11話 取扱説明書って基本的に読まないよね
「なぁゼアミ、神器ってどう使うん?」
「ん?」
ギルドから出た後俺たちは予約していた宿屋に着き部屋のベッドに寝転んでいた。
しかしベッドは一つしかなく枕が二つ並べており毛布も一枚だけ。
これからゼアミと二人で寝る事となる。
今考えるとこの状況、良いのか悪いのかよく分からねぇ。
この女神の見た目は妹みたいなものだが今日出会ったばかりだからな。
コイツが抱きついてきたら即刻、蹴飛ばそう。
内装は古いが洋風で典型的なホテル。
俺もゼアミも天界から落とされ、初期街まで歩かされたのだ。
裾や靴は泥だらけだし、服はゼアミを運ぶために汗が染み込んでいた。
我ながら汚いぜ。
よく思春期になった義妹から臭いだのなんだの言われたが自他ともに分かる臭さ。
今はただただ休息しようと思ったが、ふと頭に浮かび気になったことだ。
そして神器の譲渡主であったゼアミに聞くことにしたわけだ。
「せやから、神器ってどう使うんかって……」
「そんな事分かっているわよ。要は使い方を知りたいのね」
「そや」
そう、ゼアミは天界で筆を俺に託した時「最強武器」と言っていた。
と、すればまだ俺が気づいていないだけ。
外見だけのもの羊頭狗肉のような紛い物もあればその逆も然り。
使い方によってはチート級神器と化すのではと思っている。
そもそも俺以外に神器を持っている転生者がいるとしてもだ。
そしてゼアミはこの筆を高く評価していた。
という事は少なからず使い方を知っているという事だ。
人はいや女神も同じだろう。
目に見えないもの理論上のものは信頼できない。
大体こういうチートアイテムを貰ったら本来ならば自分で使い方を学ぶ所だが。
女神の特権として自身の持つ武器の使い方を教えてもらっても良いのではないか。
でなければゼアミは格○ケの写る価値なしと判定された芸能人ばりに存在意義が無くなる。
そんな存在意義が薄くなるかのならないかの瀬戸際を露知らず。
ゼアミは顎にザッと考える人の真似をしながら。
「使い方なんて分かんないわよ」
はい、存在意義が無くなりました。
もうコイツ写す価値なしです。
そこにいるようで居ないような存在です。
「ホンマか。渡しといて、「最強武器だ」って言っておいて、使い方知らんの?ほな何でこれが最強武器やって分かるん?」
「だって絵師の神が「これは最強、これは最強」って会うたびに言うから。それに最高神様だって「あれは創造という概念を具現化した神器だ」なんて言うから……」
「せやからぺちったんか」
「違うわよ。みんながそんなにも称賛するから興味を持って、絵師の神に私の神器の楽器十数個と交換して貰ったのだけど使い方が分からなくって。で、返そうと思ったらあげるって言われたから貴方にあげたの」
「……と犯人は供述しており」
「違うわよ。何で信じてくれないの」
とまた泣き出しベッドの上でバタバタ暴れる。
そして泣き顔を見せたくないのか顔を枕に押し込んでいる。
「ふあはははははは。すまんすまん。冗談や冗談。まさかそんな裏事情があったとはな、ほんならもうええわ。この件はもう話さへんと言う事でええよな。ぐだぐだ伸ばすのもゼアミに悪いしぃ」
「貴方以外と物分かり良いのね」
ガバッと顔を上げゼアミ。
いや、鼻水出てるじゃねぇか。
そこまで号泣することか?この問題。
「起こってもうた事をズルズル引きずるのは面倒いしな」
起こってしまった過去はどうやっても戻せない。
ならば今の俺がやる事は今、未来をどう変えるかだ。
「そうね。この件は涙と一緒に水に流しましょう」
「それ被害者側が使う言葉なんだが」
「ああまで言っといてまだ引きずるの⁈」
また少し涙目になり怒り出す。
「うーうー」言いながら枕をぶつけてくる。
折角、筆を布で拭いて綺麗にしたのにまた埃で汚されることになるのは二度手間だ。
「やめんかい。埃飛ぶやん。ハウスダスト飛びまくるから、やめろて」
「いや、やめない。トキマサが謝るまで辞めないから」
「ごめん、ごめん。いいからそれ辞めてくれ」
「わかった。……ていうとでも思った?繊細な乙女の心を弄んだ報いよ。埃だらけになっちゃえ。うー、うー」
さっきより加速させてぶつけてくる。
元々この宿屋は築年が経っているせいか埃っぽい所があってだな。
ちょっと飛んだだけで埃が飛び交う程。
このまま続けていれば本当にハウスダストアレルギーになりかねない。
「どうやったら許してくれるん?」
そう言ったらゼアミは枕攻撃を一時中断した。
「そうね。今日のお風呂の順番を譲ってくれるなら今は許すわ」
安い、安いぞ。繊細な乙女の心。そんなものでいいのか。
いや女性は風呂好きなのは確かだが、男性より先に入る事はほぼ常識になってきている。
ただ風呂に入る順番を決めただけで本当にそんなので良いのか。
「繊細な乙女の心はどうした⁈」
「だから今は、って言ったじゃない。もうちゃんと聞いてよ」
「へい、へい」
「ちゃんと反省してる?」
「ばちこり、うん。反省しております」
「本当かな?」
まだイラつきを見せながらベッドから降りて部屋付きの風呂に入ろうとする。
フロントに入るときに貰ったバスタオルを持って入浴の準備を始めようと思う。
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