表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Straight to the Heart  作者: 森幸
3/27

結婚式の予約

正樹は5年間勤務した後に1年間留学することになった。留学先は自分で決めることができたので、正樹は金融関係に強いという理由でNYのニューヨーク大学ロースクールを選んだ。夏美は当然のごとく勤務先を辞めて、正樹に付いていくことにした。二人は留学から帰ってきたら結婚しようと決めた。帰国してから約2ヶ月後の大安の日に結婚式をすることを決め、留学に行く前に帝国ホテルの結婚式場の予約をした。1年以上前に予約するカップルの方はお珍しいですよ、と結婚式場の担当者は言った。仕事柄必要なのか、あるいは自分の好みなのか分からないが、年齢より若くみせようとしてひどく濃い化粧をしていたが、それが逆に実際の年齢以上にみせている。「これから1年アメリカに留学なんです。だから日本にいるうちに予約しておこうと思って。大丈夫ですよ、絶対にキャンセルはしませんから」と正樹は言った。それならいいですけど。最近はキャンセルするカップルが多いですから、と言いながら妙に甲高い声で笑った。上司もたくさん招待する予定だし、政治家も何人か参加してくれる予定だから、キャンセルなんてしたら大変なことになるし、出世できなくなっちゃいますよ、と正樹は言った。こういうことを正直に言うところが正樹の長所の一つだと夏美は思った。もちろん夏美もキャンセルつもりなど全くなかった。正樹と結婚することが夏美の唯一の夢なのだ。

  「予約をしにきているお客さんにこんなことを私が言うのも変ですが、アメリカに留学するなら、アメリカで結婚式を挙げてもいいんじゃないですか」と、担当者は遠慮がちに言った。

  「それは素敵かも。お母さんもお父さんもNYに行きたがっているし」と夏美は嬉しそうに言う。

  「そんなことはできない」と正樹は少し大きな声で言った。「結婚式は、普段お世話になっている上司や他の官庁の人に対する恩返しの場だし、将来政治家になるために、国会議員と知り合うための絶好の場所なんだ。結婚式にはそういう狙いもある。アメリカで結婚式なんかしたら、そういう人たちを呼べなくなるし、いろいろなチャンスを失うことになる」と正樹は怒ったように言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