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反少年主義 第二幕  作者: 椎家 友妻
 其の一 いざ、神戸へ
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3 マサノブはマセたプレイボーイのタイプ

 そんな訳で、カスミの家に行く当日の朝。

着替等を入れたリュックを背負い、

『ちゃんと挨拶しいや』とか

『向こうについたら電話するんやで』とか

『道草しなや』とか

『アホな事しなや』とか

『拾い食いしなや』とかうるさいお母ちゃんを尻目に、オレは家を出た。

すると門をくぐったところで、オレよりいくらか背が高くて、

オレよりいくらか女子にモテる、隣の家に住むイソモトマサノブにばったり会った。

そのマサノブが、リュックを背負ったオレの姿を見て言った。

 「あれ?一緒に遊ぼうと思うたのに、ヨシオ今からどっか行くんか?」

 「おう、今からちょっと神戸まで行くんや」

 「神戸?神戸のスーパー玉○に?」

 「何でスーパー○出に行くのにわざわざ神戸まで行かなあかんねん?

そうやなくて、カスミの家に遊びに行くんや」

 「え?カスミちゃんって、ヨシオの文通相手の?」

 「そうや」

 「マジで⁉ええな~ヨシオ」

 「何がええねん」

 「だってカスミちゃんってメッチャ可愛いやん」

 「アホぬかせ。まだ九歳やぞ?」

 「でもあの子は将来絶対べっぴんさんになるで。

何せおれが今まで見てきた女の子の中でも、五本の指に入る可愛さやからな」

 「お前はホストか」

 「そうか~神戸か~。日帰りで行くの?」

 「いや、泊りで」

 「どええっ⁉泊りで⁉」

 「何をそんなに驚いとんねん」

 「だってお前、男が女の子の家に泊まりに行くっちゅうのは、大変な事やろ」

 「あのな、オレはまだ十一歳なんや。

そのオレが九歳のカスミの家に泊まりに行って、一体何があるちゅうねん?」

 「妊娠」

 「うぉい!うぉおおいっ!そんな訳ないやろ!何ちゅう事を言うんやお前は!」

 「ご出産おめでとうございます」

 「してへんわい!それに至る行為にも及んでない!」

 「もし男の子が生まれたら、名前は『マサノブ』にしてな?」

 「絶対嫌じゃ!将来子供ができてもその名前だけはせぇへん!」

 「そっか~、ヨシオはカスミちゃんの家にお泊まりかぁ~。じゃあおれは、アミちゃんと遊ぼうかな」

 「ん?アミちゃんって誰や?」

 「あ、まだ言うてなかったっけ?最近付き合いだした女の子」

 「な、何やと⁉それってまさか、彼女って事か?」

 「スワヒリ語で言うとそうなる」

 「日本語で言わんとそうはならんやろ!」

 「うらやましい?」

 「うらやましい!・・・・・訳ないやろ!彼女っちゅうてもどうせアレやろ?

小学生のチンチクリンの子供やろ?」

 「いや、高一の女子高生」

 「女子高生⁉どうやって知り合ったんや⁉」

 「学校の帰りにラブレターをもらってん」

 「向こうからアタックしてきたんかい⁉」

 「それで、性格がよさそうやから付き合う事にしてん」

 「何ちゅうやっちゃ。お前のファンの女子どもが知ったら泣くぞ」

 「うん、だからこの事は、クラスの女子には黙っといてな?知ったらきっと悲しむと思うから」

 「ジャ○ーズ気取りかこの野郎!調子に乗るな!」

 「ははは。まあヨシオもカスミちゃんと仲良くなれるように頑張りや。それじゃあおれは行くわ」

 マサノブはそう言うと、(さわ)やかな笑みを浮かべながら去って行った。

 あいつ、まさか彼女ができたとは。

しかも相手は女子高生って、どんな年の差カップルやねん。

まあ、自分のクラスの担任と付き()うとった小学生もおったけど。

 ともかくオレは、近所の庵地(あんち)駅へと向かった。



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