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逸脱  作者: ド素人
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デカけりゃ、ただ相手をノセば、いい格闘技。それをガチガチに縛るルールのボクシング。

つまるところ、自由を制限するのが、皆のスボーツってこと。

勝手に複雑にして雁字搦めにして、自由な発想•人を潰す。それを全員に強いる。

学校で習わせて押し付ける、それがスポーツ。

運動神経•フィジカルじゃなく、ナゾの圧力で閉じ込められたもの…「一般人と似てるだろ?」

選ばれし者だけが出来る、それがスポーツ…のはずなのに。

見る人が多い、一般人に受け入たもの勝ちの世の中。一般人様、一般人でも分かるシンプルなルールにする。

でもシンプルだからこそ不自由。「だからボクシングは本当は一般人から逸脱してて仲間のはずだけど、敵側だよ」

動くこと•動物的な動き•スポーツ。

自由な方法で相手をぶちのめしさせばいいソーゴー。それでいて護身術でもある、人に必要なもの。


よく議論されるものだけど、走ることと格闘が本来人間に動物に必要なもの。

ゴルフとか卓球とか勝手に人間が作ったルール。フィジカルが、いらない、フォームだけ磨けばいいから、筋トレしなくてよくて羨ましい。

一旦タイム取って話し合えるスポーツ。格闘技は反則でも起きない限りずっと続けないと、同じ状況にならない、一瞬も隙を見せず闘う。

一旦別れてものんびり球を放る、ガム噛みながらボール投げる野球。


ボクシングだって最も減量する格闘技。だからガリガリでもOK。そもそも、パンチの中ですら禁止技を作るボクシング。

オープンブロー、脚へのパンチ、首掴みバンチなども禁止。

非人道的反則でもないものを。

首掴みパンチは、効果があるから禁止される。キックボクシングも、関節蹴りがダメージ凄いから禁止される。

効果的なものを禁止する“スポーツというもの“はなんなのか?

制限して、効果的な技を制限した先に芸術があるとうそぶく。

とはいえ、人間は脆い。攻撃力は限界まで上げれるが、人間の身体は弱いので、防御力の底上げには限界がある。

核兵器と一緒で際限ないのは攻撃力。それに対して防御力は軍事の世界、物理の世界でも分かる通り低いラインにある。


「格闘技とスポーツの違いを先に喋らせてくれ」

防御の為に他のスポーツでは鍛えない首を鍛え、腹筋を鍛えた末に殴らせ打たれ強くする。打撃が当たった瞬間に力を入れて腹筋で衝撃抑える訓練。

自分が殴る時にすら痛い。だから拳とスネを硬いもので叩いて神経を潰す。

ダメージという、他のスポーツに無いものと、通常の怪我。

格闘用の体作り。階級上と闘う為の増量、スピード•テクニック落とさずに。

総合なので組み技•立ち技の中間の体作り。

試合は勿論全ての格闘技の動きをやるので一番疲れる。

動体視力の訓練。避ける訓練。

筋トレとスパーとサーキットトレと動作の為の筋トレ。食事。体が

丈夫であること。脳や目に異常がないこと。

家族の理解が特に必要な格闘技。将来どうなってもいい覚悟。お金。ダメージを抜く為の時間。皮膚も厚くないといけない。血液からの、接触からの感染症の問題。道場内でのケジラミの感染も。

技術論叩きこんで反復して。

ボディービルダーも一度太ってから、脂肪を落とす。面倒な身体•スポーツの世界。

疲れという概念がある中で異常にやることが多いスポーツや格闘技の世界。

それを簡単に超えられる反則、ドーピング。


総合格闘技は全ての格闘技の技術を使うから、頭も良く、全て出来る。より才能が必要な世界。

それを「ただの喧嘩」と叩く人達。

裏を返せば、パンチしか出来ないボクサーというか、マラソンしか出来ないボクサー。

陸上でいう、10種競技の総合格闘技。

ボクシングは昔からあるから喧嘩じゃなく、スポーツ扱い。弱くても。

技術力が高いから正しい古典絵画家。

に対してゆるキャラしか描けないイラストレーターのような、パンチしか出来ないボクサー。

なら、技術力が高い画家がゆるキャラの世界で漫画の世界で100獲れんのか?と反論されても、格闘技は、最強や護身術を求めるものだから、その競技の中で100

を取る必要はない。全ての格闘技を90で出来るのが総合格闘家。喧嘩最強を目指す総合格闘技。

パンチしか出来ないナゾのルールの中で満足出来るボクサー。

もっと例えると、陸上で言ったら、ハードル走が当たり前の世界だとする…だってそこらに木や家があるんだから…その世界で自分達が勝手にハードルどけて「100m走で競いましょう」と言うようなもの。

勝手にルール作って、自分達に簡単になるように作って「自分達が偉い!」と言う。

パンチだけでも総合格闘技と比べて強くない理由がそこにある。

相手の邪魔をする、前話したフルコンタクトで、パンチだけ磨いて結局それ以外の格闘技に潰される。

真っ直ぐ走るだけの単純バカと、狂人から逃げ、ハードルの位置も考えながら、自分は上手に避けながら逃げ切れて、抵抗も出来るのが総合格闘技。

格闘技関係無く、襲われた時に人間は、逃げきること、勝つことが重要でどっちも出来る頭と体がある総合格闘技。

人間は走りと格闘が大事。自己防衛の為に。

だからと言って災害があった時、逃げ切れなきゃいけないから、津波から即座に逃げ切れる50m走のトップスピードも、動物から何時間も走って逃げるスタミナのマラソンも一位になれる人物が居るかというといないけど、それに近いものを目指す総合格闘技。

パンチ以外出来ないから、馴れ合う•妥協するボクシング。


「俺、ボクシングだけやたら叩くけど、まず大前提にボクシングオタクだけ弱さを認めない。そしてネットで工作するようなやつら」

女叩きされる側の女やある民族みたいな精神性。


「喧嘩では強いから」と強がるボクシング側。

喧嘩に近い総合格闘技には挑戦せず。

出ていないから、従って負けていないから、ボクシングは下じゃない論理。


一対一なら確実に寝技師に負ける立ち技。

喧嘩動画を見て、寝技は複数に勝てない。立ち技なら勝てると吹く。一対一ですら勝てないのに、なぜか、その相手が複数人になったらなぜか打撃で蹴散らせる設定。普段立ち技だから、フィジカルも鍛えてないのに、複数人に勝てる設定。

「なら一対一なら無敵だね」

悠真が皮肉を吐く。


とにかく、喧嘩で蹴りや寝技に負けるのが情けない、だから「総合格闘技やろうっ!」とならない。

「捕まってもいいよ、俺が喧嘩で潰してやるよ」と他競技格闘家に言われる。この一言が脅威になる。「パンチだけでやろうや」と喧嘩で相手に指定出来る設定の漫画脳。

路上でハイキック一発でノサレル有名ボクサー。

ボクサーに「総合格闘家に喧嘩売られたらまずどういうパンチ振るんですか?」とわざと聞きたい。


ボクシングだけ自分達は弱いと認めない。相撲も空手もプロレスも、ボクシング以外最強は総合格闘技と認めた。

パンチだけは、上の上というわけでもない。技術論は省くけど。

「ボクサーも喧嘩なら蹴り使うから」と強がる。練習してないものが高いレベルで出せるなら才能あるから総合格闘技に来てください。

練習してなくても出来るなら素人でも成り立つ論理。

プロボクサーが「俺は競技として好きなので、喧嘩で負けてもいいですし、負けるの当たり前ですよ」と言ったら、ボクオタはなんと言うのか?


総合格闘技の中でパンチを禁止されてないのに文句を言う。パンチだけ禁止してるとでも思ってるのか?

「挑戦して本当にパンチだけで勝てたら逆にファンになって応援するのに。だから挑戦しないとこが女々しくて嫌いってことです」


ボクシング業界脅かされたくないから、キックや総合に圧力かけて来た歴史。

元々素手から始まったボクシング。なのにスポーツライクヅラする。

アウトボクシング•クリンチするくせに「殴り合うのが漢だ」と、自分が殴れない、キック•投げ技に負けるのを相手のせいにする。それを超えて殴れない自分は叩かない。


喧嘩でパンチは出来ない。グローブに守ってもらえないから。

人間は元々拳が脆い。それをグローブつけて無理矢理やるボクシング。ムエタイや総合格闘技はパンチ以外の攻撃手段がいくらでもあるから素手でも大丈夫。パンチしか出来ないボクサーが喧嘩で何の技を繰り出すのか?


誰でも芸人でも取れるプロライセンス。

「テレビでよく見るよな」

10カウント待ってくれる優しいルール。


トップ中のトップが稼げるというどの業界でも当たり前のことを誇る。ほとんどバイトしてる選手ばかりなのに、金だけは総合格闘技に勝ってるぞと誇る。

40代以上の大御所や芸人やヤクザやテレビトップやオジサンが好きなボクシング。だから応援される。その人達が必死に守る。

本当は弱かったボクシングを恨むでもなく、総合格闘技を好きにならない、新しいもの嫌いのオジサン達がいつまでも応援する古臭いスポーツ。

特に大阪で人気。昔ヤンチャしてた選手をひいきにする精神性。他の格闘技と比べて圧倒的に元ヤンが多い。


毎回12ラウンド見せられて、つまらないボクシング。でも野球などと一緒で、昔からあるから、つまらなくても見る一般人。


減量辛いわと自慢してくる。

素人はボクサーはスタミナ最も有ると思っているが、パンチしかしない上に組まない。総合格闘技は倒され、起き上がり、相手の体に対抗して実質バーベルを持ち上げ続けている状態である。そこに打撃も加わる。

グローブの上をお互いペチペチしてるだけのボクシングがスタミナ有ると思われる悲しさ。


ボクシングの中で変則スタイルで闘う選手を持ち上げる。蹴りあり、投げありの総合格闘技で変則スタイルできるなら本物。パンチしか来ないボクシングの中でしゃがんだりできたところで。


総合格闘技の打撃を下手というボクサー。タックル警戒してフォームが変わった合理的な打撃を弱いくせにバカにする。

下手なパンチ打つしょぼい総合格闘家に勝って下さい。

「ボクサーは選ばれし者、競技人口も最も多いし」と言う。選ばれし者なら総合格闘技さらっと挑戦して勝って下さい。

ムエタイからの転向組にも王者になられるボクシング。


歴史あると誇っているのに、八百長三昧のボクシング業界。

階級•団体多過ぎて王者も何十人居る。毎回TVで何階級達成、連続防衛と聞くボクシング。

昔から最軽量級は日本人王者ずっといるのに有り難がる。

総合格闘技で外国人に勝つのが一番難しい。


殴られ屋もプロ対素人もパンチだけだから避けられる。蹴り、投げを禁止して動画撮り、自己満足する。

「絶対に相手の両腕からしか打撃が来ないから、避けれる。ハルカさんも今度動画で見たら?殴られ屋のやつ」


ムエタイの下位互換のキックボクシングの下位互換のボクシング。一番下の適性。

目潰し•金的の、攻防覚えたら最強になる総合格闘技。

蹴りから覚えなきゃいけないボクシング。今からどれだけ覚えるんだ?


デカイグローブで、凶器で闘わせるボクシング。本来無い物で。


幻想が無くなったから漫画家も総合格闘技が嫌い。だからなぜか物語の中で噛ませ扱いにする。

漫画ではボクシングを究極の闘いと煽る。三回までダウンしていいルールで。

「まぁ、合理主義だから、創作物と合わないんだよね」


総合格闘技はなにやってるか分からないと言う。「全ての格闘技混ぜてんなから凄いんだろーな」とも言わず、寝技をつまらないと叩く。分からない自分は叩かない。「パンチだけなら分かるよ」とアホ自慢を始める。


他の立ち技もバカにするのに、都合のいい時だけは仲間扱い。


チビしかいなくて、尊敬されてないボクサー。「喧嘩なら勝てる」と素人にもバカにされる。

フィジカルをきっちり鍛える総合格闘家。喧嘩も強そうで、バカにされない。だって折られるし。


つまらない寝技に負けるボクサーは叩かない。しかも本当は折られているのに。

相手の骨を折る為の寝技を抱き合うホモと叩く。立ち技のクリンチという次に繋げない、それこそただの立った状態での抱きつき合いは叩かない。


結局“逃げる“。パンチ以外に負けるボクシングの現実から一般人教的に逃げる。


ボクシングが好きだからパンチの技術だけで総合格闘技で勝とうと挑戦してほしい。それが本当にその格闘技を好きな証拠じゃないのか?

