★でも良いです。ご評価頂けると嬉しいです。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

 


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