4 何も気にせず掃除すべし
連絡したいことがあります
ふうう、街到着!
途中からスライム以外も出てきても戸惑ってはいない。冷静にホウキで叩き飛ばしといた。レベルも3に上昇した。どう振るかは迷ったけど私の掃除道具戦闘で重要なのがSTRとMAG、それぞれの火力を上げたいから振っといた。
街に行く途中プレイヤーともすれ違ったけど今度は何にも言われなかったし、順調ではなかろうか。
それはそうと、街まできた最大の目的! いろんな機能の解放です! その中にはフレンド機能も含まれているのです。というわけで少しログアウト。
はいログイン!
連絡完了! 今の容姿を伝えたら少し引かれてたような気もするけど。今も遊んでたらしく、少し離れたとこからここ、〈ハジマチ〉へ直行してくれるらしい。それはそうと、始まりの街だからって命名手抜きすぎると思う。
もう連絡したし、待ってる間暇だな。
さあ! 暇になったらやることと言ったらー? そう、お掃除です!
私は掃除すればするほど、強くなるからね。掃除すれば経験値貰えるし、ゴミを拾ってゴミ箱へポイすれば能力で強くなる。ならやらないわけにはいかないでしょ!
掃除開始だ!
まずどれが掃除判定になるのか調べたい。私が知ってる掃除はゴミ掃き、雑巾掛け、ゴミ拾い、汚れを取るとかなんだけど、ゲームさん的にどれが掃除判定かどうかは調べておいて損はない。
まずゴミ掃きからだね。ホウキでさささーっと。街中を掃いていく。
『ゴミ掃き! 経験値を10獲得しました』
おおー! 経験値獲得には少しだけじゃダメっぽい。今も10秒ぐらい掃いて貰えた。いや10秒? 早くね?
1秒とかで貰えるわけはないと思ってたけど、10秒で貰えるならすごいお得だぞ? 実質1秒で1経験値だからね。
『ゴミ掃き! 経験値を10獲得しました』
『ゴミ掃き! 経験値を10獲得しました』
『ゴミ掃き! 経験値を10獲得しました』
『ゴミ掃き! 経験値を10獲得しました』
『…………』
『……』
『ゴミの溜まり場! 経験値を100獲得しました』
『レベルが4に上昇しました!』
??!!? 今なんか起こんなかった?
経験値を獲得しようと無心で地面を掃いてたんだけど、最後になんか特殊なログが出てきた。ゴミの溜まり場、ゴミがたくさんあるとこを掃除したから余分に経験値もらったってことかな?
めちゃくちゃ経験値うまうま。
そして、なんか最初とは違ってあるんですよ、ホコリが。
ホウキで掃いてる途中からね、少しづつ埃が溜まっていってるんだよね。でさっきのゴミの溜まり場! というログがあるとかなり大きくなった気がする、ホコリが!
【大きいホコリ】ゴミクッズ・ゴミ
・何にもないただのホコリが集まり、大きくなったもの
・大きくしてもホコリはホコリ
・拾ったらカルマ値が上昇するかもしれない、けどホコリ
・ホコリを拾って持ってても、拾えるアイテムが減る、つまりゴミ
・異常なほど軽い
重量0.001kg
説明文こうよ!
お試しモード中に拾ったゴミみたいな説明です。同じようにゴミクッズとして書かれてるってことはゴミの仲間なんだろうね。で、ゴミってことはだよ? みんなはゴミはどうする? そうゴミ箱へポイっ!
『異次元のゴミ箱へとゴミが入りました!』
『ゴミ拾い! 経験値10獲得』
『スキル【異次元のゴミ箱】の能力発動!』
はい出ました〜。あ、今回は普通に手動でポイしたからね? 街中で変なことを唱える趣味は持ち合わせてま〜せ〜ん!
今回も同じように能力が発動した。
どうなってるんですかな!
