8話 異世界にも社畜という概念
「それでは身分証の登録手数料を頂きますが大丈夫でしょうか?」
手数料、最高神から貰ったあの金貨で足りるだろうか。取り敢えず出してみる。
「これだけで足りまっか」
金貨の価値が分からないため革袋ごと出す。
それを受付嬢は目を丸くしながら一枚取り出した。
金貨を八枚返してきた。
金貨一枚につき銀貨十枚の換金制度か。
ゼアミの異世界情報によれば革袋の金貨は白金貨幣で最低貨幣は定番の青銅貨。
青銅貨が一万枚で白金貨一枚らしく金貨は千枚、銀貨は百枚、銅貨は十枚換算。
青銅貨一枚一円換算らしいので今ある革袋の中は白金貨数十枚で数十万円分貰ったわけだ。
因みに青銅貨一枚一ポン。
某ウイルスによって政府が出した給付金より少し高いぐらいか。
しかしそれでも多いくらいだ。
異世界の物価にもよるが俺は三か月もつな。
この世界に貨幣価値のデフレ、インフレは無いと信じたい。俺は経済学が大の苦手だ。
経済的不安を募らせている俺を置いて話と時間は進んでいく。
そして受付嬢が俺とゼアミの前にA4サイズのカードみたいなものを差し出した。
「こちらはお名前欄。こちらが職業欄、武器欄、能力欄、そしてレベル欄です。ご存知かと思われますがこの世界は見えない力が満ちておりそれはあらゆる生物に溜め込まれています。正直この力がなんなのか未だに解明されていませんがこれらはないかしらで殺傷した場合に経験値というもので身体に吸収します」
未だに解明されていないんだね、それは現代社会と同じだ。
身近にあるものほど分かっていない事ってよくあるよね。
受付嬢がカードを指差して軽く叩きながら説明を続ける。
「ですが我々人類はこの魔力を帯びた道具、魔道具を用いることによって数値化することに成功しました。そういうレベルです。このレベル欄にはそのレベルが数字で表示されるようになっております。誰がどう見ても分かるようにです。いや〜すごい発明をした人だと思いますよ。これによりどの様などれだけの数の魔物討伐を行って来たかが知れる様になりますし強さの目安や経験量の目安にもなります。そして経験量が一定値を超えるとレベルが上がり基礎能力が向上する様になります。簡単に言うとレベルアップ[めちゃくそ発音が上手い]です。因みにこのレベルアップが複数回なった時には限界突破した時にスキルといった奇跡的な能力の習得や修練度を高めたりする事ができますので要は社畜のように働けって事ですね……はい」
「今、社畜のように働けと言いました」
「イエ、イッテマセンヨ」
「言いましたよね」
慌てて受付嬢が口を手で抑える。
そして何故か声を高く上げて、だ。
最後の本音のような言葉は聞かなかったことにしよう。
そうか社畜か、なんかブラック企業の者しか発言しない台詞が流れたような気がする。
社会の闇の尻尾がフリフリしてるよ。
いや、身元があまり知られていない俺が仕事を貰えただけでも良い感じか。
しかしこれでこの異世界情報に整理がついた、完璧なRPG。
レベルや限界突破などの語彙が出てきた時点で明白。
死のあるVRゲームみたいなものとは恐ろしや。
そういえばそんな万人受けの小説があったような。
「それではお二人方、こちらの書類に名前、年齢、身長、体重、そして嫌いな食べ物をご記入ください。食堂のメニューで除くが出来ますから」
受付嬢から欄が並んだ書類を受け取り書いていく。
こういう重要なものは万年筆で書きたいから使っておく。
大万年筆だけでは無く小さい万年筆も黒箱に数本入っていた。
実は見えてる大筆、大万年筆、小筆十本、小万年筆五本セットだったというオチ。
意外と質も数も多い神器だった。
俺の身長は大体165cmくらいで体重56kgくらいか。
死ぬまでに身長がもっと欲しかったです。
毎日牛乳と小魚食ってカルシウム摂取していたのに、早寝早起きしていたのにこの身長だ。
170にも満たないのって結構心に傷が付くんだよな。
江戸時代くらいなら平均身長だったらしいがこの世界の男性平均身長はどれくらいなのかな。
余りにかけ離れていればハーレムどころかモテないのだが。
いやモテるために異世界に来たのかと言われると否定は出来ない。
しかし男性同士諸君、異世界に来たら嫁ちゃん探しに憧れを抱くのは当然のことだ。
何事も目標(不純な野望)を持たなくては前に進めないからな。
健康診断なんて一年前やったのが最後だし、年は19、嫌いな食べ物は無い。
俺は食卓に出された料理は食べる主義。
そうじゃないと作ってくれた人に失礼極まりないからな。
元々が一人暮らしな甲斐あってあまり好き嫌いが減ったのもあるが。
横で背伸びしながら書いていたゼアミはピーマンとか書いていたけど見なかったことに。
そもそもの話、ピーマンがこの異世界に有るのかと言う事なのだが。
「ありがとうございます。それではこちらのステータス明細書に触れて頂けますか。指を置くところがありますので。これでステータスが数値化し、適した職業を選べるようになります。これにより他の職業に比べ経験やスキル量が増えますのでそこも範疇に入れてお願いします」
ようやく来たか。これぞRPG系異世界作品の醍醐味中の醍醐味。
そう大体ここで主人公キャラは素晴らしい潜在能力を持っている。
新たなる開拓スキルを持っていたことが判明する。
本来ならチートスキルかチート武器を持ってギルド内で騒がれ皆から頼られる…筈だった。
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