「だって、俺はもう証明されてるけど、自分が好きだから、最強を自分でも証明する為にソーゴーやってるんだよ」


なぜか野球はダラダラやってOK。昔からあるから。

相手にヤられない為の一時的な膠着がバカにされ「見ない」と言われる総合格闘技。

ボクシングも12R同じことの繰り返しでも見る。

総合格闘技は派手じゃないと見ない一般人。だから決着がつきやすいようにルール改正され、安全面なんで知ったこっちゃない運営。筋力増えてKOに繋がるからドーピング検査も無し。検査費用異常にかかるし、選手をコマとしか思ってないから。

テレビの前の視聴者の為の見世物。

新興の格闘技には100を求める一般人。ボクシングと野球はだらだらしてよい。

競技そのものを見てもらえないから有名無実の選手でOK。

嫌われてても、逆に視聴率が高ければ、強いバックがいれば、グローブ細工など反則もし放題。

音楽などのゴリ押しと違って切磋琢磨のスポーツなのに、相手を傷つける格闘技なのに平気で反則できる精神。しがらみばかりの興行。その理由はテレビ型格闘技だから、視聴率の為なら狂えるのが…。


「金が絡むと、大きくなると、面倒になる音楽業界や芸能界と一緒。それでも激闘というものに惚れ込んで格闘技が好き」



話は終わって、総括してみて。

「業界の問題点…暴露系は目を引くけどね…」

「何か掴めたらネタあげるよ、ライターさん」

解散。




翌日。アノア内控え室。

笹田が話しかけてくる。

「プロを倒すんだからプロ…」

「んで?」

「このまま行くと、プロになれるのを嬉しくねーのか?TVにも出れて、お前らが言う選ばれし者にもなれて…道が開けただろっ?こんな底辺から」

「…」

反応の薄い達仁。

「いやっ、だからさっ…そりゃークビになるかもしれないし、負けるかもしんねーけどよ、ここの奴ら…地下の奴らと比べて…人生バラ色じゃないのか?だっていつもと同じポーカーフェイスしてるからよ」

感情の見えない達仁。

「そりゃー闘ってる時は気持ち良かったよ…。でも、一歩ずつ終わりに近づけてるってのは、目的達成の為の進行度上がったってことで嬉しいよ」

ズレた返答。

まさしく別の世界の人間。

抱え込んだ人間と、普通に生きていける人間。

「いやっ、普通に考えたらあそこまでの試合出来んだから、自殺なんてしないで、プロとしてやっていくだろうがっ!それは希望じゃないのかよ?」

それでもプロにならない、プロとして生きていかない重さ。

希望より絶望が上回る。

「お前に送られた歓声聞こえなかったのかよ?」

ただ弱い奴をぶちのめすだけの地下の人員…であったところから、試合を通して何かを人に与えられ、求められ、褒められたにも関わらず…。

目の前の相手に集中していたからか、試合の疲れからか、他人を捉えていないからか、本当に賛美も歓声も聞き取っていない達仁。

「人から愛されたい訳じゃないからな」

笹田が叫ぶ。

「んなもん、どうやったって、バッドエンドじゃねーかっ!」

無表情に、笹田の顔を捉え。

「俺が物語を書くなら、バッドエンドしか書けない、し…けど精神病の心理描写•トラウマなんかは思い出したくもないから書けない…。自分をドラマチックに出来ない。出来るのは、苦悩、批評だけ」

理解出来ない笹田、今更こんなセリフを吐く。

「いやっ、精神病の括りですらないんじゃないかお前?だって精神病の奴なんて現代人で腐る程いるじゃんよっ!でも自殺するのはその中の何割よ?しかも人前で…病んでるっていうか狂ってるよ」

長くいて、少し感情移入したのか、やや踏み込んでくる笹田。

「どしたの?笹田らしくないじゃん」

それでも冷めたセリフを吐く悠真。

「精神病患者数と自殺者数のデータなんて知らないぞ」と吐く達仁。

この話をしてる時以外は楽しく喋れてるし、もういいか…と狂人の説得を諦める笹田。

(敏感なのも考えものだな…)

うつ、自殺から逃れる為に感受性鈍くないといけない。



自分の為に生きる。そんな当たり前のことも出来ない。

人並みの幸せを放棄するほどの闇•覚悟。

生半可なものじゃなく。

遊びに行く友もいない、何かをカワイイと思うこともなく、ふつうの生き方から外れきって、ただ悲壮感を携えて…。

盲信、自分の目的を。止まらない。

何の使命もないからボケる。全うするまでボケれない、死ねない。目的があるからショック死もしないし、独りで大丈夫。

ある意味エゴでラッピングされた人格。ほどけない。ほどくつもりもない。

達仁の物語には感動•見せ場というものがない。ただ心をやられて復讐するだけ、遂げなければ死ねない。

悲しい人生。

終わりの決まった、決まり切った末路。

自分を救うだけの、自分の為だけの物語…人生。

救うといっても最後に人間に“見てもらう“だけ、少し愚痴を言うだけで…それすらもできない世の中でそれをなんとかやって、ほんの少し怒りが和らいで終わり。

悪じゃなく、心の傷でおかしくなっただけ。

社会•環境•人間に殺されただけ。社会•世界が悪を作っている。

言い訳もしないただの悪人•純粋な悪に生まれてきた者もいる。後天じゃない、変質させられたものじゃない純粋な…。

悪人こそ世に憚って長生きし、子を産む。長く生きて、より人を傷付け、子に連鎖させる。

そこから離れる、理から逃れようとする達仁。

この世に生まれて、喜びなく、ただ怒りをぶつけて去るだけの…意味の無い…すでに死んでるような。

逃げて逃げて、嫌なことから逃げるのも、強くあって関わらず生きているのも、鈍くて物考えぬ人も、死んでるのと同じじゃないのか?

ロボットと…苦しみすぎる人と。 逃げることを叩く人間。麻痺したことを誇ってにげる人間。

分かったフリして「悲しむな!」と言う人達。

強く生きれず閉じこもる。それしか出来ない人達を誰も…余裕もゆとりもある人達は人助けじゃなく、自分の稼ぎを増やす為に生きる。勿論それは悪いことじゃないけど、叩く時だけ都合よくなるから。


幼少期からずっと気を使い続け、抑え、耐えても、将来なんの役にも立たない。

ただ損し、心が病む。

それでも時は過ぎ、皆同じ精神年齢になり、大人になり、差がなくなり、自分だけが抑圧されてきたのを引きずる。同じ環境で育ってないから。

一度も報われず大人になり、マトモに生きれてないから心も体も育っていない。

「甘えるな」と同じ人生の歩みをしていないのに、閉じ込められる。

バカな子ほど褒められ愛される。そんなこと出来なかった自分。

これから先も辛いのに、スタートラインが違う自分。

ストレスが溜まり切って、大人になった体。

何も持ってない自分はバカにされ、恵まれた者が、幸せに生きた者が広々と住む、支配する世界。

成人すれば過去も背景もない、甘えるな、取り戻せない、頼ることもできない、生きるのが下手でずっと悩み…その間に周りは…。

ゆとりがあって手を差し伸べてくれるでもなく、ただ人をバカにし、呑気に生きられる、これからも。

底辺であるこちら側を叩いてストレス発散する中ちゅうの人間。

関わらないんじゃなく、自分の楽しみの為、叩きにくる。

自分がヤられてきた、下げの人間達と…その後、その境遇を下に見る、バカにしにくる中ちゅうの人間。

精神が違う者を一つに押し込める。

所詮普通に生きてきた他人には分からない。

スラム街出身でもない限り認められない。かといって悲惨過ぎても目を逸らされる。

時間が更に自分を苦しめる。束縛する。近づくな。

普通のひとが「昔のこと」と責めてくる。いざ自分が同じ環境だったら、社会•人のせいにする奴らが。

自分の昔の悪行•いじめ•前科•不倫は忘れろと言う一般人。

人に迷惑かけてきたことを「忘れろ」と言う人間。

他人に「昔の悲しさを忘れろ」と言う人間。

忘れるとはなんなのか?

「精神が未熟でどうしようもない」って、成長ってなんだ?

普通の人間じゃない、奪われてきた人間にとっての成長とは?

されたことを無かったことになんか出来ない。

普段損したくなくて「一日も休むな」論なのに、こっちは大損しても忘れなきゃいけない。

「本当の不幸は忘れろ!損は平等にしよう」

精神が潔癖なのを「中二病だ」と、なぁなぁで馴れ合いきった自称社会人か叩く。

仕事程度で弱音吐く、いじめも虐待も経験していない、恵まれた人はつけあがって仕事を辛い辛いと自慢する。

悪意にまた我慢しなきゃいけない、奴らが言う“成長“というもの。


生きている限り、一生逃れられない悪夢。

全てのことが引き金になる。

拠り所もなく、良かった思い出もないから、それに浸ることも出来ない。

叫ぶ•叫ばないの選択。

自分ならでの心の闇、誰も分かってくれない。

死を早める行為、自殺。

誰も分かってくれないんだから、誰にも甘えたことないのと同一。

“本当の自分“。見えていない部分、自分…は家族すらも届かない。血を分けた家族ですら…。

浅くない、深い。自分ですらもキツイ闇。嫌っている。

幸せにならないということ。

それを現実では出来ないから自分がなろうとする。

誰も殺されてないけど、自分の死…普通に生きれない自分の死。でも、この世の中で幸せに生きていくつもりもないけど。

子を作らず、復讐と自殺の目標に生きる。目標がネガティブの極致、死。

他人•一般人が敵。

自分しか自分を救ってくれない。健康もストレスも精神も。

だから自分の脳内に自分をもう一人。同じ思想の自分を産み出し生きていくか、思案だけして生きていくか。同じ知識•考えを持った自分。

敵である他人。

中ちゅう同士で馴れ合って「分かり合えるっていいですよ」と綺麗事言われても、単純だからだろ、人間は複雑なものなんだから、結局。

馴れ合いの恋愛、その辺の人を特別視する、理解者と。

本当に自分をわかってくれる人間と出会う確率…。

「って俺は達仁と出会えたんだから、これ言っちゃいけないよな?」

「東京だけで3000万人居るんだぞ?あり得る…」

「はっは!やべーなっ、一億二千万人の内の、その割合は」




12月1日。達仁のアパート内。

「そろそろ向かうか」

「どう?」

「同族だと思ってるし口かりー、前例もなし、そんな奴もなし、俺はユーマと会う前からずっといるし…お前もおじさんと仲良くなってたろ?」

「あー…スマホの使い方教えたおじさんね、身内と思ったら軽い軽いあの人ら」

ヤクザ相手にあることの裏取りをしていた達仁。

「佐原をやったっていう、現役プロに勝った事実、顔タトゥー、…で、脅し、これだけあれば…」

そもそもTV格闘技は人気商売なので人気選手頼り。ある選手が出場出来なければ別の人気選手を、たとえ一週間前だろうが緊急オファーする。(英語でショートノーティス)

視聴率の為に有名人•芸人の試合も組む。看板で上と勝負出来るイビツな世界。TVだから。ミュージシャンのようにコネだけで出る、有名無実…ということも。それで上がれる場…ならそれを利用してTVに出よう、という達仁。

ちゃらんぽらんなように見える格闘技興行。でもだからこそカリスマ性がある。プロレスラー•格闘家はキャラがある。野球などは選手は地味、見た目も性格も。で、二軍三軍など更に日の当たらない。’’プロ’’という名の選手なのに。プロなのに目立とうとしない野球選手。キャラ付けしてそれに沿うプロレスラー•格闘家。目立てばいいTV的な世界観と怪我までするスポーツ格闘技の狭間のイビツなもの。だからこそ達仁のような者でも目指せる独特な世界。面白ければなにしてもよい、人気があればなにしてもよい芸人•TVなどの世界に属するもの。

「まぁ脅しだけでいける…出るだけならな…お前でも今から切り替えてユーマでもいけるよ。でも勝たなきゃ、カッコつけなきゃいけないから…」

「敗者の言うことなんか誰も聞いてくれねーもんな」

お茶を飲み干す達仁。

「さーて、佐原にアポ取ってもらったから行ってくる」

珍しく心配そうなユーマ。

「…格闘技団体代表、ヤクザとも繋がりある、館長。岩瀬のとこ…って言い方したらやばそうだけど、ん〜…ただ直談判、直訴しに行くだけだからなぁ、やっぱ大丈夫か」

「…じゃない、脅しにいく、見誤ったらやばい」

最後の調整、これに失敗するとなにも成せず終わる。

「…俺はバックアップとして待機しとくけど、タツがいないと頓挫だからなっ!行き当たりばったり…」

失敗すれば告発文と個人言論ネットにあげるだけ…誰にも見てもらえず。

「まぁ俺らは持たざる者だからな、結局頼れる者もいず、失敗確立たけー」

一人で。一人で興行に立ち向かう。ナゾの行動力•情念。岩瀬に嘆願するとこまで来た。忙しい社長と取り合える所まで来た若者。終わりに向かう…。

夕方達仁が出かけてゆく。見送るユーマ…だが妙に落ち着かない。気晴らしに自分も出かける。

12月。街中にはクリスマスソングが流れ、クリスマス用の飾り付けがあちらこちらに。楽しそうな風景。

目的もなく歩く。やがて日は落ちてゆく…イルミネーションの明かり•光。色んなイベントが催される都会。

「…俺は達仁と違って完全には…さみしかったり、恋しかったり…」

周りに溢れかえる幸せそうな人達を見て…。イベントとは程遠い暗い日常を送り続けてきたユーマ。お祭りの楽しさ、派手さ、特別感。祭りの後の寂しさ、喪失感も知らない。

日常の中の非日常…普通の幸せを目の当たりにして…涙をこらえる。どこにも行けない。友達もいない。金もないユーマ。

「くっくく…達仁にお小遣いもらう俺…他人」

宙を、何もない宙を虚ろに見つるるユーマ。空を仰ぎ見、息を吐く。

「…格闘技雑誌でも買って帰るか…」

小さな背中•心で去ってゆくユーマ。


東京、某所、ビル内。

「…TV局じゃあるまいし、このぐらいのセキュリティか…」

五階。館長室兼社長室前。

ここまで自分の力でやってきた達仁。緊張もせず…ノック。こんこん…。

「おー、入れ」

扉を開く。初めての対面。

格闘技道場の館長、ならびに興行REALー1を取り仕切るし。岩瀬の姿。背広に身を包み、173cm程の身長。整髪料で髪を整えたTV出演もこなすビジネスマン•仕掛け人。

ゴールデンタイムに唯一中継されるイベントの重要人物。

「おーおー、顔面タトゥー入った奴生で見んのは初めてやっ」

大物ならではの軽さ明るさが見られる岩瀬。

「…どうも…」

(流石に、やり手のオーラがあるな…成り上がり、ヤクザと関係あり、元格闘家、TV局とも渡り合う、金持ち…)

「…」

まずは相手の言葉を待つ達仁。

「…寡黙やな、理知そうでもある。そんな奴が顔面タトゥー。まぁ俺も何十人とおかしい奴見てきたけどな。半ヤクザとか不適合者、格闘技やるやつは、やっぱりおかしい…俺が言うなんて…じゃなくてこの俺やから言えることやけどな」

「そうですね…地下で…プロになれなかった奴ら何十人見てきたんで…」

「くっはは、一般のファンが知らんだけで腐るほどおるからな」

朗らかな会話。

言葉遣いだけでへりくだってはいない無表情の達仁。

「で、自分こんな、タトゥー入れてまで自己顕示欲強いので、TVにどうしても出たいんですよねー」

全く違う目的、死の為のものを

道化師になり、自分をあざけり…。

「もう入れちゃったし、有名人なるしか、生きて行けないんですよ」

目的の為に軽いかんじの若者も演じられる達仁。

雰囲気•理知さ、悪く言えば気難しそうな…それに反したセリフ•行動。イかれてるからこそ演じられる。

ここが最後の踏ん張りどころってわけでもなく、最後試合に勝たなきゃいけない…自分が決めたルール。

「枠買いとか、急オファーとか裏側もろもろ存じております…もう、ちょっとお金もヤバいので今年、大晦日お願いします」

頭を下げる。

TV放映枠の中であれば前座でも構わない。

でも第一試合で事件が起き、中止になる大会。そこは格闘技好きとして申し訳なく思うが…。

というかTVにもお茶の間にも迷惑というレベルを超えたものが起きるが、達仁は怒りの目的でやっているので、人…のことは知らない。芸術•スポーツである格闘技、そのものにしか申し訳なく思わない。

