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反少年主義 第二幕  作者: 椎家 友妻
其の三 望まざる再会
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2 カスミはどうしてもお出かけしたい

 「さて、どうしようか」

 朝食を食べ終え、ナミコさんも仕事に出かけ、一息ついたところで、オレは言った。

オレはヤマトウ家に二泊する事になっている。

なので今日一日はこっちで過ごすんやけど、何をするかは全く考えてなかった。

するとそんなオレに、カスミが遠慮がちに言った。

 「あ、あの、もしよろしければ、私と何処かにお出かけしませんか?」

 「出かけるんか?オレは別に構へんけど」

 と言いながら、オレは傍らのテイコさんを見やった。

するとテイコさんは言った。

 「私は午前中はお屋敷での仕事があるから、一緒には行かれへんで?」

 そしてカスミの方に向き直り、心配そうな顔でこう続けた。

 「というか、お嬢様は大丈夫なのですか?昨日のアレ(・・・・・)の毒気がまだ体に残っているのでは?」

 昨日のアレとは、言うまでもなくナミコさんの手作りカレーの事や。

それに対してカスミは、首を横に振って言った。

 「さっきも言った通り、私の体はもう大丈夫です。だからお出かけさせてください」

 「う~ん、でも、私が付き添わずにお嬢様を屋敷の外へ出す訳にはいきませんので、

それなら私の仕事がひと段落してから、三人でお出かけしましょう?」

 テイコさんはそう言ったが、カスミは珍しく駄々をこねるようにこう続けた。

 「私は今すぐヨシオ君とお出かけしたいんですっ」

 「う~ん・・・・・・」

 カスミの言葉に、困った顔で頭をかくテイコさん。

そしてオレの方に向き直り、オレの両肩にポンと手を置いてこう言った。

 「しゃあない。今日の午前中は、カスミお嬢様をあんたに預けるわ」

 「預けるなんて大層やな。ちょっとそこら辺に遊びに行くだけやのに」

 オレが軽い口調でそう言うと、テイコさんはやにわにオレの肩に置いた手に物凄い力を入れ、

ドスの利いた声で言った。

 「ちょっとそこら辺に遊びに行くだけでも、カスミお嬢様が急に体調を崩す事もあるやろ。

それに、誰か不埒(ふらち)な輩に誘拐されるかもしれんし」

 それに対してオレはこう返す。

 「イタタタ!痛い痛い!肩潰(つぶ)れる肩潰れる!」

 テイコさんの握力は、文字通り死ぬほど強かった。

するとそれを見たカスミが、慌てて止めに入った。

 「落ち着いてくださいテイコさん!私は大丈夫ですから!

ヨシオ君には迷惑をかけないようにしますから!」

 するとテイコさんはしぶしぶオレの肩から手を離し、最後に一言こう言った。

 「もしカスミお嬢様にもしもの事があったら、あんたのキンタマを潰すからな」

 それならいっその事ひと思いに殺してください・・・・・・。



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