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flavor3

 運命の人。


 「あなたと結ばれていたのね。」


 と、私と言い合える人はこの世にいるだろうか。


 見つけ出せるだろうか。


 いや、そのときに気づけるだろうか。


 あなたの存在に。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 ある日だった。


 月が綺麗な三日月だった日。


 お母さんが仕事の出張で家を開けたときがあった。


 その夜に聞こえた声が今でも耳に染み付いていて取れない。


 忘れたい傷。


 直したい悲しみ。


「いいの?入っちゃっても?こんなことしたらお嫁さんきっと傷つくだろうね。くすくす。」


 知らない女はそう楽しそうに笑っていた。


 誰???!!


 私は不意に思い玄関のほうに顔を向けた。


 息ができなくなった。


「大丈夫だよ。今は出張だからいないよ。だから今日は楽しくしようぜ?」


 お父さんと思っていた人はその女の人と楽しそうに話していた。


 最低!!!!


 私はその時に、もう男の人を信じたくないと思った。


 私は怖くなって部屋で眠りについた。


 そのときにも思った。


 男って信じられない。


 寝ていたときだった。


 私の上に何か重たいもの感じた。


 私の目の前に広がっていた光景は今も思い出す度に体中が震える。


 私の服を脱がせながらにやけているお父さんと思っていた人が私の上に乗っていた。


 顔色が一気に真っ青になった。


「いやー!!!!!!!誰かー!!!!!」


 私は大きな声で叫んだ。


 誰かに気づいてほしくて。


 この闇から、悲しみから、苦しみから救ってほしくて。


 そのおかげで近所の人が気づいてくれたみたいで警察が救助に来てくれて助かった。


 その事件があったせいでお母さんはあの人と離婚してくれた。


 だから、好きな人や、彼氏を作ったら、怖くなりそうで。


 いらない。


 そう思ってた。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 翌日…


 ガラッ


『あ、梓だー。おはよー!!!!』


 女友達みんなが私にあいさつしてくれた。


 いつもの光景。


「おはよー!!!」


 みんなにそう応える。


 いつものこと。


 なのに、目に入るんだ。


 君が。


「黒浜、おはよー。」


 私が笑顔であいさつした。


 私はちょっと嬉しくなった。


 今日も逢えた。


「おはよ。」


 無表情なのに。


 なんだか、嬉しくなった。


 よかった。


 怒ってないや。


 すごくウキウキした。


 小さな幸せってこんな感じなのかな?


 ちょっと笑った。


 君を見ながら面白くて。


 君が引っ越してきてくれて嬉しいよ。


 このときはがまだわからなかったんだ。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 5、三日月の夜


 私はいつものように友達と遊んでちょっと辺りが暗くなってきた


 寒い道をゆっくり歩いていた。


 今日も楽しかったー。


 そう思いながら心を弾ませながら歩いているときだった。


 ポンッ


 いきなり後ろから肩を軽く叩かれた。


 ビクッ


 体が驚いてはねた。


 私は後ろを振り向きホッとした。


「びっくりするじゃんいきなりー。」


 私はいきなり後ろから肩を軽く叩いてきた黒浜に涙目になって言った。


 マジでびっくりした。


 私は目が大きく開いた。


「あ、ごめん。驚かせるつもりは無かったんだけど。」


 黒浜は笑いながら謝ってくれた。


 そんな顔を見たのは初めてで。


 びっくりした。


 けど…すごく嬉しくなった。


 そんなふうに笑えるんだって。


 だって、きっと見たことがあるのは私だけだろうなー。


 心をさっきよりも弾ませながら笑った。


 私達は帰ることにした。


 そして、私は風景を見ようと川原のほうを見た。


 そこに映った光景は体中が震えて前に歩けなくなった。


 あの人だ。


 お父さんだと信じてた人。


 私は震えが止まらなかった。


 怖くて地面に座り込んでしまった。


「おい、どうしたんだよ?」


 黒浜が言った言葉は聞こえなかった。


 耳をおさえても目をつぶってもあの日の光景がよみがえって来る。


 いやっ!!!


 私は心の中で叫んだ。


「おい!!!!木崎!!!」


 黒浜が叫んだ言葉のせいであの人が近寄ってきてしまった。


 一人だった。


「お前梓じゃないか。」


 その人はそうつぶやいて私に近づこうとした。


 あの光景が頭によぎる。


 怖い。


 体中が鳥肌がたった。


「来ないで!!!!!!!!!」


 私はとっさに叫んでいた。


 震えがもっと増し、涙が溢れ出た。


 怖い。


「おい。あの時のことお前。」


 もっと近づいてきたあの人に私は叫べなくなった。


 怖い。


 いやっ、いやっ…


 来ないで。


 私はそう心の中で叫んだ。


 必死に首を横にふった。


 その人は私の手を掴もうとしたとき…


 バッ


 いきなり私の前に黒浜が立ち…


「これ以上この子に近づかないでください。」


 黒浜は怖い顔で言った。


 目は鋭く光り、低い声。


 優しいんだね。


 黒浜。


「なっ、そんなこと言われなくても近づかねぇよ!!!!」


 その人はそう言い残して、去っていった。


 私はまだ体中が震えていた。


 久しぶりにあった。


 怖かった。


「大丈夫か?」


 黒浜は心配そうな顔をして私の顔を覗き込んできた。


 私はその顔を見て安心したのか。


「黒浜ー!!!!」


 私は黒浜に抱きついてしまった。


 黒浜は少し驚いたものの抱き返してくれた。


 ポンポン


 軽く背中を叩いてくれた。


 頭を支えてくれた。


 黒浜の腕の中は淡いタバコの香りがする。


 何でかな?


 聞いてもいい?


 聞いたらちゃんと言ってくれる?


 黒浜…私あなたのことが好きになっちゃったかも。


 そうして少し抱きついていて。


「ふー。ありがとう。黒浜。助かったよ。」


 私はそう言って黒浜から離れようとした瞬間。


 グイッ


 いきなり逆戻りされて、また黒浜の腕の中に包まれた。


 え?


「もう少しだけ、こうさせてくれ。」


 黒浜はそう言って私のことを抱きしめた。


 私はパニック状態になり何がなんだかわからなくなった。


 でも、黒浜は私のことを離さなかった。


 さっきの言葉が何故か悲しそうに聞こえたのは、空耳だったのだろうか。


 黒浜。


 君は一体何を考えているの?


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 君なんて好きにならなきゃよかった。


 後々に、そう気づいた。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 次に続く…













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