じ っと見つめる岩瀬。

「…」

言葉を待つ達仁。

「…」

思案中の岩瀬。

「いや…外国人ならいけるが、日本人で顔面タトゥー入れてるのTVで放映するのはちょっとなぁ、クレームもあるかも知れんし」

(やっぱ佐原とタトゥーだけじゃ無理だったか。よかった、情報集めてて)

「まっ、よっぽど、欠員が出たら呼んだるわ」

話を切り上げられてしまいそうになるが、まだ低姿勢でいく達仁。「…岩瀬さん、絶対面白い闘い…判定まで行きません、何か魅せます。」

佐原に勝った男の説得力ある言葉…が。

「TV無しのオープニングファイトでも?」

「TV放映枠でお願いします」

面倒臭そうな岩瀬。

「…キミを呼んでも客は来ん、分かってるな?」

ごく一部の地下の者しか佐原戦を見ていない以上、あの試合は無かったことに等しい。

レコードにも残らない闘い。集客も望めない、ただの新人の達仁。「顔面タトゥー男が何かを魅せます」

真剣な眼差しで訴えかける達仁。「…何か…TVで注目されるほどのもの」

そんなもの君にはないだろうと言わんばかりの、量るどころか下の者を見る侮辱の目を向けてくる岩瀬。

(ちっ…枠は余ってないのか、ならなんでアポに応じたんだ )

苛立つ達仁。

「…すまんな、いつか空いたらコマとしては使いたいからな…たまたまプロに勝ったからって、君がプロレベルな訳じゃない…一応、囲い込んでおきたいんで、今日あったんだけどねぇ」

上流独特のいやらしい笑顔を見せてくる岩瀬。

「…岩瀬さんは現実主義者•金タイプで、土下座とかお涙頂戴じゃ」「ああそうやな、君が何かバックがいる、何かの信者であるなら動員が期待できる…それか、視聴率取れるほどのなにか…タトゥーごときじゃ一日で忘れられるぞぉ」「…確かに私には何もありません、頼る所も」

須賀に媚びるでも頼るでもなく、ただ場所を借りて利用しただけの達仁。何のバックも持ち合わせていない。

「…」

表情を変える達仁。ややギラついていく…。

(とうとういくのか)

「…何考えとんやっ」

雰囲気の変わった達仁へ怪訝な表情を見せる岩瀬。

口を開く達仁。

「…岩瀬さん…闇ギャンブル…」「…!……何が言いたいんや、俺を儲けさせられんのか」

達仁からすると的外れなことを言う岩瀬。

(いきなり人のリングに上がって片八百する訳ねーだろうがっ)

「選手の裏側、宗教も派閥もなくただ平等に行われる闇の賭け事」「…それが?」

高級椅子にもたれかかる岩瀬

「…片八百やるってか?そんな程度のはした金…はぁ…君なら分かるやろうが、極端な賭けは怪しまれるから無理」


片八百とは、片方だけ八百長の略で、片側だけが本気でやらず、ある程度試合を成立させた後、わざと負ける特殊八百長のこと。

片側が正義感の塊の場合や、片側は真剣に試合するから素人目には分かりにくい、という理由などかなり特殊なやらせ。

ボクシングではタイ人が多いが、ジャブで倒れてしまうなど、演技•プロレスなどの実力もないような者がほとんど。

空気読めるようなエンターテイナー•プロレスラーなどと違う、お金でいきなり頼まれただけの演技下手選手。

白人なども貧乏人なら八百長の依頼をすんなり受ける。

片八百の場合、合図•仕込みが無いので玄人にはすぐ分かるような動きをする。

お互いダメージ負うことなく関節技ですぐ終わって楽な場合や、TKOされたはずなのに「ゴング鳴ったしお仕事終わったー」とすぐダメージ無さそうにすぐ立ち上がってぱっぱと帰っていく者なども。

決まり手だけ決まっていてその技で終わらせる為に、相手が手順失敗しても何度も頭を差し出す者なども。

万が一怪我したら馬鹿らしいので関節技で負ける場合かなり早めにタップする者も。

絶対自分が勝ってはいけない、失神させてはいけないので、ジャブだけ、ボディーブローだけしたり、派手に見せる為にタックルから持ち上げだけはしてゆっくり叩きつけたり、攻めあぐねてるフリしてグラウンドで抑え込み続けたり。

ボクシングならグローブの上だけ叩いたり、色々方法はある。


賭け試合で八百長行われては困るので色々な所から監視•注意がいく。

そもそもTV局は公正であることを好むので禁止させられている…が、バラエティ番組的な価値観で黙認する部もある。

格闘技という分かり易い1対1の勝者の賭け。

外国なら普通にあるが、にほんでは裏しかない。

岩瀬の言う極端な賭け…とはいってもヤクザが取り仕切っている為、通常でも数百万は賭けられる裏ギャンブル。

ビッグマッチでも注目されてもないのに、余りに極端に何千万も賭けると不正(そもそもギャンブル自体違法だが)を疑われる。

「その程度の片八百のはした金でTV出られない、なんだかんだTVってのは強いし、コネの世界だって、だから俺なんか出れないってわかってます」

「…ん?」

何を意図したいのか分からない岩瀬。

「…相撲や野球の様に連日報道されて大事になりたくないですよね?」

「…そんな脅しに負けるんやったらこの地位にはおらん…」

顔色一つ変えない冷静なままの岩瀬。

「ええ…」

その表情を歪ませるため、突きつける…。

「闇社会の住人として、東京在住の者として生きて…決定的な証拠を掴んでます…お抱えの週刊誌じゃなく、敵対する、今負け側の週刊誌(二位以下の週刊誌は独占スクープを欲している)にリークするコネも作りました。だからここぞとばかりにネガキャン(ネガティブキャンペーン)始めてくれますよ」

「…」

目線を外さない岩瀬。

畳み掛けるように。

「…相撲や野球と違って所詮エンタメTV格闘技…潰れるのは早い」

勿論一大コンテンツなのだが、歴史の古い他スポーツと比べるとやはり立場は弱い。

10年後に続いているか分からないTV型格闘技。

静かに口を開く岩瀬。

「それをやったら君がどうなるか分かっとんやんね?」

「…そりゃあ殺される、動く金が大きいから」

「…」

思案する岩瀬。

何が狙いなのか量る。

脅しの対価。

「一試合だけTV枠で使って下さい、その後は別の業界で生きます」

「その別の業界がルポライターとかやったら困るんやが」

微笑する達仁。

「…こんなに目立つ顔してんだから、逃げ切れないし大丈夫ですよ」

「…はぁ?…逃げ切れないんならリークも出来んな…たかがTVに出るためだけに命賭けるアホウはおらん」

「…逆で、こんな顔になるぐらいだから死ねるんです」

自殺できるくらいなんだからヤクザも怖くない、とは当然岩瀬にバレてはいけないのでいえるはずのなく…。

死を盾にこんな脅しをしていることを知っているのはユーマだけ。

人前自殺出来んだからこれが証拠だよ、覚悟だよ、脅しじゃなくて本当に潰せるぞ…と凄みたかった達仁。

自殺隠しながらのイビツな問答。

善良な選手をいやらしいギャンブルの目から遠ざけることが出来る正義の行為、告発…だから何かを救うことは出来る…と自殺のついでに犠牲に、なるつもりの達仁。

自殺騒動があった後の格闘技界のことは…都合良く頭から消しさる。

試合内で何かする訳じゃない、タトゥー男がいきなり人の多い場所、ドームで自殺しただけ…と都合いい解釈をする狂人。

脅しておいていきなり物思いに耽る気味の悪い若者…を見て。

「だーかーらー、一度でも許したらつけあがるのがヤクザなんやっ!お前みたいな素人にまで舐められ、弱み握られてちゃこの世界でやっていけんのやっ!」

激昂する岩瀬。

「お前、一緒にいて、あいつらのえぐさ知っとらんのか?」

「私はたまたま、放任なとこだったので…でも人間の醜さ、いやらしさは十二分に…」

「…俺は仕方なしにヤクザと関わってるだけ、TV上層部に媚び売ってるだけなんや」

「…私も同じ状況です」

「俺がどれだけの思いしてここまできたとおもっとるんやっ!」「館長…お金は要りません…ノーギャラで、ただ一試合TV向けの…刺青青年が闘う、面白キャラ枠でいいんです」

「そこまで言われたら、何か裏があるとおもうてまうやろ、普通は」

(素人に脅されたんは初めてやっ、なんやこいつはっ!)

「チケットも売れるさない、ファンもいない…けどどうしてもTVに出たいんです。…試合後、顔も名前も衆目に晒されるわけで…だから圧力かけてもらって全ての場所出禁にしてもらって構いませんからっ」

でもそれじゃなんで一試合の為にタトゥーまで入れたんだ…とまでは今は頭が回らない岩瀬。

「…今、君を上に頼んで拘束してもらうことは可能なんやが」

「…仲間がいまして…私よりイカれてるそいつもいつ死んでもいいっていう者…そいつが合言葉ありでどこかに潜伏してるっていう状況です」

面白いこと、派手なことの為なら人一倍やる気を出すユーマを盾として…とはいえはったりにもならなそうな言葉。

だから岩瀬が敏感ないつまでも関わってくることをエクスキューズする。

「…試合後から館長の前に顔を出すことはありません。さっきも言ったとおり、この顔なんで下手なことは出来ませんし…TVに出たという証拠でコネ作ってどこかでミュージシャンでもやるので。アノアの連中も関係ないですし、場が用意されてるだけの奴らなんで二度と俺みたいな奴も現れないです…」

細かく説明する達仁、だが。

(こんな若造の言うこと聞いてたまるかっ!俺が作り上げた団体やぞっ!俺の思う通りに行く俺の箱庭…それを荒らされるなんてっ!)

「…俺を納得させたかったら、よっぽどの上のコネが必要やったな、大晦日TVは無理や」

強情にならざるを得ない脅され側の岩瀬。

(ちっ…めんどくせー)

「…たかが若者一人に潰れさせられる、大物。TVから外され、ヤクザから責任取らされる、週刊誌に叩かれ、復活の確約もなし…」

順序立てて細かく説明する達仁。

ひるまない岩瀬。

「たかが一試合、今迄も芸能人使ってたろ⁈」

とうとう達仁まで声を荒げる。

二人の男が狭い室内で、全く違う位の無職と社長が…。

「…君が言ってる通りコネコネ、しがらみの世界、利害、動く金の大きさ、お礼のし合い、バーターのし合い。君も若いんだから、何年もかけてコネ作りゃいい」

ヤクザなんかに頼りたくなく、須賀をバックにつけない孤高の達仁。

「…貧乏で、もう戻れない」

「自分が、やったんやろうが」「これを超えるキャラはいないと思って」

「平然としとるっ…やっぱマトモじゃないわ」

やれやれといった様子の岩瀬。

「その証拠の為に地下で戦って、ヤクザから情報得たんだから…マトモな方法じゃない、自分でやったんだよ」

誰にも頼らず、翻弄されず、自力で勝ち取った舞台。

「…一代で成り上がった起業家の俺もな色んな奴に取り入ったよ」(館長すまん…間接的に殺してしまうことに…せめて館長が、悪人であれば…ふと思い出す…)と頭の中で冗談を言う達仁。

オタクの達仁は館長の悪行を知っている。…金で、買う。

バックもつけて他の団体潰してきた。

気に入ったやつだけ生き残らせる。

格闘技を見世物にして、芸能人なども闘わせる。

TV映えの為に毎大会ルールも都合良く勝手に変更。エンタメの為に何階級も上の選手と闘わせる。王者と新人を闘わせる。

発言力ある、上の人間なのに、助け合いの精神もなく、元格闘家のくせに辛さ分かるのに選手を切り捨て路頭に迷わした過去。

怪我も知ったこっちゃない、選手はコマ、後遺症がある選手も捨てる。

仕方なくヤクザとT付き合ってるというが結局自分の金の為。

業界をよくしようとしてないので保険もない、救済もなく使い捨てる。業界側なのに。選手が怪我しても治療費なし、試合だけはさせる。

ケガした状態でも無理矢理試合させる。その結果酷いことになっても切り捨てる。

ブラック企業。格闘技な分ブラック企業よりたち悪い。

「選ばれし者好きなんですよ」

「はぁ?有名人のことか?んなの当たり前やろっ?」

偉大な日本人選手がいた。善人、愛される選手を生贄にして、コネのある選手を反則させてでも潰した、勝たせた。

反則も運営がもみ消した。メリケンサック、ステロイド、体にオイルを塗って関節技がかからないようにする、レフリー買収。サブレフリーもジャッジもなにもかも敵。

格闘技業界の為頑張ってきた偉大な選手をセコンド以外全てのスタッフが裏切る、敵しかいない会場で酷く叩き潰した事件。

選手、選ばれし者を潰す悪、不正を許す岩瀬。

佐原みたいな突発的にでてしまった軽い反則とは違う重大なもの。

達仁もユーマも一番好きなその選手は重大な反則をされた。

のちにネットでもおかしな部分を指摘された。

愛された選手だったので、クレームが寄せられ、運動も起きた。

なまじTVでゴールデンタイムで放映されるだけあり、無視できなくなった運営。

でも賭けを成立させるためにノーコンテスト扱い。

反則裁定もなく、口止めもし、ファイトマネー没収もなし、お咎めなし。

裏に、バックに強いタニマチがいるから。ヤクザ、宗教、ある民族団体、それに連なる企業。REAL-1。

他にも反則で終わっても賭けの為にノーコンテストにする試合も多々。

命を賭けて闘っている選手は捨て駒。

金を産み出すギャンブル、ヤクザの為に裁定も変える。

「選ばれし者だけが好きなんですよ…その選手を衆人環視の元、恥かかせた岩瀬さん…あんたを許せない…」

「…まさか君、なんか証拠掴んどんのか?その当時も、今も関わってないはずやのに…」

「散々ネットや雑誌で情報得て、昔匂わせられてたものと今、数年後確定したもの照らし合わせて、推測して、闇社会の人物に色々聞き込みして…今の、闇ギャンブルの脅しのようにやってきたんですよ」

雑誌を眉唾と言う人もいるが、数年後その噂が本当で実際に捕まった人物がいる…など照らし合わせは素人でも出来る。

内部のリーク者が正義感で書き込むこともある。

とはいえ達仁の言うことにはハッタリも多分に含まれているが、ここまでの行動力がある達仁のセリフに真実味を感じる岩瀬。

今回のことでまた色々嗅ぎ回られては敵わない。

佐原と仲良くなられたり、須賀の元で本職になられたり、他のREAL-1のスタッフに取り入れられたりしても敵わない。

(蛇のようにしつこい奴や、素人のくせに…無職のアウトロウがここまで…佐原もこんな奴相手だから負けたのかねぇ?)