【異次元のゴミ箱】 ユニーク・上級【特殊】
・スキル【掃除術】がないと装備できない
・スキル【異次元のゴミ箱】
┣ 【もう腐りたくない】1%の確率で腐攻撃1%カット
┗【ホコリのように軽く】1分間AGI+1 クールタイム5分
・成長して、どんどん強くなるよ
・破壊不可
重量1.1kg
はーい、またなんかついてます。
このスキル【ホコリのように軽く】を発動をさせると、発動すると1分間の間AGIが+1される。クールタイムは5分間。
使えねえええ。1分間AGI+1とか使い道がないって。+1されてもそう変わらんのよ。
しかも微妙に長いクールタイム。使い所なさそう。装備の成長効果がスキルにまで及ぶことを願おう。そしたら少しは使いやすくなるかもしれん。
ここらへんで区切りをつけまして、掃除をやめます! 掃き掃除を!
次はスプレー掃除に移ります!
スプレー掃除なら欲しいのが、そう、雑巾です!
そして、雑巾、都合よくあるんですよねえ。
なぜあるかというとですね。私が来てる作業着、色々便利な機能がついてましてですね。まず、スプレーを取り付ける部分が腰の部分にありまして、そこに掃除用スプレーがピタッとフィットするようになってるんです。
更に小道具ポケット的な場所があり、そこにあるんですよ、雑巾が。
特殊能力として、水がなくても水拭きに出来る設定に変更可能! 不思議な雑巾もあったもんだ。作業着に感謝しないとね。
今思ったけど勝手に掃除して何らかの法に触れてない? 大丈夫? うん大丈夫だよね。なら勝手に建物にアルコール吹きかけてもいいよね。そしてそこを雑巾で綺麗に拭いていく! アルコールを使うから水拭きじゃなくてもいいかなと思って水拭き設定じゃあなくしてるよ?
ゴシゴシ、ゴシゴシ。
『アルコール拭き! 経験値を20獲得しました』
ゴミ掃きと同じように少しゴシゴシしてたら経験値獲得した。
けど掃除時間が大体10秒なのは変わらないけど、経験値が倍になってる!
こっちの方がお得だね。
さあレッツ拭き掃除!
『アルコール拭き! 経験値を20獲得しました』
『アルコール拭き! 経験値を20獲得しました』
『アルコール拭き! 経験値を20獲得しました』
『乾拭き! 経験値を10獲得しました』
『乾拭き! 経験値を10獲得しました』
? ちょっと待ったあ! 拭き掃除一旦止め!
途中からログに変化が生じた。アルコール拭きから、乾拭き! になったし、経験値も半分になってる!
なんてこった!
原因は何だ? 消毒用アルコールの効果が切れた?
だからアルコール成分が飛んじゃって乾拭きに変化したってことぉ? アルコール拭きの方が経験値も高めってことか? そこまで作り込みしてるのか? やばい、このゲーム、やばいぐらい完成度高い! 楽しいいぃ!
で、だね。仮説が正しいとして、試してみたいことがあるんだよ。
キュッキュッキュ、ゴシゴシ。
『水拭き! 経験値を15獲得しました』
きたあぁー!
やっぱりあるよねえー! わざわざ、ログを分けてるんだよ? アルコール拭きと乾拭きで。なら、水拭きもあるよねえ。経験値は15とそれのアルコールと乾拭きの中間。
やっぱり乾いてるか、水で拭いてるか、はたまたアルコールかどうかで変わるんだ! これぐらいの要素が他にもあるかもってことでしょ?
奥が深すぎるよ、知ってたけど。
続けて、拭き掃除!
『水拭き! 経験値を15獲得しました』
『水拭き! 経験値を15獲得しました』
『水拭き! 経験値を15獲得しました』
『汚れ水落ち! 経験値を150獲得しました
『レベルが5に上昇しました』
『レベル5に到達しましたねえ?』
急に話しかけてこないで欲しいね、マイーナちゃん。
『レベルが5の倍数の時はセツナにあげた装備が大幅に強化される、かもしれないの。今回はスプレーが強化対象です』
さらっと重要情報落としていきよった。
ええと、スプレーの性能はと。
【お掃除スプレー!】 ユニーク・上級
・スキル【掃除術】がないと装備できない
・スキル【お掃除スプレー】使用可能
・成長して、どんどん強くなるよ
・ダメージはMAGを参照する
・破壊不可
重量0.25kg
変わってなくない?
