スマホ管理
家に帰るとSNSを見ながら宿題をする。
「うーん、ここ分かんねーなーっ」
どうやったら分かるか色々考えていると、
「よしっ。勉強アカ作って試してみよう」
そして僕は新たなアカウントを作って投稿してみた。しかし新たに作ったアカなのでフォロワーがいない。だからまだ誰からもコメントが来なかった。仕方なくダメ元で趣味アカに投稿したら、『ポムポム』さんからコメントが来て、分からなかったところを解説してくれた。
(ポムポムさん、勉強も出来るんだーっ)
『分かりました、ありがとうございます』
『いえいえ。勉強しているんですね。偉いです』
『とんでもない。ありがとうございました』
『私の幼馴染みは全然勉強するタイプじゃないので困ってます』
『そうなんですか?』
『授業中にスマホいじったりするんですよーっ』
『それはいけませんねーっ』
『そう思いますか?』
『はい』
『ならいじらせないようにしないといけませんねっ』
『まあそうですね』
『分かりました、ありがとうございます』
『いえいえ~』
(ふむ。僕みたいな奴ってやっぱり他にもいるんだなーっ)
そう思っていた。翌日の登校中、
「おはよう洋輔」
「おはよう優美」
「なんか眠たそうね。どうしたの?」
「昨日徹夜でアニメ見てたからさ」
「あーっ、そうなんだ。もしかしてラブコメ作品を全話見たとか?」
「ど、どうしてそれを!?」
「本当に洋輔って見かけによらずラブコメ好きよねーっ、どんだけ恋したいのか~♪」
「う、うるさいなーっ、やっぱり青春したいだろっ!?」
「ふーん、そうなんだーっ」
なんだこいつ。揶揄った様な言い方して。
「お前こそ恋したくないのか?」
「え? ま、まぁ女子だし恋したいわよ」
「好きな人とかいるのか?」
僕は揶揄う言い方で言った。そしたら、
「……うん。いる」
え? 居るのか!? 僕は思わず動揺した。
「ど、どんな奴なんだ!?」
「うーん、本当に駄目で馬鹿な奴」
「え? そ、そんな男のこと好きなのか?」
「まぁね~。何が良いって言われると分からないけど彼は好きなことに一途なのが良いのかなーっ」
「へ、へーっ」
僕はかなり動揺した。軽く震えてしまう。待て。そ、そんなダメ人間とあいつが付き合ったら、優美の奴駄目にならないか?
「そいつはどんな特徴の男なんだ?」
「そうね。友達は少ないわ」
「へ、へーっ。他には?」
「意外と格好良い奴かな?」
「ま、まぁ良い面もないとな」
良い面があればそれはそれで嫉妬するな。
「けど総合的に聞いたらあんまり良さそうな男子じゃなさそうなんだが」
「そう思う?」
「思う!」
「ふふ、けどそれが良いのっ」
そ、そうなんだ。女心というやつは本当によく分からんなぁ。
「けどあいてがお前のこと好きかどうか分からないぞっ」
「うーん、好きなような気がする」
「え!? なんでそんなこと言えるんだ!?」
「私を好きってことをぼそっと呟いてくれるから」
「そ、そうか……」
はあー? そんな簡単に好きとか言う奴信用出来るのか!?
「そいつ本当に大丈夫なのか!?」
「え? どういう意味?」
「そういう奴って他の女にもそういうこと言ってそうだ!」
そして彼女はピタッと止まり、
「えっ、そうなの!??」
彼女はまじな顔でじっと僕を見てくる。
「あぁ、そう思……えと、何かな?」
「いや、別に……」
急に警戒する様に僕を見る。
(な、何だろう? なんかまずったことでも言ったか??)
しかしそんなだらしなそうな男と付き合って良いのか、幼馴染みとして心配だ。
「気を付けろよその男。女の尻ばかり追ってるかもしんねーぞ」
「本当にーっ?」
「本当……だからなんで僕をじーっと見てくるんだよ」
「別にっ」
「ったく」
「ところでさー洋輔」
「何だ?」
「あんたどうせ今日も授業中にスマホいじるんでしょ」
「え? まさかまさか」
「授業中は私がスマホ預かっとこうか?」
「は? なんでそこまで優美にされないといけないんだよ!?」
「あら、嫌なの?」
「人にスマホとか渡したくないじゃん」
「ふーん」
「それに授業中にスマホくらいいじりたいじゃん」
「けど私の好きな人も言ってたなー。『それはいけませんねーっ』って」
「は?」
そいつ。何余計こと言ってやがんだ!?
「彼はさぞ真面目なんだろーなー」
「……」
「やっぱり洋輔には出来ないかっ」
「……」
「残念だ……」
「あーっ、分かったよ預けりゃー良いんだろ、預けりゃー!!」
「宜しい心遣いだ。樫野君!」
そして僕は渋々優美にスマホを預けた。
「あ、最後に確認だけ」
「? はい」
そして僕は、『授業中にいじるから好きな子にスマホを管理される羽目になりました』と呟いた。
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