得体の知れない達仁。

かといって封じ込めるのも難しそうな存在。

(ちっ、俺のケツ持ちヤクザ以外のヤクザ共がどんな情報交換し合ってんのかは分からんっていう俺の弱いとこ、調べるなんてそんな時間もなし。更に記者とも知り合いってか?)

「…記者…」

声に出てしまう。

「ヤクザや裏側、宗教、政治家、すっぱ抜き、ルポライター、ノンフィクション作家の情報の集め具合から考えて…」

「死を恐れん君、タトゥーまで入れてマトモな世界からおさらばしてる覚悟、その姿勢を気に入ってよくしてくれる人、人脈、コネ…ペンは剣よりも強しってか?」

「死を恐れたり、知識がないと喰われますから…善人のあの選手は黙らせられたかもしれませんが…」

ヤクザももみ消しできる程の力も恐れない達仁。

(こいつが今どんな人脈を持ってるか分からん…が今決断しにゃならん。半グレらみたいに人脈あったとして…)

本当は独りの達仁。

頼らず馴れ合わず、無力な素人•個人。

そもそもコネがあれば今脅しも直談判もしていないのだが…それが人脈がない証拠。

正義感でここまでやってくる個人。

記者の知り合いがいそう…本当はただそれだけの存在なのだが…世論というものは唯一ヤクザや政治家を黙らせるもの。

週刊誌は本当に圧力に負けず闘う所もある。

地下でやってきて、汚らしいファンはおり、佐原に汚い手使わず勝つ達仁と放火しそうと噂される危険人物ユーマ。

正直、面倒臭くなってきた岩瀬。

「あーなんか本職よりしつこそうやなぁー、だって俺を脅して金をむしろうってんじゃなくて、TV出たら消えるんだもんな?金じゃ動かんもんな?大金やるから辞退しろって言ったら?」

「勿論いらない…さっきの揉み消しの件であんたを許ささないって言ったけど、あんた以外の所が動いたから起こった事件だから…ま、ゴーサイン出したのはあんただけど…その事は忘れる…ただメジャー格闘技に出演したいだけだ」

揉み消し事件は、他の企業や団体との戦いになるので、証拠もないので諦めている達仁。( 風俗やパチンコを潰せないように)

「しゃーない…わかっとるやろうけど判定ならカットされる」

「ここにきて判定ならそれまでの人間」

「ふぅー」

緊張の解けた岩瀬、またソファーにもたれかかり。

「なんやようわからんが、生活の為やのうて、一度TVに出にゃいかんみたいやな」

「知り合いの病気の子供の為です」

脱力する岩瀬。

「はぁ、古くっさい話やのぉー、今更理由なんかどうでもええけどな、正攻法の情報脅しできたかと思えば顔面タトゥーの人生捨ててる謎のお前…ここまでの交渉に来といてTVって、たがかTVなんか俺は何度出演してることか…」

持つ者。汚いことして成り上がってきた者の、下の者の望み、努力を知らないからこそのセリフ。

(そこまでしてなんでTVに出たいのか…って…まぁ分かる訳ないんだけどな、常軌を逸してるから)

「俺は格闘技オタクなんで潰れてほしくない、だから一試合だけ出られたらほんとに関わらないから。これからもTVで見たいんで」(見れないけどな…)

「しゃーないしゃーない、分かったからもう今日は帰ってくれやっ、記者会見とかも出んでええからな、あっ宣材写真だけは撮っていってくれ、後は連絡先な」

「いや、長いことお時間頂戴したみたいで…」

別に今更取り繕ってるわけでもないのに会社員のような言葉を吐く達仁に嫌悪感を催す岩瀬。

脅す、敬語になる、タメ口になる、何を考えてるかわからない…。

「対戦相手はメディアで知ってくれやっ、当日までもう会わんで、お前とは」

「小物だから会見もなく写真でちょこっと紹介されるだけ、ビッグマッチの宣伝だけがCMなどでされる…で、雑誌もインタビューもなし、当日リハーサル時に早めに来ればいいだけですよね?」

「分かっとるんやったら、黙ってとけやっ。それだけやっ!…ちょっと入場して負けて帰って終わりの人生やぞ?」

これ以上話したところで得るものもなし、帰る達仁。

帰り際スタッフに呼ばれ、宣材写真を撮らされる達仁。

裸でファイティングポーズを取る…雑誌やTVの選手紹介時に使われる画像。

有名選手は芸能活動、宣伝などもあり、マネージャーや契約が必要。

TVやドームという大舞台なので絶対穴を空けてはならない、ほんとはマネージャーが必要だが逃げる訳ないのと、メール一本よこして、ドームに来させればいいだけなので、余ったスタッフに連絡先教えるだけの達仁。

ファイトマネー調整などもいらない達仁。

後日契約書にスタッフ前でサインだけしに来ないといけないが、岩瀬が細工してないか契約書を目を凝らして確認しなきゃいけないのが億劫な達仁であった…。

ジムに所属していないので、しがらみも仲介料もいらないが、何のサポートもない。

保険もない、保険外の団体からの救済措置もない格闘技界。

タニマチ、スポンサー、コネがないと、苦労する人気商売、スポーツ選手、格闘家。

究極契約書のいらないプロ格闘技興行の実態は省く。


達仁の退出…のすぐ後。

「何か対策せんと…クソガキャッ…痛い目見せんといかんな…だって、出すっていうだけで後は何の条件も提示してきてないんやから…そーやなぁ…」


結局物語とノンフィクションの違いは人のしがらみ•配慮…。

物語とは違う、インタビューの場合、実話の場合、裏話•舞台裏などで引き込まれる。

創作とは別の面白さで。創作の悪い所、裏側、人の動きを補完するから…その裏とは結局人と人、バックの強さ、コネ。

物語は主人公のしたいことを押し進めて無視して進む。

現実はどこか立てなきゃならない。

あの人物が裏で実は動いていた。奔走していた、話をまとめてくれていた、など。

しがらみがあるからいきなりは殺さない実話、現実。

ギャングは勢いで殺っちまうこともあるが…。

メリット•見返り•立ち位置を気にしながなら進んでいくのがリアル、現実。


夜、帰宅する達仁。

平静を取り戻しているユーマ。「いけたの?」

苦笑する達仁。

「ヤバかったぞ、強情強情」

やっとリラックス出来る達仁。一息つく。

お茶を出すユーマ。それを一口飲んで。

「いや本当は、自殺出来んだから怖くないよ、脅せないよ…って言いたかったんだけどな」

「それは言ったら絶対駄目なやつ…そこバレたら…って言ってもそんなことやる奴いない、頭おかしいと思われるだけ…か?」

「かといって危険人物ではあるから出禁だろうな」

寝転ぶ達仁。

約束は取り付けた。

自力…というか“独学“でここまできた。

人に教えてもらうでなく、ありきたりな方法論でもなく、自分の、自分の為の、自分しか出来ないことの為に、独学という手段で来た。

枠の中の80点を目指す、養成所や専門学校的なものでなく、枠を超えた、逸脱したことの為の独学。


喋りたがるユーマ。今日のこともあって…だが、基本喋るのが好きな性格。

今迄の人生抑圧されて喋れなかった分、達仁に甘え喋る。

聞いてくれるから、受け入れてくるから。

「もしダメだったら…のパターン。古典的だけど目玉選手を路上で潰す。んで枠開けるとかあったよなー、警察が面倒臭いけどさ」「というか、補充人員全部倒していくのか…」

漫画脳に呆れる達仁。

「後は、普通にマトモに出て、片八百の証明のために、それか天邪鬼さの証明のために、勝つ直前にわざと自分がタップするとか…」「普通のファイターは絶対やらないが…自分はTVの前の民衆と闘ってるから…出来る。それで目を引いてURL見せつける…か?」

「そうそう」

「ifの話しても成功したから…」

疲れてる達仁。

「ん…対戦相手ってさ、新人じゃなくて、中堅当てられんじゃね?だって佐原に勝ってんだから」「そうかもな…今日は寝る…」「うん、お疲れ…」

ドーム出場可能になったことに興奮し色々ひとりで妄想するユーマ…を横目に部屋を出る達仁。寝室へ。

扉を閉め、ベッドにつき、寝転がる。

一人になりたかった。

一人で考え事を始める。


夢物語が実現に近づく…。

成就という夢。それとは別の…。

佐原に勝って…このまま格闘家として生きて行く未来…一般人から脱却して、好きなことを仕事にする未来。

いつ人生が終わるか分からない格闘家のまま、そこだけはヒリヒリしたまま生きてゆく未来。

「つっても、退路は断ってんだけどな…一試合で干される約束…」

普通に生きてしまったら、変わってしまったら駄目なんだ。

夢で…「結婚して満足か?怒り•悲しみはどこへいった?あの苦しさを無かったことにして忌み嫌う一般人のように、なぁなぁにしてあの時の気持ちは?あの時の情熱はどこ行った?…つまらない奴だ…」って昔の自分に毎日言われそうだから。


戻れない所まで来たんじゃなく、戻る所なんて最初からない。

元から弱い脆い儚い、消えうる存在。(本当に自殺する)

過去はない、ただ人より弱い。その雰囲気を感じさせる。

自分という、狂って壊れて離れてしまった存在に対する究極の自己犠牲。

本当の犠牲。依存せず、他者に取り憑かれた。


誰かと心通わせることもなく、恋人も作らず、誰にも甘えることなく、心許すことなく死ぬ。(何者も、自分すらも)

何も持ってないから、殺されそうになっても人生を諦められる…それはユーマ。

達仁は青春を死への努力に使った。

受け入れてもらおうとせず、死ぬ為に努力をする。

すでに人生を諦めている、無。

ただ、最後に目的だけは果たす…。


翌朝、ドーム出場のお祝いするでもなく、いつも通りの朝食時。

「死んだら伝説になるのかなぁ」

「俺はただの一般人だぞ?一日で忘れられて終わりだ…人の死すらも捨てられる大衆という醜い奴らの目の前で見世物になるだけだ…」

一際冷めた言葉を吐く達仁。

目の前しか見えていない、よりより精神が未熟なユーマが驚く。

「ならなんで…」

「俺がここまで忌み嫌ってる連中が考えを改めてくれるって本当に思うか?…それなら自殺なんてしないさ…止まらなくなっただけの…人の死というものを見せつける…ただそれだけの」

黙って箸を置き、聞きいるユーマ。

「どんでん返しも、感動物語もない…だって現実だから」

ユーマと目を合わすでもなく、ただ喋り続ける達仁。

「描かれてないその後に、病死が待っていたとしても、幸せのみで全うした扱いになってる、物語のハッピーエンド…と違ってこれからも苦痛を受けて生きていくだけ…その現実が待ってるだけなんだから…バッドエンド確定の未来」

これしか道がない不器用な自分、不自由な世の中。

「お前なら分かるだろ?ユーマ」

やはりもっと深い…深く狂ってる達仁を見て、トラウマ持ちの自分より遥かに深い思案•諦めの境地を持つ達仁を見て…自分が結局出来ない、本当に自殺する者の異常な冷め、物の考え方の重さに…半分エンタメとして見て「伝説になれるのか」なんて発言してしまった自分の浅はかさを恥じ…何も答えられないユーマ。

見ないフリをしていた自分にも訪れる未来。

現実の辛さは二人共分かっているが、達仁はただ現実だけを、シビアさだけを見る。

半分エンタメとして何もかも軽く見てしまう自分を、環境のせいにせず、恥じ、もっと考えよう、と決断するユーマ。

定まらない方向性を持つ、ただ達仁について行ってるだけの子供。


食事が再開される。

ふとTVにピアニストが映る。作曲科に移籍するらしい。

達仁を刺激する。

「人に教わる作曲って?ピアノ弾くだけだから最効率を人に教わってサポートしてもらう弾く専門の物真似ピアニストと違って、0か1を産み出すのに…“自分だけの物“自分が産み出す子供•作品。それを人に教えてもらうって…絶対独学しない奴ら…」

たかがTVに映っただけのピアニストにキレる達仁。

「そうじゃないんじゃない?絶対自分しか作れない、自分を癒す為の物…を求めてないんだろ…この人達。レゲエ好きだからレゲエっぽく聞こえる曲を作るってだけの」

「それじゃあ、誰がやっても一緒の凡百だな…芸術もちょっとやってるだけの一般人だな…」

病的なまでに特別というものを求める達仁。

今更ながら、生き辛そうだな、と思うユーマ。

自分を解放する為の自分だけの道…を情熱かけてやってる頭のおかしい達仁。

それは裏を返すと、自分しか出来ないから…自分しか自分を救ってくれないから…。

普通は他人に救われ、笑わせてもらい生きる。

そこから外れきった狂ったモノ。


REAL-1事務所内社長室。

「一戦だけすればいい?一度でも弱味見せたらつけこまれるんはヤクザ共で経験してる。なんとか

止めたい」

ため息を吐く岩瀬の姿。

「ヤクザに殺してもらって口封じ…で貸し作るのは嫌や。自分で始末つけらんな」

しかめっ面で思索する岩瀬。

「ヤクザ共…何が用心棒じゃっ!それにすらまた金いんのにっ!」

過去を思い出す…。

「今はな…金の生る木だから話し合いは出来る。でも最初の頃は」

やはり思い出したくもない。

「金で渡り合わんにゃならんのやっ!ただ渡すだけじゃのうて、条件練って、コネも作って…芸能界の裏とも政治家とも」

金を渡せばいいだけの政治家や芸能事務所と違い、暴力脅しの概念もある面倒なヤクザ。

「関わってくる。一度切りの関係じゃ絶対終わらせてくれんねん、あいつらはっ!」

上流と一緒で養分としか他人を見ていない暴力団。上層•特権階級と同じ思想。

…その“上“とは?

