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反少年主義 第二幕  作者: 椎家 友妻
其の二 ヤマトウ家のもてなし
19/66

9 死に際の歌

 「あへ?」

 ナミコさんの言葉に、オレは思わず頓狂(とんきょう)な声をあげた。

ナミコさんの話ですっかり忘れとったけど、オレは今、大ピンチなんやった。

ど、どうしよう?

今のオレに逃げ道は残されていない。

目の前に出されたこの紫色の物体を、食べるしかないのや。

そう思うと自然と額から、嫌な感じの汗が噴き出してきた。

 そんなオレの心中を知らないであろうナミコさんは、ニコニコしながらオレに言った。

 「今日はヨシオ君のために腕によりをかけたの。だから沢山食べてね♡」

 「わ、わぁい、嬉しいな~」

 やっぱり、食べるしかないか。

ナミコさんがオレのために一生懸命作ってくれたんやもんな。

これを食べんと男が廃るし、ナミコさんの厚意を無にしてしまう。

『反少年主義』を貫くオレとしては、それは絶対にでけへん!

よし食うぞ!

さあ食うぞ!

できれば誰か(カバトンとか)代わってくれ!

 オレはそう覚悟を決め、皿の横に置かれたスプーンを手に取った!

そしてそれをひと思いに、カレーの中に突き刺した!

手ごたえは普通のカレーとほとんど一緒やった!

よし!いける!

いくら見た目や匂いがまずそうでも、こういうのに限って食べたら意外とおいしいモンなんや!

ドリアンかってそうやないか!

食べた事ないけど!

メッチャ臭いらしいけど!

 「い、い、いただきます!」

 オレは腹の底から叫び、スプーンにすくったそのカレーを、口に運んだ!

そして口の中に入れた!

そしてそれを噛んだ!

そして舌で味わったぁっ!

そのお味は──────。

 突然ですが、

ここで一曲お聞きください。


『死に際の歌』


作詞作曲 椎家友妻

歌 ヨシオ


 ♪あ~、オレ死にそうや♪

 ♪う~、このままやと死ぬんとちゃうか♪

 ♪お~、ヤバイヤバイ、ホンマに死ぬで♪

 ♪死ぬに際と書いて『死に際』♪

 ♪シュビにドゥバと書いて『シュビドゥバ』♪

 ♪死に際~♪

 ♪シュビドゥバ~♪

 ♪オレはまだ死にたくねぇ!(求む(せい)!)♪

 ♪オレはまだ死にたくねぇ!(求む(せい)!)♪

 ♪オレは生ビールが飲みてぇんだ!(求む(なま)!)♪

 ♪でゅうわぁ~♪


 そしてオレは気絶した。

 バタン。

 「ヨ、ヨシオ君⁉大丈夫⁉」 


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