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星々の歌声




「ああ、しまった。さっきの涙をビンに入れればよかったのに……」


 ……でも、自分みたいなできそこないの星の涙では、おまじないは失敗してしまうかもしれない。

 自分は星だ、とクーは自信を持って言えないから。

 だから、きっと。これで良かったのだろう、とも思ってしまう。

 クーは暗い面持ちであたりを見回した。


「あとは、涙と歌声か……」


 太陽が去ったあと、満天の星々は声高らかに歌っている。

 だから、歌声は特に苦労することなく手に入るだろう。

 世界を照らすために自身を燃やし、そして、誰かへと想いを届けるために歌う彼らは、生きる歓びに溢れている。

 それは、自信のないクーがずっと目をそらし続けてきた光景だ。

 クーは小瓶を見つめてため息をつくと、のろのろと彼らのもとへ向かった。


――ああ、なんて眩しいんだろう。


 キラキラ、キラキラ。

 星々は白く、青く、または赤く、それぞれに輝いている。

 太陽も月もいない、この怖く感じてもおかしくない真っ暗闇に広がるたくさんの光が、とても、とても美しくて……。


 クーは泣いて、泣いて、泣いた。


「僕みたいな、できそこないの涙なんていらない……。」


 そう呟くクーの小瓶の中では、星々の歌声が響いていた。



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