闇の仕事で金持ち、表の仕事で金持ち。

どちらもボディーガード持ち。

どちらもプライド•面子が大事。

どちらも人に恨まれる。

人を食いものにし、自分の富を得る。

ゲーム脳はこっち。人を人と思わない。死んでも架空のようにゲームのように補充するだけ。

人を虫のように思う。

クリエイターのように人を救わず、王のように振る舞い、ただ居るだけで、奴隷から富を得る存在。

その上流という輪の中に生まれた勝ち組子孫達。脈々と受け継がれる。

結局最後は暴力で解決する、高級スーツ着込んだヤクザ。

タトゥーをスーツで隠す部分と、大袈裟にエンコ詰めさせる部分。

100%合理的には行かない、ナゾのヤクザ映画的思想を持ち合わせた団体。

失脚した場合、よっぽど金をプール•裏金持っててコネあり、復活の可能性もあるならチャンスをもらえる。

とはいっても、相当な額、謝罪料として取られるが。

たまたま一旗当てただけのような者は無一文にされ、自殺として処理される他殺をされる。


「俺の場合、俺一人の失脚と違う。裏ギャンブル露見したら絶対にタマ殺られる。ここまであの男に来られてることもバレてはいかん」

苦悩する岩瀬。

「とはいっても綾瀬は変な奴やからなぁ、ヤクザとは毛色が違うけど」

深いため息を吐く。

「…王者によって痛めつける。人前で恥をかかせる。アノアの連中の牽制にもなるし、それでええか…?プロとの実力差を見てもう関わってはこんようにする…腐っても武道家だろ…」

二度目があることを異常に嫌う岩瀬。

舐めた地下の連中にトッププロの怖さを教え込みたい。

丁度怖さのある王者が達仁と同じ階級にいる…テクニシャンやスポーツマンシップを感じさせる清潔感のあるファイターでなく、荒々しい王者がいる。

「折角総合ルールなんだからストップを遅らせて殴り続けてもらおうか…」

三回ダウンすれば強制で試合が終わる立ち技と違って、総合格闘技は失神しない限りは本当にいつまでも嬲れてしまう。

「普通はなにかしらおる。スポンサーとかジム関係とか後ろが…。んなもんない綾瀬は殺っても〜ても構わん…家族もおらんやろ?ある意味ヤクザモンやな…周りが…守ってくれる人がいないから、制裁マッチに放り込まれる」

誰もいないから簡単に殺される•捨てられる達仁。

あえてコネを作らなかった事が悪状況へ。

「佐原にやられない程のタフさがあるなら半殺しを見せられそうやな…秒殺負けなんかじゃ許さん…何百発も打たれて顔面変形してもらわんと、見せしめにならんからな」

少しは溜飲の下がった岩瀬。

表情が柔らかくなり、マッチメイカーを社内コールで呼ぶ。

「館長、おはようございます」

「おー、綾瀬って奴おるやろ、あいつウォルバーと闘らす」

「は?」

「0戦0勝対王者やっ」

ミスマッチに唖然とするマッチメイカー。

「強過ぎて誰も名乗り上げてこん外国人王者に、顔面タトゥーの恐れのない男が挑むっちゅうアングルやっ」

アングルとは、プロレス用語で、試合の意味合い、試合が決まるまでの抗争の流れなど、TV向きの味付けのこと。

「あえて女性でなく、ヤクザやチンピラなどをターゲットして、顔面タトゥー男の挑戦を見守るっちゅう、闇社会の視聴率を稼ぐっちゅう方向性やっ」

REAL-1は岩瀬のワンマンなのでマッチメイカーは表の人間。

岩瀬の言うことを断れる者もいなく。

「まぁ今迄も変わり種路線は成功失敗半々ぐらいですし、一試合ぐらいいんじゃないですかね?」

結局あっさり了承し立ち去って行くマッチメイカー。

「お前も知ってるTV格闘技の自由さ、怖さ…見せたるわ、綾瀬」


連絡もなく、ネットや格闘技番組などで自分の対戦相手を毎日確認する達仁。

「たかが新人の試合、さっさと発表してくれよな」

くだを巻くユーマ。


12月上旬。

佐原とビッグマッチをおさめた余韻もまだ残るアノア。

大した対戦相手もいなく、REAL-1出場も伏せ、試合を休んでいる達仁。

佐原の二戦目の決定もあり、しつこく試合には誘われない。

だからあれからロクに顔も出してなかったが、今日は用がありアノアへ寄る。

「っていうかタツが買いたいって言ったら普通に売ってくれんじゃね?」

「絶対条件じゃないからな、他の方法でも死ねる」

11月にヤクザ同士の抗争があった日から、ヤクザの胸元を確認していた達仁。

抗争なくても下調べもしていて達仁にはザルになってる須賀組のセキュリティ。

銃が最も早く邪魔されることなく自殺出来る。

死後、銃の出処も分かってヤクザが検挙され、最後に良い事をして終われる。

笹田は自殺するかも…としか思ってない上に発言力もなく、銃を手に入れても打ち明けないので邪魔されずチクられず本当に遂行出来る。

銃が手に入らなくとも闇医者から致死量の注射をもらう、ナイフなどで死ねる。

「でも銃で死んだら、恩を仇で返しやがったって言うんだろうなぁ、須賀組の奴ら…ってあのさぁタツは“死“で逃げるからいいけど、俺ヤバくない?」

「今気づいた」

「マジ…?よく言えば目的に真っすぐってことだけど…そもそも途中から養ってもらってるだけの俺だけどさ…」

ややパニックになるユーマ。

「いや…お前は一緒に死なないだけで…」

「まぁその内死ぬかもだけどさぁ…あーどーしよ…人に殺られるのは嫌だなぁ」

「ドーム戦は他県でTVで見るってのは?」

かなり軽い達仁。

ここまで来てただの他人のように離れるのは…と深く思案する悠真。

「…」

「いや…俺も闘う…実際ヤクザとは闘わないけど…見届けるし、バックアップはする…」

「…」

見つめる達仁。

「…あー、俺って実際…達仁の役には立ってないんだよなぁ…ただの相互理解者で…達仁一人で遂行出来る計画だし…今だってこう思ったところで…やっぱり何も出来ないし…」

何も返さず、ただ見つめる達仁。

「俺は…理解してもらったっていう究極の感謝があるけど…」

「俺もだよ…本当に復讐遂行したんだから特別だし…いや…」

ユーマが遮って。

「一緒には死なない…から…死んでたら俺の評価変わる?」

「いや、変わらない」

「ありがとな」


帰り際、最後に立ち寄るアノアの控え室。

「こんな所が思い出の場所ってな?」

地下の狭いロッカールーム、ベンチが置いてあるだけのしみったれた場所。

ここに来るのは最後。変人達との試合、控え室でのお喋りが思い起こされる。

「さっきあー言ったものの、達仁一人だったら、どうやって死ぬ為の道具持ち込むんだよ?」

「外国と違って持ち物検査もないし、二重底の鞄に道具入れる…で、勝利後、鞄の中に道場生達が書いてくれた寄せ書きとかタオルがあるんでそれを持ったまま、リング上の勝者撮影でカメラマンやTVに映されたいです…って」

「顔面タトゥー入れといて善人ぶんのかよっ」

いつものバカな会話を続けていると。

ガチャッ。

「おーお前ら久しぶり」

笹田が入ってきた。

「よっす」

「綾瀬対佐原に触発されて試合数多くしたんだ」

試合終わりの汗をかいた上気した男。

だが疲れた様子より気持ちよさの方が勝ってる模様。

「笹田に教えていいの?」

「お〜…というか俺は須賀さんに会いに行かなきゃいけないから」

退出する達仁。

「忙しそうだな…綾瀬」

「あー…そりゃ〜忙しいよ…笹田だったら言いふらしたりさなさそうだから言うけど、REAL-1出るから」

「マジかよっ!?」

立ち上がり驚く笹田。

「大晦日?」

「うん」

「いや〜佐原に勝ったから出場出来るとは思ってたけど年内とはまさか…」

知り合いがTVに出るというニュース…それよりも。

「あ〜俺の分の招待客用チケットももらってくんねーかなー綾瀬」「どうだろうね」

「結局の所、俺はお前らと喋ってきたけど、友達とまでは思ってないし、興味…だけかも」

「そっちの方がよっぽどいいんじゃない?達仁には」

「お前らが言ってる一般人だよ俺は…。学校での、クラスでの暇つぶしの為の一時的な友達、他人。お前らのように目的も真剣なトラウマもないし、これっきりでサヨナラ」

とドライに語る笹田。

「でもなぁ…そう言いながら実際綾瀬が死んだら、俺もしかしたら泣くかも。思う所もある…美しい意味じゃなくて、お前らが嫌う一般人…他人が死んでも、有名人が死んでも泣くことの出来る奴ら…そんなかんじになるかも。実際目の前で見たら…ただちょっと喋っただけのキズナのない相手に泣いてしまうかも。いや自殺するかは今でも半信半疑だけどさ…試合を見て、有名人のように見てしまってる部分もあるからなぁ…綾瀬には。ま、その時はすまんな」

「その時は俺しか居ないんだから謝らなくてもいーよ」

軽く言うが重い状況。

子供である悠真を見。

「お前は心底綾瀬に惚れ込んでるじゃん……お前は…」

「やめてくれ、そこは考えたくない…今は尊重するってことだけが…」

暗くなる二人。

「俺の方こそ…万能感ある自分だけは大丈夫、想像も出来ない、目の前で起きない限りのんきにしてるような…わかんない…マヒしてるから…達仁の意志の尊重って名目で目を逸らしてるだけかもしれないし…どーせ止めたって独りで行動するだけなんだからあいつは…達仁って俺の力もお前の力も一回も借りてないよな?考えるのも闘うのも自分」

REAL-1出場を喜ぶでもなく、終わりを感じ重苦しくなる雰囲気。

「だから…その時がくるまで自分がその後どうなるのか分からない…今はそれから背けて世間に喧嘩売ってやるっ!メジャー団体に出るっ!って興奮で誤魔化してりゃいいんだよ…」

真剣な表情で真正面に来る笹田。

「…追わないのか?」

「俺は自殺、今更する覚悟はないから…別にいきなり吹っ切れたりしないし」

視線を逸らさずまっすぐなままの笹田。

「もう一度聞くけど、綾瀬が死んでもいいって?」

上手く表現出来ず、言葉を探すユーマ。

「今の時代にこんなセリフもなんだけど…思想に共感したから…」

力無いセリフ。

笹田は…見た目も内面も子供である悠真のことを心配してしまう…。

達仁と違い、庇護欲、母性を少しくすぐる少年。

勝手に動き続ける精悍な青年の達仁。

復讐以外さして動いていない悠真。

「まぁまだ時間あるし色々考えといたら?俺はもう帰るけど綾瀬にチケットのこと言っといてくれよ〜」

最後は軽いかんじで去った笹田。



ドーム戦も決まって、作戦会議を立てる面々。

セコンドが「今だっタックル!」という予め決められた言葉を叫び選手は打撃を入れるというセコンドフェイントというか、異次元フェイント。

「英語バージョンも作らなきゃ」


「TVにパーソナルデータ出るじゃん?「寝技に弱い」とか、そこに「ウィークポイント、心が弱い•ストレスに弱い」ってやっともらえるようにTVスタッフ班に頼んだら?」

「まだ軽口叩いてんのかよっ、少しぐらい緊張しろよっ」

突っ込む笹田。

構わず続ける悠真。

「サンドバック抱っこして入場は?」

バカ話でも、それでも達仁は黙って聞く。

「相手がコールされてる時にお辞儀して、日本語解らないキャラ…は?」

いつまでもおどけるユーマ。

「音楽が嫌いだから入場曲無しってキャラは?」

「天邪鬼過ぎんだろ」

「無音って前衛的じゃね?」

「おいおいおどけっ放しじゃなくてさ」

達仁に向き返る笹田。

「アウェイで野次とか飛ぶぞ」

「家族や仲間に見てもらってきたわけでもないし…逆にざまあみろってする為に力入るよ」

他人を拒絶することに慣れたものならではのズレた返答。

「俺はやだ、黄色い歓声とか聞きたい」

笹田の言葉を無視してユーマが。

「なんで同じ人間なのに俺に負けろって野次を飛ばすんだよ…ってナーバスんなって力が出ない…ってやつよく分からんのだが…」

達仁が答える。

「目の前の相手と自分二人だけの真剣勝負じゃなくて、応援されたい、かっこ良く勝ちたいとか、余計なこと考えるんだろ、そいつらは」

「それが分かんないんだよ…やっぱスポーツの奴らって周りの為にやってるってかんじなのかな?」

「分からん…」

相変わらずの二人を見て笑う笹田。

「はっは」

構わず続ける二人。

「人間って邪魔しないぞ…虫や鳥の方が乱入してくる」

「観てくる…見てくる置物と思えばいいのか…って不気味だけど」

「見世物にされて品定めされるだけ」

「それが嫌なんだろうがっ!やっぱずれてんなぁ」

ツッコミを入れる笹田。

「入場前の選手紹介煽りVTRにさっ、この選手には何のバックグラウンド•バックボーンもアマチュア経験もありません。青春も、思い出も、キャラもないのでVTRが作れませんでしたってやってもらうのは?」

呆れる笹田。

「あー…写真だけ撮ってきたぞ、事務所で…多分写真の上にテロップ載せて終わりの超短いVだよ」

「そう、か…どうせスタッフに対戦相手けなせって言われるだけだし…関係ない一般人けなしてんじゃないよって言われるもんなっ」

アクビをする笹田が。

「お前らよくそんな妄想話ばっかできんな…」


衣装決めを始める。

「いや…TVコードとか禁止ワードは分かってるよ」

立ち上がり思案する達仁。

同じように立ち上がりアゴに手を当て考えるユーマ。

「ガウン…って今の時代ダサいよな」

「シンプルじゃないといけないぞ…いや…もう決めてるんだけどな」

「はいっ!今からそのTシャツとか作るって間に合うのか?」

笹田の単純な質問。

「今は素人でもオリジナルシャツ作れるキットがある…それでユーマに作ってもらう。一枚でいいんだしな」

応援団用のシャツも作らなくていい達仁。

軽い笑顔を見せるユーマ。

「今日買ってくるから一万円頂戴っ!」

手の平を差し出す。

さらっと渡す達仁。

それを見る笹田…脱力。

「あのさーTVに出る。自殺するって言ってる奴らの会話と雰囲気かよっ!」

盛大につっこむ。

「お前らの旅ももう終わるんだろ?俺、お前らの会話でどれだけ脱力してきたか!ヒリヒリしてんのか、呑気なのかどっちだよっ?」

二人から視線を送られる笹田。

「それが分かんないから他人なんだろ…俺と達仁って言葉交わさなくてもお互い通じる時あるぜ?っていうか笹田も今まで話し相手になってくれて、ありがとな」

呆気にとられる笹田。

「数週間前に言われても…しかもお前は死なないんだろ?」

不意に悲しそうな表情を見せるユーマ。

「俺は…まだ…決められてないんだよ…」

空気の変わりように慌てて取り繕う笹田。

「あー、後数週間もあるんだし、こんな所で生き延びてきたんだしさぁ」

真顔になるユーマ。

「生き延びたって、それお前もだろ…別にここ死人一人も出てないし」

逆に諭される笹田。

「笹田こそ30代じゃん?どうすんの?」

「いーよいーよ俺は、嫁もいないし、今まで好きに生きてこれたから細々と生きていくよ…っていうかアノアにはもう来ないよな?大晦日になっ」

手を振り立ち去っていく笹田。

「Tシャツ作成キットってどこに売ってんだよ?」

呑気な締めくくりがされ、日が落ちる。


その日の夜。達仁のアパートにて。

雑貨店でゲット出来たキットで一人で黙々と作るユーマ。

達仁はシャワーを浴びている。

「ちっ、失敗したか…」

軽く丸め、部屋の隅っこへ失敗作を放る。

「ここを気をつけて…と」

10分後。

「完成、後は数十分乾かして…と」

風呂上がり、ソファーで寝転がり体を癒す達仁。

ソファーのフチへ座る悠真。

「あー、俺達っさぁ、逃げてるよなぁ…いや…俺だった…いや」

要領を得ない言葉。

「何が?」

目を瞑ったまま答える達仁。

「いや、達仁が自殺成功したあと…っていうか自殺成功って凄い言葉だな…じゃなくて、その後…俺さ…無一文で頼るとこなくてさ、それを忘れて、達仁との異常に濃密な時間で本当に忘れられてさ…」

