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魔法ソリューション展

魔法ソリューションの会場となっている、ここ首都ドンスレイシュの中で最も大きい展示会場--ドンスレイシュ・メガ・サイト。通称メガサイト。


大きな展示会というだけあって、入場待機列が数百メートルにもなっているところから驚いた。


ちなみにメートルとは、おおよそこの惑星の円周の4万キロ分の1の長さで、両手をちょいちょい広がるとそれに相当する。

正確な定義は光魔法を使って算出されているはずだ。

それはそうと、俺たちの住むこの地上は球体なのだそうだ。当然だが実感はない。


「間に合いますかね?」

「間に合わなかったら、前の列の奴ら全員の髪型がモヒカンになるように呪ってやるわ」

集合時間の設定をミスったか、入場に時間がかかり、トライ・ウィング・フォースが登場するスターバーグの講演まで時間が迫っていた。


入場待機列の進みが遅いのは、明確な理由があってのことだった。


前方の検査ゲートで、1人ずつゆっく歩き、係員から証明書をもらっている。


検査は手荷物だけでなく、入場者自身にも行なっている。

入場者が悪の心を持っていないか、検査しているのだ。


検査ゲートは洞窟の入り口のように、細長い楕円弧の形をしている。

その天井には魔譜が掘られており、ピアノの音に合わせて光っていた。


ピアノはゲートの真横、通過する入場者によく聴こえるように配置されていた。


上等な腕前のピアニストが奏でるは、魔除けの審判よの力を持つ曲『Gates of Glory』だ。


「ピアノ、上手いですね。間近で聴くと、特に。結構な魔法使いですよね、これ」

列が進み、振動を肌で感じるようになってきて、思わずボーグレンさんに話しかけた。

「もっと速く弾きなさいよ。間に合わなかったらピアノのサビにしてくれるわ」


ボーグレンさんは絶好調だった。


苛立った人との待ち時間というのは長く感じるものだが、上等な演奏のおかげでなんとかやり過ごせた。

俺とボーグレンさんの番になり、


「私が先よ!」


と、ゲートに突っ込んでいった。


しかし、係員さんにすぐさま注意を受けるボーグレンさん。

「お客さん、ゲート内はちゃんとリズムに合わせて歩行してくれないと、ちゃんと検査できませんよ」


ボーグレンさんはイライラが絶好調。リズムなど取れるはずもない。

仕方なく係員さんが手拍子を打ってくれた。


話は変わるが、悪の心を持つ本物のテロリストならそもそも入場ゲートなんて通らないだろう。

きちんとした検査ではあるが、前提としては性善説に基づいている。


つまり、実際のところゲートに引っかかる者などいないはずなのだ。


ぱっしーん。


ボーグレンさんがゲートから弾かれた。


「そういえば、ぶっ殺すとか何とか言ってたな」

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