12話 ゲームのチュートリアルは基本スキップしてしまいがち
だが俺はゼアミに聞いておきたいことがあった。
「話は戻るけどよゼアミ。筆をもろた時に絵師の神からなんか聞いておらん?」
「本当に、一回も聞いてないわよ。貸してって言ったら「じゃあこれ貸したるわ。大事に扱えよ」て言われただけでそれっきりだったのだから…………そういえば考えて想像して描けば良くなるって言っていたような」
「想像して描いたら良うなる、か。よーわからんわ」
他の創造系能力の主人公のようにホイホイ創造できるという事なのか。
手を広げて考えてポンッ!的なものか?
これは筆だ、だとしたら触媒体として機能するものだろうか。
だとすればこの筆達はチート神器へと俺の中での評価は変わる。
いや待てよ。
俺がこの神器をもらう前にゼアミに言われた。
「なぁゼアミ。この筆を俺に渡す前にこう言っとったよな。「貴方は絵を描くのは得意よね」て。それってこの筆と関係あるのか」
「うん。絵師の神からは「絵の巧さがその神器の本領だよ」て言っていたからね」
「それやて!」
絵の巧さが神器の本領という事は絵が上手ければ上手い程、強くなる。
でもな、絵を描く事は得意でも万人受けの神絵師の方々に比べれば劣るのが俺の実力。
模写は完璧にできるし、創造力が豊かなのは自負しているが。
中学、高校の時に画狂と呼ばれていた。
あと五年くらい現実世界に行けていたらな、ペン○ブを買って描きまくっていたのに。
絵の巧さに比例するという事ではないのだ。
それに俺の実力で筆の強さになるのは分かった。
使い方を知らなければどれほど優れた物でも愚物となる。
宝の持ち腐れというやつだ。
「でも私も芸術神の一柱。創造には自信があったのだけど描いてみたら変なのが顕現しちゃってそれっきりで………ね」
「ね、じゃねえ。使い方わかってるやん!!」
すらっと自分が使えていた事を暴露しやがった。
何か描いてみたら変なのが顕現しちゃって。
それをずっと聞きたかったのだよ。
聞いてない、分からない言っておいてしれっと使い方わかってるじゃねえか。
つまり絵を描けば物を顕現させられる創造系能力チート神器と判明した。
紙、または平面状に何かしらの絵を描けばそれを顕現することができるということか。
「でもね、でもね。私が描いてもぐにゃぐにゃのモノクロの剣しか顕現しなかったのよ」
「それはゼアミの創造力がないのとちゃうんか?」
「そんなわけない……はずよ」
自分でも分かっているような言い草だな。
ちょいとこの神器の信頼度が下がってしまった。
音楽感性と絵画感性は違うと言っても芸術を創造するという根本は似ているはずだからな。
芸術神で且つ音楽神のゼアミでそれだったとしたらだ。
俺はもっとやばい物になってしまう可能性がある。
「ねぇ、トキマサお風呂入って良い?」
ゼアミは俺の質問攻めよりも風呂に入りたそうだ。
いや、切り替え早いわ。
まあ別に良いけど。
「うん、ええぞ。聞きたい事聞けたしな」
言葉の通りゼアミに神器の事を聞けるだけ聞けたと思う。
まだ聞いていないこと、聞き漏らしがあるかも知れないがそれでも大きなヒントを得た方だ。
そしてうっかり忘れていた。
そういえばゼアミが先に入るのだっけ。
「せやけど、まだ湯張ってへんけど大丈夫か」
さっきの口論でポロッと言った事で風呂の順番決めが決まったのだ。
一番大事な風呂を沸かすのをやっていない。
「大丈夫、大丈夫。身体洗っている間で貯まるでしょ」
「長湯すんなよ。俺も後で入るからな」
「え〜、いやよ。レディは長湯が常識なんだからね」
それもそうだが、やはり時間を掛けられるのは面倒だな。
俺だって生粋の日本人。
風呂好きであり綺麗好きだ。
早く自身の汚れを落としたのが山々である。
「じゃ、先に入らせてもらうからね。あっ、トキマサ。もし覗いたら天罰ですから」
「覗かんて、さっさと入れ」
「本当だよね。本当に覗かないよね?」
「覗かへんて。早よ入らんと、俺先入るで」
「わ、分かったわよ。本当に本当にお願いよ」
と急いで風呂場へ入っていくゼアミ。
誰が幼女体型の女神を覗くのか、需要がないのに。
確かに俺はロリコンだが、ゼアミのよう八歳レベルを対象にはしない。
それに覗いたら覗いたで後々口うるさくなりそうだし。
デメリットの方が遥かに大きい。
俺の中では十二から十三歳ぐらいが理想である。
興味ないゼアミを放っておいて、俺は腰に巻いていたポーチから万年筆を出す。
もちろん神器の能力の確認である。
神々が絶賛していた最強武器の実績を篤と見ようじゃないか。
筆などはおそらく絵を描くようだと推測しよう。
いやそれが普通の使い方だが。
そうなれば巨大なキャンパス、広い空間が必要となるのは明白。
この部屋ではもちろん使えないし出来ない。
万が一暴発してしまっては宿屋から追放待ったなし。
のし付けられて賠償請求されたら元も子もない。
そこで俺が考えたのは数十本ある小筆と万年筆だ。
その中でも文字を書く道具である万年筆を用いてみるとしよう。
絵ではなく文字でも物を顕現出来るのかは不明だが試してみなければ能力が判明できない。
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