悲しさと楽しさの入り混じった表情。

「俺はお前の親でもないし、遺産は残せないぞ」

「それ…軽口なのか真剣なのかわかんないぞ」

憂いを帯びた笑顔。

「っていうかただでさえ死が前に迫ってる達仁に無駄な心配かけたくないって思ってて」

一筋の涙がこぼれる。

だが達仁の側からは見えない。

「でも今言っちゃった…やべえ、メンヘラ女っぽいな」

「…」

沈黙。

起き上がる達仁。

「別にお前のことは軽蔑してないぞ…死なないってだけで絶対結婚しない。復讐もやり遂げたお前は…もう一人の…」

「おいおい、ドラマのセリフじゃん、もう一人の俺だ…って、くっくく…」

(なんとか耐えれた、泣きじゃくるとこだったぜ)

立ち上がる達仁。

「もう誰にも一生甘えられないかもしれないんだから今、思いっきり泣いていいぞ」

その言葉が耳に入った瞬間。

堰を切ったように涙が溢れ出る。

狂ったように叫び上げ、達仁という、他人の胸元で泣きじゃくる年下の悠真。

心…というもの、方向性が同じ二人。

達仁の方がより狂ってて冷めて、涙も出ない、甘える気も起きない、本当に死を選ぶ者の…。

「ぐすっ…ぐすっ…タツ…ヒトはっ!優しいなぁっ!」

その達仁が死ななきゃいけない…重苦しさに怒り、またその気持ちがしぼみ、泣き、ぐるぐる回る頭の中。

達仁が思い直し、なんとか二人で生きてゆく世界を…初めて期待してしまった瞬間。

だが、それを想像しても、30代以上で結婚もせず馴れ合う狂人二人が周囲から嘲笑•中傷•否定•誹謗され、バカにされ、また同じことの繰り返しかとすぐに悟る…。

一瞬で悟り、冷静に戻るほど…やはり社会も重い、心の傷も重い。

理解者が、本当の理解者が現れたところで、息苦しさは変わらない…そこでまた気付く…この苦しみから逃れる方法は結局一つしかないと…。

結婚•出産出来ない悠真の詰んでる人生。

そこまで考えてまた自己防衛の為に吹っ切れる心。

吹っ切って、忘れて、閉じ込められたもの…。

殺された心。

マトモには生きていけない心。

人間の居ない世界、死後。

“生まれてしまったもの“の…苦悩。

生まれたくなかったという重み。

弱い精神、心。

欲しかった物が、“生まれなかったこと“…欲望も夢も将来もなく…せめて自分で死を選ぶことしか出来ない、世間では精神異常者と呼ばれる、社会不適合者の二人の最後の濃い時間。

何を考えてるかも読み取れない達仁。

(…やっと落ち着いてきた…あーあ、子供みたいに泣いちゃった…よしっ)

切り替えて。

「あっ、シャツ出来てたよっ、今もう着てみてよ」

両手でシャツを持ち、拡げる。

「…」

着てみたものの。

「この家全身鏡、姿見がないからよくわからないぞ」

「いやぁいけるよっ」

Tシャツの胸部分…そこにはアルファベットが並べられていた。

「やっぱシンプルイズベスト、海外の奴らにも分かるように英語」

黒地の上に、PLEASE DIE…と描かれていた。

「これでも…アホヤンキーはただの普通の、英語ロゴが入っただけのシャツと思うんだろなぁ。頼むから死んでくれっていう、超切実な一文、一言なのになぁ」

あっさり切り替わり再びこの世を憎む…テレビゲームの悪役のような「世界よ滅んでほしい」という思いを真剣に願う二人。

「これってさぁ、アホがプリダイとか略したらどーするよ?はっは!」

狂ってる反動で躁にもなるいつもの会話。

「ASSISTEDSUICIDE、自殺の手助け…でも良かったかな?」

「それなら頼むから外れてくれっえ意味をこめて、ESCAPIST、TRANSGRESSION

、ABBERATION、perverse、DEVIANT、OUTLAW」

「ちょい待ちっ…そこまで行くとただのバンドシャツになるんだよなぁ」

二人ならではのオカシな会話は続く。


翌日。まだ話の続き。

「あの、さ…本当は左腕にPLEASE、右腕にDIEってあって、それを腕組むように前に見せつけるっていうの入場でしてほしかったけど、流石に漫画キャラっぽくて恥ずかしいし、達仁のキャラには合ってないなって」

「そうだな、パフォーマンスはせず、どんより暗く現れて歩いてリングに上がって、顔面タトゥーしてるにも関わらず、暗くうつむいてコールを待つ死人だよ…陰気ってバカにされんだろうけどな」

「普通タトゥー野郎は、ニヤニヤして舌とか出したりするイメージだな、くっく…」

「ポエトリーリーディング入場で流すのは?」

ポエトリーリーディングとは、詩を朗読すること。メッセージ性が強い。

「文字があんのに…それに録音するの照れくさいぞ」

「えっ、テレビに出る人が照れくさいの?」

この後に及んでまだのんきな談笑を続けられる二人。

「あ〜もう一つ、皆のスターをTVの前で壊すってのもあるけど」

「奴らにとって暇つぶしだからな、暇つぶしのTVの“今“ほんのちょっと楽しみなだけのスターだから、結局…結局人は自分だけ」


「シャツにURL入れるの忘れてた」

一時間後、二作目完成。

「このURLを踏むとこれが出る」

カチッ。

心の闇や、悲しみ。それを作り出す社会の空気というものなどの文章。

「文武両道。達仁さぁ、文章と武道、どっちもやってんじゃん」

「俺は学がないって言われるよ。浅いって。武道だって、喧嘩格闘技だし…」

ここにきて自分を卑下する達仁。


その後早めに就寝した達仁。せめてものサポートの為に誤字脱字の確認をする悠真。



サイトの目次に、産まないこと。一般人教。いじめ。社会の空気。自分の苦痛の平等化。逃げ。ハードルを下げること。などの文がならぶ。

それを見ながら、笹田に聞いてもらった思い出も蘇る悠真。

最後の確認がてらにその時の会話を思い出しながら文章を読む。


下から中に上がれたとしても待っている人の悪意。一般人の悪意。




ーーーーーハードル。


人に迷惑かけた人達。

罪悪感から逃れるため、正当化する。

「自分より悪はいる」「周りもやってる」周りのハードルを下げて自分に近づける。

民度か低下してみんなでクズになれば自分は目立たない。

「なんで自分だけ!」と逆ギレ•開き直り。「自分だけ言われる“理不尽“が嫌」と人に理不尽な思いを、させてきた者が言う。

一度のことで終わってしまう社会が悪い。反省じゃなく、生き辛いことに怒る。

犯罪しない一般人側のハードルじゃなくて、自分達に都合のいいハードル。善人を基準にしたら逆ギレ。

絶対に戻らない•返らない過去。

悪は反論出来ない。被害者は正義。加害者側は言い返せない。自分に対して絶対的に物を言える被害者。自分が作った被害者。その者にまで怒りを向ける。

自分を許さない相手、周りの器が小さいのが悪い。のうのうと生きたい。忘れて生きたい。

忘れて生きたいのは、なかったことにしたいのは被害者側なのに。

100%相手が正論を吐ける被害者側が嫌い。自分は責めない。次に繋げない。被害者を見て、優しい人間になろうと頑張らない。

「目くじら立てるな」

芸能人は何しても復帰出来る。擁護し合う。ドラマも不倫賛美する。犯罪者が増えたら嬉しいから擁護し合う。

反則したスポーツ選手を、プライベートで事件起こした選手をスポンサーするような会社がある。頑張っている真面目なアスリートを応援せず、犯罪者を支援する。社会復帰出来るように稼げるようにする。

抑止力をなくす。

どうしても悪人を擁護したい情熱とは?同じ側の人間だから。堅苦しくないようにしたいから。


いざ、自分が被害者側なら、ボロクソ言い、金銭要求する精神性の奴ら。

万引き程度で言われちゃ敵わないと、万引きは擁護する一般人。


「もう戻れないのになんで言うの?」と言う風俗嬢•AV女優。

周りの目を気にするのにやる人達。

「人のことなんて知ったこっちゃない。好きなことをやる」と言う訳でもない。他人に認めさせる。ハードルを下げさせる。

中途半端で悪になりきれない。

潔癖であることを責める。逃げて終わり。自己否定しない。一般人でも、この人達でも、自分というものを一瞬でも底辺•無価値と思ったら自殺に追い込まれるのかというぐらいのプライド。


割れ窓理論。小を許すとつけあがる。嘘つきは泥棒の始まり。

これらを「前科がないからいいじゃん」とヤンキーを擁護する者。自分が元不良だから擁護する。

犯罪者を擁護するのは犯罪者。ソープ嬢•堕胎を擁護するのは経験者。

擁護するということは、そこに属していると思われる。それでも擁護する人達。

「未成年飲酒ごときで騒ぎ立てるな!」と沈静化•擁護する人達。

自分も昔してたから擁護する。自分の過去の正当化の為。堅苦しくない世の中の為。

社会の為に反省してほしいと注意してるだけの善人側を束縛する悪。正論吐けるならやってみればいい。

非を認めないから謝らない。謝っ たことがない人生。


「不倫は家庭内の問題だからほっとけ!」

不倫された被害者がいるのに、なぜか言えるこの言葉。

子供を異常に叱り叩く親も、その家庭の教育なんだから、人に迷惑かけてないんだから、子供が被害に遭ってても、不倫された人が被害にあってても、他人は何も注意してはいけない。

社会に影響のある有名人が不倫という犯罪的行為。風紀•公序良俗を乱す。ハードルを下げる。

「“一番大事な家族を裏切れる“んだから、他人にはもっとヒドイこと出来るんだろうねって恐怖感を抱いてはいけないらしい」

不倫程度。人に迷惑かけてない。

擁護するってことは、昔してた側と思われる。それでも擁護する。

不倫された被害者は労らず。

DVは人に助けを求め、犯罪扱い。DVも体罰教育も、周りが心配しようが、嫌悪感持とうが「家庭内の問題!責めるな!」

好き勝手に生きる不倫者•犯罪者。「でも責めるな」


援交してた自分の娘の汚しさからは目を逸らし、買った男だけ叩き、しまいには娘を被害者扱い。

悪いこと。お金が欲しくて犯罪、体を売れる精神性。

それを子供だから守らなきゃいけないと言う。

援交して金もらうこと。これは純粋な子供。判断ができない子供らしい。そんな娘を育てた自分達も否定しない。

お金をもらった事実。それで何か買った事実は消えるらしい。


覚醒剤二人でやって、女だけ死亡した事件があった。男は逮捕。

そこまでは普通だけど、強要された訳じゃない、薬物に興味あって使った女は叩かれなかった。犯罪者扱いされなかったんだよ。世論的にも。

生きてたら犯罪者だったのに、たまたまオーバードーズで死んだら被害者扱いになったんだよ。



ーーーーー妥協。


思春期の時の正義感、おかしいことを正そうとすること、性を否定することを結局妥協する。

「俺は社会と今でも闘ってるよ」

真剣な眼差し。

「そりゃあ、全員妥協すんだから、達仁は偉いよ」

迎合して社会人に成り下がる。多数派の大人の何が偉いのか?何も変えられず、風俗行く汚い大人。

大人になったという便利な言葉で自分の妥協•諦めを正当化する。

心が中2のままと叩いてくる。変わらないことを応援せず、敵視までしてくる。

妥協して一般人に戻るんだから、偉いのはそのまま突っ走るひと。挫折した奴らが…。


他人の為に生きるのは疲れる。本当に他人の為であり、自分プラス他人を背負いこむ優しい人ならば。


一般人は優しさじゃなく、恥から逃れる為の自分の為。

それを中途半端に善人ぶって他人の為に生きてると言い換える。

人を叩いてるからストレスのない人達。

安定期でも自分の胎児の為にSEXをしないわけじゃない。自分の為に生きてるからする。自分の子供の為の我慢すらしない。離婚もする。避妊しない不良。

前科がつかない、これらのことは平然とやれる。

風俗も妻の為我慢しない。家族の為にすら我慢しないんだから、そりゃ他人を叩く。


運動会。

「不審者が来るから親の入場も禁止しよう、生徒だけでしよう」とならない。

不幸を100%カット出来ることをしない。

どうせ大丈夫だろう。親が望んでる。反出生論に通じるもの。

子供は子供同士で楽しむ。親が我慢すればいい。その我慢をしないで、不幸のカットを怒る。


遺書を書いてない事を大人じゃないとバカにはしない。たかが俺一般人ごときがって。

普段下の者を叩いて上の存在のはずなのに、責任から逃げる。

都合いい時だけ、中の下ヅラして逃げる。


現実の結婚は離婚もする。妥協で世間体の為に仕方なく付き合ってるのに、それが孤独じゃない。美しいものという。

その人じゃないと駄目っていう、“特別じゃない人“を。

特別というものを目指さない一般人。手に入らないのなら、諦めて独りで生きていくんじゃなく、妥協して、それでも人と生きていく。馴れ合って。

「俺は本当に独りで生きていく、自分が出来んだから言えんだよ」

「結婚すら妥協する奴ら」


妥協してないなら美しい恋愛•結婚。仕事は生きてく為に妥協して仕方ない。でもせめて恋愛だけは。


「人間なんだからたまには」っね普段そんな大層なことしてないのに。

逃げを、自分の時だけは正当化しようとする。

酒飲めなくて逃げることすらできない人もいる。

息抜きは当たり前。社会人は我慢しなきゃいけないの建前も捨てる。一日も休んではいけないはずなのに。

酒でなら、人に迷惑かけても許される。周りがしてるから。一般人が結託して守る酒という逃げ。

これが無いと死んでしまうほど辛いらしい。隠すけど。

酒飲まなきゃやってられない現実。でも酒で忘れられる程度の辛さ。

不幸は平等。人には100を求める。


レールから外れると終わる日本。でも人を傷つけることは、外れることじゃない。外道では。


歩き方がちょっと変でも駄目。顔が変でも駄目。皆同じじゃないと差異をバカにされる。

かといって上でも嫉妬され叩かれる。

それをするのは中ちゅう。


「今まで聞いてきて、絶対自分はバカにしないだろ?そこだけ見ればまだマシかもだけど」

他人を叩いて、自分を中ちゅうにするから。

自分悪く言わないしわ寄せが他人にハードルにくる。

だから中ちゅうを嫌うんだよ。



ーーーーー性悪説。


「子供が「ハゲチビデブ」って言ってても「子供の言うことだから」って言われるよな?でも、裏を返せば…だってさ…染まっていないハズの子供が純粋にいじめる」

子供の口癖。「きしょい、最悪」

「だって人間は否定する為に生まれてきたみたいじゃん。大人達が純粋ってことにしてる子供。子供時代から少しでも違うものを否定して叩く」


そもそも大昔から人身御供•生贄。一番偉い村長が行けば収まる…じゃなく、身分の低い者を差し出す。「理由もないけど、昔からやってるし」で差し出す。

群れて序列作って安全圏から人をこきおろし、そして捨てる。

「俺は性悪説派だよ」


「普通はいじりする」男も女も。年齢関係なく。

「じゃあそのいじりがないのは上流だけなのか?ハイと答えるならやはり中はそういうものなんじゃないか。金持ち学校以外はするって認めるんなら、それを正当化するんだろ?「みんなこうだ」って」

