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第二問:以下の選択肢から適切なものを選べ(執筆中)

(いったい何だったんたよ、あれ)

翔人はひとり机に突っ伏したまま、解決しようのない情報に心を弄ばれていた。


紹介直後の教室は、当然のように『転入生+1(プラスワン)』の話題で持ちきりだった。


とりあえず、聞こえてくるその会話や反応からみても、周りのクラスメイトに彼女の姿そのものは認識できていたのは間違いない。

それなのに、どこに耳を澄ませてみても、肝心のネコミミについて触れる人間は誰一人としていない。あそこまで露骨に見えていたモノをスルーして盛り上がるというのはいくらなんでも不自然だ。


転校生に気を(つか)って触れないようにしていた、という可能性もゼロではないのかもしれないが、それなら彼女が手続きのために教員とともに職員室へと行ってしまった今なら話せるはずだ。


(これはアレか、ドッキリ的なアレなのか?)

そんな疑心暗鬼な想像が頭をもたげるくらいに、翔人は現状を把握できていなかった。

もちろん、単なる高校生にすぎない自分にそんな大仕掛けなドッキリをする意味なんてあるはずがないし、それにしたってあそこまでリアルな動きを再現できる気がしない。


――がらっ。


と、

再び引き戸が開き、そこから現れた人物を見て翔人は息を呑む。

「ご機嫌よう、皆さま」

雑然とした教室に似つかわしくない、なんとも優雅な口ぶりとたおやかな振る舞い。

そして、それに付き従う寡黙な侍女は、周囲のどよめきを尻目に、いつの間にか用意された真新しい机に腰かけ、ふぅ、とちいさくため息をついた。


同じ場所にいるのに、そこだけが爽やかなそよ風に包まれたようなエレガントさに満ちている……ような気がした。


それにしても、戻って来た二人を見るクラスメイトは相変わらず耳のことを気にも止めていないように思える。


と、翔人が二人を見つめていると、

(……ん?)

ふいにメイドの彼女が彼のほうへと歩み寄ってきた。


「何か御用がおありでしょうか」

「え、ちょ……は?」

「先ほどから、私のほうを見ていらしたので」

淡々としつつも、その口ぶりには探るような感情が透けて見える。

「い、いやぁ……メイドのお仕事って大変そうだなあと思って」

「確かに簡単なものではありませんが、特に苦労を感じたことはありません」

「でも、一日じゅう働きづめなんでしょう?」

「いえ、休憩時間もきちんとあります」

と、玖麗亞はそこで言葉を切ると

「仕事柄やるべきことは多いですが、お嬢様はこんなわたくしにもお優しい方ですし、お仕えできて光栄に思っております」

と、かすかに笑みを浮かべた。

とっさに頭上に目をやると、まるで雛鳥がエサをねだるときのごとく、せわしなくばさばさと耳が跳ね回っていた。


(やっぱり大好きなのか、お嬢様のこと)


そう痛感するとともに、今この瞬間が絶好の機会(チャンス)だと翔人は踏んだ。


「まさに『猫の手も借りたい』ってやつ、ですね」

そのフレーズを口にした瞬間、沈黙が走る。

周囲の反応を観察してみるが、みな一様に視線をそらしている。

だが、やはり彼女の頭上に注目している生徒は見当たらない。

分かっていながらスルーしている……つまり暗黙の了解といった空気でもない。

ただ単に盛大に滑っただけ、である。


やってもうた、というなんともいえない空気の中、乾いた笑いを浮かべるしかなかった。


これはこれで色々とキツいんだが。


内心吐きそうになりながらとうの彼女に目をやると、顔色ひとつ変えていない。


だが、そんな裏腹に、頭の上のケモ耳はせわしなく動いている。

シュールきわまるシチュエーションの中で、翔人はドン滑りした己の不手際を呪うほかなかった。


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