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flavor2

 何千人、何万人の中から君を見つけた。


 それって、こんなに嬉しいものなんだね。


 君が教えてくれたんだよ。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 3、見つけた


「さ、今日はここでお開きでーす。また遊ぼうね。では、さようならー。」


 一人の女友達が仕切ってお開きの合図を出した。


 みんなそれぞれ、帰っていく。


 ので…私も帰ろうとしたときだった。


「あ、さっきの。」


 私は見つけた。


 見覚えのある横顔。


 きっとそうだ。


「あ、どうも。よく覚えてるっすね。」


 その人は初めてあった人みたいな口調で笑った。


 やっぱりこの声。


 私知ってる。


「学校とは全然違うんだね。黒浜君。」


 そう、私は気づいてましたよ?


 そんなふうに顔で表現してみながら笑った。


 その顔は誰よりも目についたから。


 きっとわかったんだ。


「え?何で…」


 その人はちょっと戸惑っていた。


 きっと気づかれたことで驚いたんだろう。


 ちょっと面白い。


 私は小さくくすっと笑った。


「わかるよ。その横顔。」


 私は笑った。


 どんなところでもきっと君を見つけられるよ。


 今は、そんな気がする。


「ちっ。一度もばれた事無かったのに。」


 黒浜は一回舌打ちをして、悔しそうに頭をかいた。


 そんな仕草が可愛くて。


 もっといじめたくなる。


「でも、どうして学校とプライベートで違うの?」


 私は首を傾げながら尋ねた。


 だって、さっきので学校に行けばすごいモテるのに。


 私はずっと疑問に思っていた。


「女にキャーキャー言われんの嫌いだから。バイトの時だけこの格好。」


 黒浜は嫌そうにため息をつきながらぼやいた。


 私から目を逸らしながら…


「ふーん。黒浜って女なれてないの?」


 私はちょっとつまんないと思いながら尋ねた。


 だって、せっかく面白くなりそうと思ったのに。


「まあな。あんま女は好きじゃない。」


 残念なような嬉しいような。


 ちょっと複雑な思いが私の心を揺れ動かす。


 ねぇ、私、心が今すごく揺れてる。


 どんどん何かが崩れているような気がする。


「彼女とかはいないの?」


 私がその言葉を言った瞬間に黒浜は黙ってしまった。


 ん?


 どうしたのかな??


 いきなり黙りだした。


「?黒浜?」


 私は黒浜の顔を覗き込みながら呼んだ。


 暗い顔してる。


 どうしたんだろう?


 私なんか変なこと言ったかな?


「それ以上口出しすんな。」


 黒浜はすごい怖い顔をしながら睨んできた。


 目が、鋭くて、冷たくて、何か深い。


 まるで大きな三日月のよう。


 何か欠けている。


 寂しそうで。


 切なそうで。


 私は黙った。


 だって、あまりにも悲しそうだから。


 ねぇ、黒浜。


 一体何があったの?


 また、黒浜から微かに淡いタバコの香りがしてきた。


 何かを警告しているかのように。


 私はきっとあなたの香りに酔いしれて森に迷ったんだ。


 あなたを追って。


 私達は無言のまま歩いて帰った。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 4、恋ができない真実


 家…


「ただいま。」


 私は重くなった心を抱いたまま家に帰ってきた。


 考えることが山となって私に圧し掛かる。


 体も重くなるような気がする。


「あらーお帰りなさいー。また遊びに行ってたんでしょ?行ってもいいけど勉強もしっかりしてちょうだいね。」


 私の母は優しい。


 きっと世界で一番優しい。


「うん。わかってる。さ、一緒にご飯食べていい?」


 私があんな目にあったから、お母さんは離婚することになった。


 あの人がお母さんに手を出さなければ、こんなことにはならなかったと思う。


「ええ、いいわよ。」


 優しく微笑んでくれるお母さん。


 私の大切なお母さん。


 そうなったのはある、きっかけがあったから。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 私が小学一年生の頃…


 毎日が死にそうなぐらい気温が上がる夏。


 お父さんが熱くて気を失いかけたときに目の前にトラックがいたらしく衝突してしまい。


 お父さんは亡くなってしまった。


 私は泣けなかった。


 泣けるわけがない。


 ショックが大きすぎて心に穴が開いた。


 苦しくて、悲しくて、切なくて。


 お父さんに触れたときにはもう冷たかった。


 そのときの思いは言葉に表せないくらい。


 残酷なものだった。


 傷ついた私を元気付けようと、母はその前以上に優しくて明るい人になった。


 今でも、思う。


 母は強いなと…。


 泣いているところを私には見せたことが無い。


 そして、ある日のこと。


 母は私に新しく父を紹介してくれた。


 その時はまだ三年生になったばかりだった。


 少し時がたって、この人さえいなければ私が恋をしなくなるときは来なかったと思う。


 その新しいお父さんは田崎たざき 文矢ふみやという人だった。


 笑顔がすごく優しくて、まるで実のお父さんみたいに感じられるほど、優しかった。


 あの日がくるまでは…


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 好きな人…。


 月を見つめながら。


 そう考えることが多くなった。


 きっと、あんなことがなければ男の人を信じれたのに。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 次に続く…













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