『スキル【お掃除スプレー】が、強化されたはずですよ』
あ、マイーナちゃんが直々に教えてくれた。
スキル【お掃除スプレー!】
・消毒用アルコール発射!【MP・5n(0≦n≦10)】
うーん? 表示バグり出した?
『消費MPを任意の量で調節可能になりました。けど制限として5n、つまり5の倍数のMP消費という制限と、最大で50消費までということを表しているんですよ。MPの消費に合わせて、威力は変わってきますわ』
ああ! なるほど。言われてみれば数学の表し方だわ、これ。
nの部分に10という制限付きか。
『事前に消費MPを設定しておくことも可能ですわ。頑張ってくださいね』
うーい。うーん、今まではMP20消費だったよね。このままでもいいけどどうしよう。40ぐらいに設定しとくか。
さあて掃除再開だあ!
「あのー、すいません」
む、何者だ?
「スクショ、掲示板に掲載してもいいです? いいなら許可をもらいたいんですが」
スクショ? 私に聞くってことは、私のスクショってことだよね?
何で私のスクショを掲載するんだ? あ……。そうか……。私、今掃除屋スキンしてるんだった!
いやダメだね、そういうことを噂するのがいかん。
というわけで答えはNOだね。 しかもいつの間にかギャラリーが集まってるんだが。
「もう、少しは晒されとるみたいだな。許可なしだったおかげですぐ消されたらしい」
は? 何? こいつ以外にもう私のスクショを掲示板に晒したやつがいると? 殺そう。
何となく晒したやつの予想はつく、あいつだ、1番最初にこの世界に来てあったプレイヤー。
あの反応からあいつで確定レベルだろうね。私の勘をなめないで貰いたい。
でどうやって殺しに行こうか。もうあいつは逃げているだろうし、そもそも顔もあまり私は覚えていない。
う〜ん、よし決めた!
腹いせにこいつをボコす!
まずは奇襲のアルコール発射!
『アルコール発射! クリティカル! ダメージを72与えました』
か〜ら〜の!
ホウキでボコボコじゃい!
『ダメージを35与えました』
『ダメージを38与えました』
『ダメージを32与えました』
『ダメージを42与えました』
硬いなぁ?
まだ奇襲に対応できていない。ならこのままや殺りきる!
『ダメージを40与えました』
『ダメージを39与えました』
『ダメージを40与えました』
『ダメージを36与え、撃破しました。経験値を543獲得しました』
『レベルが6に上昇しました』
『6250シル入手しました』
『回復ポーションを3個入手しました』
うえーい。やってやったぜ! 堅かった、レベルいくつぐらいだったんだろうね。
反撃に打って出てくる雰囲気もなかった。というか武装すらしてなかった。
交戦するつもりはなかったんだろうね。
すまんねえ、恨むなら私を晒した人を恨むが良い!
『すいませ〜ん? 何で気軽にキルしちゃってるんですかね?』
あ、マイーナちゃん、ども。
『街中で犯罪を犯して、バレると色々めんどくさいことになりますよ? まあわたくしが何も教えてなかったのが悪いので、今回は何とかしといてあげますけど。次からは面倒ごとを犯さないようにしてください』
ありがとうマイーナちゃん!
次からは人がいないとこで殺すことにするよ。
今の戦闘で元々いた人たちから更に増えてる気がするからね。
まあ関係なく掃除するだけ。
『ゴミ掃き! 経験値を10獲得しました』
『ゴミ掃き! 経験値を10獲得しました』
『ゴミ掃き! 経験値を10獲得しました』
ふう、大分ホコリが溜まってきたね。
わざわざ経験値が低いのにゴミ掃きをしているのは、さっきマイーナちゃんに教えてもらったことが関係している。マイーナちゃん曰く、「同じゴミをゴミ箱へほかれば、更に成長しますよ」とのことだ。
だからまず簡単に集めることができるホコリで実験しようというわけ。
10秒だけ、集めて、捨ててみたりもしたんだけど、『スキル【異次元のゴミ箱】のゴミ経験値が増加しました』という表記が出てくるだけで何も変わってなかった。ゴミ経験値って何?って質問はしてはいけないと思う。
そんなこんなで、ホコリを集めているわけですよ。
前にできたホコリよりも一回りも大きいホコリ!
さあこい!
