三話 英断か犬死か?いや犬死ィィィ!
……家で大学のオンライン授業を終えた俺は、久しぶりの外出だった。
数ヶ月前まではアルバイトをやっていたがそれをやめてしまった。
あまり外に出られない世界であるためか、目はPCへ向かっていた。
授業数時間、アニメ視聴三時間ゲーム二時間、イラスト描き二時間。
隙間時間にジャージ服でランニングや飯食いのズボラ生活。
いつか健康崩壊まっしぐらの生活だが案外続いていた。
今は久々の太陽の光で目に滲みる。
「久しぶりの外の空気は良えな」
巷では俺みたいなあまり外に出ない奴をニートやネトゲ廃人、引き篭もりだとか。
そういうマイナスイメージの蔑称で呼ぶのだろう。
だがしかしそう俺が呼ばれるのも無理が無い。
家にほぼ毎日いる生活、そう思われても仕方がない。
確かに二週間は人に出会っていなかったからな。
外には出ているから俺は外出系ニートということで良いだろう。
まだマシな世界が有れば良いのだけどな。
人の理想を一重につまらないと言われる始末。
ちょいと狂った世界、混沌に満ちた世界の方がまた趣がある。
現に近所の方々にはあまり良い目で見られてはいない。
それもあってかさっさと兵糧(引き篭もるための食糧)をコンビニで買うか。
夜間バイトに親からの仕送りもあるしな。
そしてさっさと帰ってアニメ鑑賞でもしましょうかっと。
録りまくっていた新規アニメや再放送アニメなどをダビングして集めたもの。
中には制作者のために円盤[CD]も買ったりしたけどニートの財布にはキツイ。
久しぶりに出た普遍な生活に対して嫌気がさしたからファンタジーとかSF系にするか。
特色のない大人達が作り出した生きづらくつまらない世の中になったものだ。
ようやく大学に入ってキャンパスライフを楽しもうと思った矢先。
某ウイルスのせいで自宅謹慎処分に近いものを与えられた。
この有様、いや俺はまだ恵まれた方かな。
一度も大学に行かなければ友達も彼女も出来ない。
お陰で今では二次元の嫁を作り毎日ゲームとレポート作成の毎日。
外に出る時はマスクを着けなければ目を向けられるのが常識となってしまった。
元々目元深くまでフードを被っているせいか不審者みたいになってるけど。
「昨日の非常識は今日の常識ってもな〜」
どこか異常と呼べる世界に行けたらな。
とかくだらないことを思いながら国道の交差点に立つ。
人手が減った代わりに運搬物である車が増えるのは実情。
今日も多いですね、ご苦労様ですよ社会人の皆様のお陰。
そして俺の目の前にいるのは地域の女子高校生だろうか。
黒い制服を来て、胸には学章が着いていた。
青信号であるがスマホに集中していて確認せず渡り始める。
近頃の若い奴らは左右確認もしないのか。
まぁ俺もその若い奴らの部類に入る。
だが流石に小学生の頃に習った左右の確認くらいはするのが常識だ。
右を向いて左を向いてまた右を向くというあの呪文。
何度聞かされた事か、しかし戒めというものは人を安全に暮らす為のものだ。
小さい頃に習った常識が意外と役に立つんだよな。
しかも現代流行っているワイヤレスイヤホンを耳に付けて曲を聴いているのだろう。
音量が高いと周囲の音が耳に入らなくなるからな。
やはり依存症と言えるものは若者の生活にすぐに影響が与えられるもの。
自身も含めこの世に蔓延る流行という依存症に気を付けなければ、と思った。
左で赤信号になっている車線から汽笛がなっている。
『ブーーーーー』
女の子に迫ってくる貨物大型車。
青信号に関わらずに超スピードで走ってくる。
恐らく運転手は左手に何か持っている所から過失運転か。
「おいっ避けんかい」
俺を含めたその場の全員が女の子に向かって叫ぶが。
彼女は音楽に集中しているのか画面に集中しているのか気づいていない。
外観を無視する程のものがそこに写っているのかと思いながらも。
周りの人達が騒いでいる中。
思考回路より早い本能で俺の身体はその子を車の進行方向より外側に突き飛ばしていた。
が、物理力学での慣性が生まれたのか逆に俺が方向の前に。
「もうあかんな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
嗚呼……漸く頭の整理がついた。
俺は死んだのか。
目の前に映し出された惨劇を見て確信した。
そしてこの場に相応しい事も認めたく無いけど認めた。
心のどこかで夢であって欲しいと思っていたがこれが現実なんだな。
「っとここで一時停止ね」
「えっ、一時停止ってなんやねん。俺はこの時点で死んだじゃないんか?」
ロリっ娘がリモコンで一時停止する。
それは俺が大型車に轢き飛ばされて一、二秒位のタイミング。
その事に俺は疑問を抱いた。
「普通の人ならね。でも貴方はここからが特別だったの」
そう言いながらロリっ娘はまたリモコンで再生させる。
目の前には予想外のことが起きていた。
俺はそのまま女子高生を突き飛ばしたあと大型車に轢き飛ばされている。
どう見たってあの質量、速度の積である力学的エネルギーをもろに受け止めているのに。
普通あれでは人は多分内臓がグチャグチャのミンチになって死んでいるだろう。
確かに五体満足に着いていますし原型留めていますが。
「俺ってこれでも生きているんか?」
一時停止されて空中に吹き飛ばされている俺の映像を見ながら聞く。
「そうよ」
ロリっ娘も見ながら答えてくれる。
確かに人は直ぐには死なないがそれでもこの状態で有れば即死扱いされるだろう。
それよりこれでも心臓が動いているって俺の心臓強すぎん?
クッソ褒めたいのだが。
「ほいじゃあさ。俺が此処にいるのはおかしいな話じゃないんか?」
このロリっ娘のいう通りに死んでいない状況で生きているのだとすれば。
俺が霊界で死亡宣告される事はおかしな話だ。
言っている事と俺がここにいるという今この状況の辻褄が合わなくなる。
「最後まで見なさい。これだから若い者は、もう」
生涯に多くの経験をした老人の決め台詞を吐く。
この娘は一体何を言っているのだ。
セリフを少なくともその見た目の年齢でいうものではないだろう。
まぁ確かに映像は続いているのでそのまま見続けようと思う。
映像は進み飛ばされた俺を救おうと周りの人たちは救急車を呼んでいる。
「頑張れ」や「大丈夫か」とか励ましてくれている人も。
これが優しい世界なんだなと思っていた。
いつも聞いている救急車のサイレンが聞こえてきた。
なんだ、俺が死ぬ要因が無いのだが。
まさかこのまま病院まで保たなかったパターンか?
だとしたらそれが特別な死因とは違うのではないのか。
と、二度目の疑問を投げて見ようとすると「ドンッ‼︎」という音が響いた。
なんと映像には救急車が俺を轢き飛ばしているではないか。
「えーーーーーーーーー‼︎」
俺氏、人生初めての心からの絶叫。
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