「お嬢様学校はただ微笑んでるだけのイメージだな」

それもそれで、人っぽくなく怖いと言う一般人。仲良いこと。平和であることを人間っぽくなく怖いという感性。

ただ楽しく遊ぶんじゃなくて、朗らかさは無くて。人をいじる、ハブる、バカにする、自慢するのが普通の人間。人を否定しなきゃ、コミュニケーションが取れない。


お笑いも人をいじる。いじらなきゃ笑いをとれないかのように。

「学歴あって教養あるから面白いこと言えるんだよ」と言った芸人に対して子供が「共演者の悪口言うとこが面白かった」と言った。


家柄の為に嫁がされる女。まさしく人を道具として見ている証拠。上流階級様は人生に余裕あるはずなのに鬼畜。

人に対する愛じゃなく、世間体、周りにどう見られるか、自分が大事。自分への愛。

「二人目•三人目の子供がなぜいるか?」

「はいっ、替えの為です」

子供•血を分けた者を、長男事故死の時の替えとして用意しておく。物の様に。


みんながやってたら、石も投げつけられる。宗教、略奪、迫害。

田舎なら村ぐるみで隠蔽などもする。

昔も今も都会も田舎も後進国も、どこだろうが。他人から与えられる不幸。


「変な声で歌ってるバカがいる」と言う。知的障害者だと知って気まずそうにする。

最初っから他人を否定したがる、バカにしたがる。

そもそも健常者ならバカにしてもいいと思ってるから言った言葉。

バカにすることから始まる会話。人をけなすのが趣味。それに時間を使ってきた者。


敵意は何かされた時に向けるもの。何もされてないのに幼稚な悪意を人に向ける。陰口•嫉妬してるのは下と中。

虚栄心を満たす為に他人を傷つける。


人に迷惑かけてでも吸うタバコ。昔は周りがやってるから叩かれなかった。それも異常な社会性。

周りに流されるから、全ての物をいきなり嫌いにも好きにもなる。操作される人間。

吸わない時代になった今、辞める人達。人に間接喫煙させてまで、好きにやってきたんだから、最後までやり通せばいいのに、出来ない。周りが基準だから。

赤信号みんなで渡れば怖くないを大人になってもやっている。

好き勝手生きてきた人間は得する。犯罪にならないいじめのように。


胎児の時にルックスなどを弄れるとして、人間が子供に何を求めてるのかが分かる。

「それは、来ない未来だけど、重い題材だな」


デブをバカにする。でもいざ自分が太れば「年取ったらこんなもん」と逃げる。自分には甘い。

無知で、それでよくて、人を蔑むのだけは得意で。


大人が手術代ない場合、大人なのに金ないのが悪い。

子供の手術代を募金で賄おうとする親。その親は大人じゃないのか?

手術代もなく産んだ大人と、手術ない家庭持ってない大人の違いとは。

大人より子供、子供より有名人政 治家を優先される。

命は平等である。

「皮肉屋だなぁー」

「命は平等だから、王族殺っても、チンピラ殺っても罪は懲役は一緒だよな?」

「…あっは…は」


「子供のすることだから」それは周りの許す人が言っていい言葉。

しつけもしない親が、自分の子供の責任からすら逃れる。

「誰だって間違いはある」も同じ。

被害者は心に傷を負う。なのにじだけ罪悪感から逃れようとする。

いじめ•浮気•前科が無い…こと。たったこの3つのことだけでも逆ギレする。

聖人君子•清廉潔白という言葉まで使って大袈裟にする。

プラマイゼロからマイナス50になった人達。いくらその人達がその後善行を積もうが被害者の傷は消えない。せいぜいマイナス10に戻るだけ。

自分の意志で傷つけておいて、じの人生終わっていない。綺麗だと思える神経。

謝罪より先に正当化。

ヤクザや風俗嬢と誰が関わりたいか?その人達を自衛の為遠ざける、区別する。それを嫌う。

犯罪者にとって住みづらいと。

でも外国には恐いから行かない。ぬくぬくと日本に住み、ハードルを下げさせる。



ーーーーー社会•会社。


自己責任でちゃんと自分の貯金切り崩して、無駄金使って損して、休職してもその人達を「逃げ」と叩く。

社会貢献してない自分を叩かず、優しい声もかけずにね。

貯金崩して生活費使ってる現実は見えず、表面だけ見て、いつもの「損は不幸は皆で味わおう」

でも自分だけ得出来る状況があったら飛びつく。平等にしたいのは自分の損だけだから。正義じゃなくて妬みで叩いてるから。

一日でも止まったら逃げてるクズ扱い。そういう人達で構成される社会。自分達こそがその人達を休職に追い込んでる空気•歪んだ思想なのに。

自由をゆとりを奪う他人。転職も叩く。「そんなんじゃ食いっぱぐれる」でも「人を叩いてる時間、働きます」とは言わない。


デモとかしてる人を「そんなことしてる暇あったら働け」と命令出来る。働くことが正義。なにも考えずに。

一般人に「無駄にダラダラ働いてないで何かを成したり、誰かを救えよ」と言うと…。

夢も一日も追ってはならない。仕事という誰でも出来るものを、

夢破れた歌手より上の立場の一般人。

だってその時間働いてきたから。

「「趣味は非生産的」って言うんだから殉死出来たら幸せなんだよ、あいつらは。一番大切な働くということ中でで死ねるんだから。あいつらにとっては過労死は偉大なる死なんだから」


稼ぐことを誇る。わざと1ランク落とした職業に就いてゆとりを持つと怒る。一般人の収入がちょっと多いぐらいで誰も何も思わない。


大家族貧乏は叩く。「金ないのに産んで」と。

自分で勝手に自分の為に家族作っておいて「あー自分はしんどい」と独身者に嫉妬する。


才能は平等じゃないと知ってるのに、苦痛だけは平等にしたがる。

自分の時間をどう使おうが自由。

生き方を制限しようとする。

嫉妬じゃないよ。でも何か社会の為、など理由つけて叩くよ。

お金より時間取って、中の中の仕事選ぶことも許してくれない他人。

人を妬んだだけで終わる人生。その人達が、奪ってくる、殺してくる。


サーフボード集めが趣味の人が千万円使った。でもギリ貧乏だとする。

その間楽しめた。今も所有している。別に借金したわけじゃなく、これからも中の下として生きていく。

それを一般人は「貯金しろ!」と叩く。怖くて使えない普通人が中の中の蓄えがあったとして、それが、なんなのか?使えない自分、からの嫉妬。

「そんなんじゃ、将来食いっぱぐれるよ。その時に尻拭いさせられるのは俺たちだよ」他人が堕落する願望。

自分が貯金があることが他人に影響を与えるのか?平凡な人生。金だけ貯めて。将来結局病気になるのに。

一般人は不摂生するから成人病のリスク高いのに。生活習慣は整えないけど、将来の医療費を何倍も貯めておく。年老いて趣味も楽しめない体になって。将来の不安から逃れる為に。

だから、趣味に使うのは悪の設定。


幸せのハードルが低い。最低限の(とはいっても中の中)金さえあれば何も派手なことが人生になくてもよい。

離婚しないかどうかだけが悩みの、所帯染みたもの。

将来クビになることだけが人間の不安材料だと思ってるから「10億あれば誰でも鬱治る」と言い放つ。

何かを重く考えたりしない。何の悩みもない無感覚人が「精神病は甘え!金のせい!」と叩いてくる。

お金の問題が無くなっても、心弱き人は、次に病に怯える。そこには金で解決できる確約はない。

「ガン家系である自分。あいつは健康な家系」ってまた他人と比べて妬む。確約がない健康にまで。

それが解決されたとしても、次は才能の無い自分が待ってる。そして良いパートナーがいない自分。いつまでも続く。


普通人は妬み続ける。

トラウマ持ちの悠真には当てはまらない。金で癒えることのない痛み。


金だけが悩みの単純な人が、金で手に入る物だけで満足する。金目当てで寄ってきた女で満足出来る。ハードルの低さ。

自分は違うから「生まれたくなかった奴なんていない!貧乏なだけだろ、人のせいにするな!」と言う。「今すぐ死ね、甘え!」

たかが金ごときで悩んで弱者ぶるけど、この世に鬱の人はいない設定。貧乏以外でこの世に悲しみなんてない。

親が痴呆症になっても「金で施設に預ければいい」

1000万円で買える芸能人の為に

頑張る人達。

最愛の妻が亡くなって、努力しようが、どれだけ金かけようが絶対元に戻らないもの。

手に入らないから頑張れない人達。「替えが効く家族」


強制で構成される社会。

「何もかも放棄した上でも、金があれば生きれるのさ…暇つぶしの為の死んでる人生を」


社会が辛くても自殺しないし、子も産む。

自分の代わりに医者をさせる、食糧供給•生活水準の為の奴隷を、社会も一般人の自分も作る。奴隷の為の人口がどんどん増えてゆく。

「人は一人じゃ生きていけない」

搾取側、生きるのが辛くない側のセリフ。

地球に100人しかいなかったら、誰も医者やってくれない、代わりに食糧取ってくれないから。

だから、誰かにやらせよう、どんどん産もう。これこそが「一人じゃ生きていけない」の実態。

誰かの生活水準の為の奴隷である自分。利用して依存すること。支配階層。全体主義。

人類が豊かに生きていく為に何十億と繁殖して奴隷作る。環境破壊、絶滅動物。野良猫を処分して、猫を去勢させて。生活水準の為に動物を殺すことも厭わない。

「人間ってこんな大きい括りでも、人を壊して、何かを壊して生きてるんだよ。人類誕生の時から」

何の為に?

一部の得する人の為。この世で生きることが楽しい人の為。その一部の人達が何の為に産むのか?人は生きるのか?