『スキル【異次元のゴミ箱】のゴミ経験値が増加しました。効果が成長しました』
【異次元のゴミ箱】 ユニーク・上級【特殊】
・スキル【掃除術】がないと装備できない
・スキル【異次元のゴミ箱】
┣ 【もう腐りたくない】1%の確率で腐攻撃1%カット
┗【ホコリのように軽く】1分間AGI+2 クールタイム5分
・成長して、どんどん強くなるよ
・破壊不可
重量1.1kg
あ、地味にAGI+2に上がってる!
けどまだまだだなあ、実戦向きじゃない。
これから地道に使えるレベルまで育てないとね。そのためには、掃除が大事!
まだまだお掃除頑張ります!
「あの〜」
うん? また話しかけられた。
「はい?」
話しかけてきたのは普通の男。可もなく不可もない、ゲーム世界にはよくいるビジュアルのやつだ。
けど私にはわかっちゃうんだよな。暗器か何か、隠し持ってるでしょ。
長年ゲームしてきたからね、こういう気配はわかっちゃんだよね。
「少しお話ししませんか!」
そう言いながら男が後ろに手を持っていき、ナイフを取り出してくる。
けど予想済み。
ホウキガード!
カキン!
男が不思議そうな顔をする、何でわかった? とでも言いたそうな顔。
まあそこら辺は勘、としか言いようがないね。
さあて、向こうから殺しに来たんだ、やり返したってバチは当たらないよね?
『ダメージを34与えました』
『ダメージを35与えました』
まずは軽く打撃を加える。
殺人未遂犯も、すぐに状況を飲み込んだのか、タガーをこっちへと振り回してくる。
まあホウキで簡単に受け流せるけど。相手のAGIが高くても。攻撃を予想できるし、回避も余裕。
昔に棍棒一本でラスボス撃破したこともある私の棒捌きを舐めるんじゃない!
実際ホウキは棍棒+細剣÷2みたいな感覚だけど。棍棒よりは細く、棍棒にはない突攻撃を穿つ感じは細剣を彷彿とさせる。けれども、細剣よりも太く、打撃という相手を直殴りする感覚は棍棒を思い出させる。
『ダメージを32与えました』
『ダメージを38与えました』
はい、ホウキバリア!
『ダメージを34与えました』
『ダメージを35与えました』
『ダメージを40与えました』
『ダメージを40与えました』
ふんふん! ふ!
私、ホウキ慣れてきたかも。
このままラストスパートといきましょうか!
ふう、何か男をあっさりと地にぶっ倒すことに成功。無様に這いつくばっております。
結構レベル高そうだね、君。このままホウキでは終わらせはしない、私を倒そうとしたことを後悔させてやるのだ!
食らいやがれ! そして慄きやがれ! 消費MP50に設定した威力を!
『アルコール発射! 口から摂取されました!』
『体内に直接ダメージ! 120!』
『体内に直接ダメージ! 120!』
『撃破しました。経験値を1354獲得しました』
『レベルが8に上昇しました』
『アサシンタガーを入手しました』
『13456シル入手しました』
うえーい!
最後は男の口にアルコールをぶちまけといた。
そしたらめちゃくちゃいいダメージが出るではありませんか!
勝った! 突っかかってくるプレイヤーも殺したし、安心安全だね!
というわけで掃除再開!
ルーンルーン。今思うけど掃除で経験値獲得って地味にすごいね。
「何やってんの? セツ……」
そんな憐れんだような声が聞こえたので振り向いてみる。
「本当に伝えてくれた通りの格好してるのね」
そこにいたのは私の幼馴染だった。
「とりあえず、ここ離れない?」
何で? そうして周りを見回してみると、私が掃除を中断して、社会のゴミを掃除してた時と比較にならないほど、多くのプレイヤーがいた。
「うん、移動」
やばい、こんなに人がいたんだと思うと急に恥ずかしくなってきた!
後で殺すからな、記憶から消してやる!
前回のゴミ箱についた能力に【もう腐りたくない】という命名をしておきました。それに関係する文を前回に挟みました
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◆急遽予定が入り、2〜3日執筆できなくなりそうです。
書き置きはないので、投稿まで時間がかかりそうです。
すいません!
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