地上の泣き虫
その子、ハイスはみんなから、「できそこない」と呼ばれていた。
小さな体に細い手足。青白い顔で、運動もニガテ。ほとんどの日は具合が悪くて、ベッドの上だ。
そんな、「できそこない」な自分が嫌で、悲しくて、悔やしくて、まっ暗な夜に泣いていた。
そんなハイスが気になって、クーは毎日、彼のようすを心配して空から見つめた。
太陽が空高くから、力強く地上を照らしていても、彼は青白い顔で下を向いたまま。
月が一生懸命、夜空で輝いていても、机に伏して泣いている。
星々が、月のない夜にまばゆく煌めいても、カーテンを締め切った部屋でひざを抱えて泣いている。
「ぼく なんかが、幸せになれるわけ、ないんだ……」
ハイスのつぶやきを聞いたクーは、たまらない気持ちになった。
「どうにかして、彼を幸せにできいかなぁ……」
地上に住む男の子を、空にいる僕が幸せにする方法。彼を元気いっぱいで、笑顔にする方法。
――そんなの、ムリに決まってる。
そう思ったけど、どうしても諦めきれなくて、クーは空の星々に聞いて回った。
「ねえ、地上の子供が泣いているんだ。どうしたら彼の涙は止まるかな?」
「うーん……。ぼくは自分の周りを照らすので精一杯だよ。彼の近くにいる誰かが彼を照らしてくれるのを待つしかないんじゃないかなあ?」
クーはがっかりして、他の星のところへ行った。
「ねえ、地上の子供が泣いているんだ。キラキラ輝いている君が、彼を助けてくれないかな?」
「かわいそうだとは思うけど、私にはムリよ。私だって、太陽みたいに たくさんの人を笑顔にしたい。でも、そんなのムリだわ。でも、私は太陽ほどたくさんじゃなくても、太陽が笑顔にできなかった子を、笑顔にすることができるから、気にしない。残念だけど、その男の子のことまで手が回らないわ」
クーはさっきより、もっと がっかりした。
どうやら、ふつうの星では彼を幸せにはできないようだ。
だから、他の星たちより、もっとすごい星のもとへ向かうことにした。