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反少年主義 第二幕  作者: 椎家 友妻
其の四 彼女の家庭事情
31/66

1 レイコのイキサツ

 ブロロロロ。

 オレは今、探偵の男が運転する車に乗り、レイコの家に向かっている。

ちなみにオレはこの状況に、大きな疑問を抱いていた。

なのでオレは、後部座席でオレの隣に座るレイコに、改めて尋ねた。

 「なあ、何でオレはお前の家に行かなあかんのや?」

 するとレイコは、やれやれといった様子でこう答える。

 「この期に及んで何を言うてるんよ?あたしの家に行きたいて言うたのはヨッシーやろ?」

 「違うわい!お前が無理やり連れてきたんやろ!」

 「そうやったっけ?」

 「思いっきりそうやろ!」

 というやりとりをしていると、運転席の方から男が口を挟んできた。

 「ところで君の両親は、何で離婚する事になったんだ?前から仲が悪かったのか?」

 それに対してレイコは、少し沈んだ口調になって言った。

 「いや、元々は仲が良かってん。お父ちゃんはある料亭の板前で、お母ちゃんは専業主婦。

そないに裕福な暮らしでもなかったけど、家族三人で楽しく暮らしててん。

でもつい先月、お父ちゃんが勤めていた料亭が経営難で潰れてしもうて、

お父ちゃんはその店を辞めんとあかん事になってん。

それで、次の就職先を探して色んな料亭を回ったんやけど、

この不況のせいで、雇ってくれる店は見つからず。

しまいにお父ちゃんもヤケになってしもうて、職探しもせずに、

パチンコばっかり行くようになってん。

そしたらお母ちゃんが怒って、それからは毎日大喧嘩。

それが日々エスカレートしていって、とうとう離婚するっていう話になってしもうてん。

ホンマに勝手な両親やで。二人で勝手に喧嘩して、勝手に離婚を決めて、

挙句(あげく)の果てにあたしに八つ当たりしたり・・・・・・。

だからあたしは家を飛び出したんや」

 「そう、やったんか・・・・・・」

 レイコの話を聞き、オレはそう言ってうつむいた。

 レイコは表向きは口やかましくてアホな事ばっかり言うてるけど、

その裏では結構辛い経験をしとったんやな。

そう思うと、少しくらいこいつに協力しようかなという気持ちになった。

 すると男がブレーキを踏んでゆっくりと車を止め、レイコの方に振り向いて言った。

 「着いたよ」



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