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反少年主義 第二幕  作者: 椎家 友妻
其の二 ヤマトウ家のもてなし
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6 カレーライス

 「さあみんな、召し上がれ♡」

女神のように優しくて美しい笑みを浮かべ、

ナミコさんは食卓に座るオレ、カスミ、テイコさんにそう言った。

 そんなオレ達の目の前に、ナミコさんお手製のオリジナルカレー(?)が置かれている。

ちなみに皆さんは『カレー』と聞くと、どういう物を想像するやろう?

最も一般的なのは、お肉とじゃがいもとニンジンとタマネギが入った、茶色いルーのカレーや。

この他に、カツやチーズがトッピングで入っていたり、ルーの色が黒やら赤といったものもある。

でも、今オレの目の前に出されたそれは、オレが今まで見てきたカレーとは、全く違ったものやった。

 具体的に何が違うかと言うと、カレーのルーの色が、(むらさき)やった。

それはもう見事なまでに紫やった。

ナスが具として入ってるカレーはあるけど、ルーの色そのものがナス色のカレーは初めてや。

まるで紫のペンキをそのままルーとして使ったようにも見えるけど、

このルーには一体どんなスパイスが入っているのやろう?

 そしてそのルーに入っている具も凄い。

一体何かと言うと、さっきナミコさんが持っていたビニール袋に入っていた、あの巨大トカゲ。

それが丸焼きにされてそのままドンとカレーに乗っていた。

可愛そうなトカゲ。

まさか自分がカレーの具にされるとは、夢にも思わんかったやろう。

オレもまさか、トカゲをカレーの具として食べる日が来るとは思わなんだ。

こんなトカゲ、何処のスーパーで買えるの?

食用?

 そしてこのカレー(?)が他のそれと最も違う点は、

そのルーから放たれる独特の香り(臭気(しゅうき)とも言う)やった。

カレーというのは色んな種類があるけど、匂いをかぐと、

『あ、これはカレーやな』というのが大体分かる。

が、このカレー(?)の匂いは、何というか、例えて言うなら、

ガムテープとタイヤとおっさんの使用済み靴下とを混ぜ合わせ、

それに青カビを生やして発酵させたような匂い、とでも言おうか。

まあ要するに、よだれが垂れてお腹が鳴るような匂いではなく、

吐き気をもよおしてめまいがするような匂いなのや。

 そんなナミコさんのお手製カレーに対する、オレの最大の疑問はこれやった。


 これ、食べても大丈夫なんか?


 と、その時やった。



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