いじめから小説書いたとして「数年いじめられてただけだろ!」と一般人は叩く。

苦痛の中の時間感覚…っていうものを分からないから。

だから「ずっと働いてる俺と苦痛は一緒、もっと会社員の仕事もしてもっと苦労しろ!」と小説家に対して言う。

いじめと同じくらいの苦痛を仕事に感じている異常な社会人。

「でも、お前は苦痛や心の闇を描いた小説は書かないんだろ?」

「…そりゃあ、意味ないから。希望がないのに、書いたところで…しかもそんな内容の小説売れないし」



ーーーーーニート。


ニートのことを、前半楽後半苦。一般人は前半苦後半楽だからトントンだねって言ったら。

普段散々愚痴言っといて「一切苦なんかなく軽く仕事してますよ」と強がる。


将来絶対苦労するニート。それをほっとけない人。「今もどうしても苦痛を味わってほしい」と願う人達。今楽してることすら憎い。


たまたま報道された犯罪者がヤンキーやニートなら落ち着く社畜。

「あぁ、やっぱりヤンキーはニートはマトモな人生送れないんだ、良かった」そうじゃないと、社畜の自分は報われないから。

ニート•ヤンキーが持ち直さないことを、中の下以上にならないことを期待して生きる人。

唯一叩ける相手がそのまま不幸でいることを切に願う。


「笹田、なんかネットではニートって幼い風貌らしいよ」

「はぁ?ドキュメント番組に出てたニート老けてたぞ」

「「若く見えていいという意味じゃないぞ!気持ち悪く幼いんだぞ!」って叩かれてるよ」

下を作る為に、設定まで作る叩き側。自分は働いていて貫禄があっね老けてる設定。

疲れたことを誇る社畜側。社会は嫌なもので、疲れる。でもそんな所でしか働けない自分は叩かない。叩ける下を作る。

我慢して働いてる会社員は凄い。会社員が多数派なのに、それでもそれを誇って語れる。

自分が社会にされてる社畜化という弱いものいじめを自分もニートにやる。

ニートより長く生きられることが誇り。長く生きたところで、また働かされるのに。

社会を憎まずヤンキー•ニートを叩く。

「損論だよ」

一年でも世界旅行で楽しく過ごした人(他人に迷惑かけていない)をヤンキーをヒドイ餓死しないと許せないから呪う会社員。

結局コネで働けるヤンキー。

言っても普通に生きてきた一般人が、物凄く我慢してきて、その人達にもいじめにでもあってたかのように呪う。

事故•病気で一瞬で暗転する人生。

「なんだよお前、ニートの味方かよ?」

「だって、社会から外れて、社会にダメージ与えてるんだぜ?人を否定して社会に出てこない存在」

「はっは…イかれてたらなんでもいいのな」


「笹田。社畜は下がいないから、ニートだけを叩ける。ネットの中だけの話って言われても、ネットの中ですら人を否定するのが一般人って証拠の為にこれを俺は語れるよ」

「50万人しかいないってテレビでデータ出てたぞ」

その人と知り合いの設定。普段類は友を呼ぶと叩くのに。だから安全策取って友人の友人にいる、と更に設定を作る。

なぜかヒキコモリの風貌を知っている。

「なんで、幼いって知ってんの?その人ら」

「あっはは」

色白はヒキコモリ設定で叩く。でも上流階級や都会人が色白なのは無視。焼ける仕事してる自分を叩かない。


「そもそもさぁ、ニートっていじめられてひきこもってる人の可能性もある訳じゃん?」

精神やられた被害者のニートを叩く。社会復帰出来ても叩く。

一日も休むな論だから。過去の苦痛は忘れろ、だから。

不良は好き勝手やって、自分で産んだマイナス。不良はテレビとかでも社会復帰したら賛美される。

自分が生んだマイナスと人に追い詰められた末のマイナス。

社会復帰したのが派遣•非正規ならまた叩く。でも「ニートしてたくせに正社員になれやがって」とも叩く。


ニートの親を、働かされて可哀想と言う。上流階級が下を何倍も働かせる。家族を働かせる者、ニート。

でも他人を働かせる上流には何も言わない。

他人の糧を奪って生きるのが社会。スポーツだって他人を蹴落として上に行く。

競争相手が減ることを喜ばない一般人。


アドバンテージが働いてることだけ。

ニートが就職したら同じ一般人として並ばれるけど、どこに就職したかは確認出来ないけど、勝手に下の上だろうと、他人の職場を勝手に下に見てまた叩く。

大人である自分達がニートを叩いて子供みたいなことしてるのは目を逸らす。


消費者はどれだけ消費しても偉くない論がある。

見るだけなんて誰でも出来るから。そもそもクリエイターも消費して生きてるから。

何も産み出さないのは同じのニート、一般人。経済を少しは回してることが誇りの一般人。

誰も感動させない。

生産性のない趣味をバカにする。

でも絶対自分を下に見たくないから、「消費者•一般人のおかげでお前ら創作者が生活出来んだぞ」と吠える。

1000冊読書したことも「なんの役にも立たない暇つぶしの無駄な時間」と他人は罵る。

先人•教科書に頼る。学校の勉強をしたことを誇る。


自分自身の才能じゃなく、人にやらされること、テストの点数、会社の仕事を誇る。それで金が稼げることを。

俺よりいい作品作って人を感動させられんのか?じゃなくて、一般企業に勤める真面目な俺、それに付随する金を自慢する。

自分より金持ちなんて腐る程いるのに。

「俺らは格闘至上主義で、その世界だけでいい。世界ランクが上に行けばいいって価値観で金の稼ぎは誇らないけど、一般人は70億人いるうちの金というものだけの世界で戦っている」

「言われてみれば、会社員の価値って稼ぎだけ、か…」

才能とか勝負じゃなく、真面目に勉強して就職して、得た金というものが舞台の闘い。

欲しい物の為じゃなく、バカにされない為の、人を見下す為の稼ぎ。


「好き勝手我慢せず生きました!」と言ったにミュージシャン。

同じことを30代の死ぬ間際のニートが言ったら、絶対認めない。

自分の気に入らない人イコール好きに生きた人は、不幸にならなくちゃいけないから。

平凡が嫌で自己責任で好きに生きる者を認めない。その人達は正義側。社会にほんの少し貢献してるから。

結局ただの歯車だから景気に左右される。

ニートがいなくなったら、次は後進国の人間でも叩くのか?

目の前にいる、悪徳上司やモンスタークレーマーは叩かない。


「でもこれ全部ブラック企業の話だろ?」

「だから」

世の中を変えられないと思ってるなら尚更ホワイト企業に行けば合理的なのに、下を叩いて相対的に自分を上げる方を取ってる。

他人のせい、社会のせい。

でも他人を叩く時は「人のせいにするな!全部自分の努力不足!」

でも自分はブラック企業の被害者扱い。

「ニートに努力しなかったからニー」と叩く。「努力しなかったからブラック企業」とは言わない。

自分が属しているから、将来なる可能性があるものは叩かない。ニートやホームレスは下の下だから叩ける。

自分がなり得るものは擁護する。

それが中ちゅう。



ーーーーーー逃げ。


マトモな社会人として生きてきたことが誇りなのに、60過ぎて働いてる自分や嫁をパートに行かせてることは「社会が悪い」

売れない歌手をバカにするのに、共働き、充分な稼ぎがなくて定年後も働くのはなぜか?

将来楽する為に我慢して働いてる設定はどこへ行ったのか?


大人であること、しっかりしてることを重要視してるのに「給料日前だから」と言える。計画性がないと普段は叩いてるはずなのに。

欲しい物もなく使わなかったから、多い貯金も誇れる。


将来逃げないという保証を持っている設定の一般人。(嫁や子供の為に逃げない)離婚した場合はどうなるのか?

将来病気になるデブは、将来性なく、自己管理も出来てない。

将来なりやすい病気がDNAから分かるようになったとして、検査結果提出義務が出来て、更に健常者だけを守り抜く社会になってゆくのか?

「体が丈夫だからって理由で相撲取りの場合は許されそうだな」


「つぶしが効く」とはなんなのか?一般人以外を叩く時に使う言葉。

プロ。人に出来ないことを出来るのが手に職であり、つぶしが効くということ。

その言葉を使って有名人を叩いてる会社員の何が、つぶしが効くのか?


楽な学生生活に戻れないから、戻りたいとは言わない。ナゾのプライドの為に楽したいとは言わない。


サッカー優勝の時だけ騒ぐ。翌日、日常が待ってるのに、都合良く騒ぐ。これは甘えた社会人じゃない設定。


逸脱出来ないのを「真面目さ」と誇る。


社会に貢献してきた老人を、今は何の生産性もないと切り捨てる。まさしく奴隷。

「沈没する時に老人より子供を優先するだろ?未来があるからって」

奴隷ロボになる未来があるから。社会を回す為の。


下を何も残さず死ぬと叩く中ちゅう。歯車•コマの自分を満足してえらいと思っているのか?

誰も救うことない中ちゅうが。

有名人様が中ちゅうを「何も残さず死ぬ」と言うと?


突然死した時「恥ずかしくなかった人生」と喜ぶのか?

余命宣告された時、将来の為に我慢してきたのに、その将来がなくなって…。

特別な人間なんて少数派だと分かっている。それでも。


「理想を追いかけるのは子供。妥協出来る俺は大人」人のことは叩ける大人。

最後の最後、泣き言•人のせいにするのはこのタイプ。大人として我慢して立派にやってきたはずなのに。

自分は絶対安泰で、他人を叩く時は不幸になることを妄想•願望する。

芸能人やニートを。


皆勤賞自慢。毎日病気しないことが自慢。健康自慢。

我慢して勉強•働けることの証拠である学歴。逃げ出さない奴隷の保証書。

それにしかしがみつけない。クビになった後残るのは社会の奴隷だった日々。

資本主義の中で楽しく発想しながら成り上がるのとは違う、昔からの、これからも続く、歯車になること。

競技人口が最も多い、一般人という社会の中で、それを誇る。比べるべき社会人同士で比べず、芸人やニートを叩く。

自分より稼ぎ上の上司などにはなぜかあまり嫉妬しない。

良い会社に入る為の通過地点である学歴を誇る。社会で何を成したかじゃなく。

クリエイターや料理人のように直接評価されることも感謝されることもない、自分の為だけに稼ぐ人。


学歴自慢がムカつくのは道理が通ってないからで、嫉妬•コンプレックスからではない。

その証拠に基本一流企業の人間は話題に上がらない。ただ稼ぎ良さそうと軽く褒められる。

通過点•免許•保証書である学歴を誇るから叩かれる学歴至上主義。

アスリートが9年活躍しても今の1年スランプならバカにされる。

9割成功し続けたことを褒めず、“今“というものが異常に重要で、今落ち目だから叩いてもいいっていう設定。

一般人に置き換えると、今の職業•手取りを自慢するんじゃなく、過去の学歴自慢するから反論される。

東大出身は上の上に就けるとして、東大出身なのに上の下の職に就いた場合、本人も親戚も学歴を自慢する。

上の上の仕事に就けたことを自慢できないから、“終着点“を自慢出来ないから、小中高大社の途中を自慢する。

だから大学失敗した人の心の拠り所は一流高校。

上の上の職場で、上の下の学力の人間がいた場合、「学歴下なのに仕事できてすげー」という逆転現象も起きる。

逆にその中で序列を作る人も。上の下と同じ仕事を自分がしてても見下す為に学歴自慢する。

一流企業に勤める為に頑張ったから東大に行ったのに、職場を誇らない。

そもそも学歴がないと一流企業に就職出来ないんだから言う必要がない。ならなぜ自慢するのか?今自分が失敗したからではないのか?過去の栄光に縋る。でもアスリートはスランプ時叩きまくってよい。



ーーーーー自分の損は平等に。


有給取る、出世より自分の時間•余裕を取る、自分を労わる正しい若者。

それを、自分が臆病で有給すら取れないから損した気分になるから、あいつだけ楽でムカつくから、社畜が「そんな奴は将来駄目にぬるよ」とまた自分の心を守る為に人を叩く。

自分の生活が向上するわけでもなくても、人に同じ苦労を強いる他人。

いつも通り「将来食いっぱぐれる」という願望を垂れる。

誰にもわからない未来の話。他人が落ちぶれる願望。

自分の未来ななぜか安泰設定。クビにも病気にもならない設定。

自分の気に入らない、今負けている人。

他人の得が嫌い。自分で掴み取った得でも。

「自分は他人の目を気にして行動出来ないのに、あいつだけ!」を大人になっても続ける。

自分が奴隷だったから、自分だけ損したくないから。得する世代なんて許さない、休ませない!の精神。

そこまでして休まさないんだから、そりゃあよっぽど、自分は誇れるぐらい仕事頑張ってるんだなぁと思いきや。

周りが基準なので、効率悪いダラダラした、いかにも日本の中小っぽい働き具合。社会の為になってない自分。だってただ人に得させたくないだけの怠け屋だから。だから合ってるはずの実績至上主義は嫌う。

自分を甘やかすから。

自分に何の才能もなくて、でも奴隷ロボやるから働かせてもらってるのに。

有給も取れない社畜の自分には未来はある設定。あるけど、満たされないからやっかみで叩く。

自分は努力はしない。会社は自分を守ってくれないのに。自分しか自分を守ってくれないのに。

自分を守る手段が周りを叩くことだけ。

奴隷ロボを自覚すると心が壊れるから。

自分の体の為に有給取ってあげない。

会社や国や自分じゃなく、得した他人を叩く。


上流は楽チン。でもそこからは目を逸らす。勝てないから、なれないから。

だから、必要以上に働かなければ非国民という考えを作る。

それを下を奴隷として使ってる上が言うんじゃなくて、中が下を叩 く。手を取り合わず。自分も上と同じように下を叩く。下だけ叩けるから。

自分が上から働かされた辛い思いを自分で止めるんじゃない。

上と中に二重に叩かれる下。


得する人が憎すぎてとうとう芸能人にまで質素な生活しろと命令する。

普段才能ない自分達を「お金ちゃんと使って経済だけは回してるから」ということで心を保ってるのに。


風邪ひいてしまった自分の不摂生は叩かず。

風邪ひいて休めない世の中を叩かず「休めないのは社会人として当たり前のさなんだよ!」と主婦や学生に当たり散らす。

正しくもないことを、その世界に従じてる自分が上から言う。


替えが効くロボットなのに一日も休んじゃいけない。何も変わらないのに。

プライドを守る為、会社員の仕事を特別視する。

上流階級の為、上流様の為にせっせと一秒でも多く働こうとする奉仕欲、自己犠牲精神。


でも実際同僚が働き者だったら、自分も見劣りしないよう頑張らなきゃいけなくなるから、煙たがる。

「これが証拠だよ。人を見下す為であって、社会貢献という正義は建前だって」


ミスした人間をストレス発散の為異常に怒る。逆なら逆ギレ。

優しい側が一方的に損をする。「だから俺も怒鳴る」のが一般人。


真面目さじゃなく、接待ゴルフが大事。それを媚びうる汚らしい奴という評価にはならない。たかが会社員を褒めてくれるのは部下だけだから。よいしょでしかなくても喜ぶ。


新人が正しいことを言っても何の得にもならないのでストレス発散がてら怒鳴る。社長がどれだけアホなこといっても媚び売る。裏ではバカにする。そんな所でしか働けない自分はバカにしない。


「この業界にいられなくしてやる」と小学生みたいなこと言う権力者は叩かない。

それに立ち向かう人を「怒ったら子供」と制して追い打ち。

異常な人とそれでも大人だから我慢しなきゃいけない。

被害者側は被害者になるくらいの常識人だから「大人じゃない」と更に叩ける。

正しはしない。闘いはしない。

正しいことから逃げる大人。それをまた「大人になれた」と嘯く。


いじめ•しごきをしてくる上司•先輩を正さず、いい人側を「我慢しなきゃ社会人じゃない」

理不尽は正さない。妥協が正義。

自分が上司にやられっぱなしじゃ損するから、下の者に同じことをする。自分達がその理不尽側になる。善人側も叩けて、下をいじめられる。

優しさがないから。自分達の世代で止めようとはしない。

損した気分の方が上回る。手を取り合わず、

他人は他人と業務的に距離取ったりはしない。

折角叩ける下だから、いびる為になぁなあのフレンドリーさを作る、近づく。

システマチックだと何も諍いが起きない。でも暇だから叩く為に、ビジネスライクは嫌う。

暇つぶしの為の部下•後輩。

社会人になっても学生の時と同じように、無遠慮に関わりいびる。

人を楽しませるんじゃなく、いじる。

他人を奴隷として使う資本主義。他人を発散の為に使う一般人。


プロレスラーがしごくのは、お客さんの前から逃げださないように精神を鍛える為。

部活はストレス発散の為。

かといって本当に辞められたら部が存続出来なくてヒヨる。

帰宅部になったりせず、その“部活という居場所“を必死に守って居座り続ける。


自分がしたい仕事に就けたサラリーマン。

「サラリーマン長年続けられてるってことは、サラリーマンの才能があって良かったね…。でも大半の時間をいびりに使ってる。学校も会社も」

嫌なことが仕事のサラリーマン。好きなことが仕事の芸術家。

人間の意味。

アイデンティティーが会社にある会社員。

社員証という紙切れが大切。自分自身でも自分の才能でもなく。

「会社を辞めても僕は僕だよ」

自分で自分を慰める。会社以外にアイデンティティないのに。

使い捨て•捨て駒•社会の歯車•替えの効く人材。

学校や周りがアイデンティティ。自分はない。

でもその自分に自信が持てるのは、有名人•クリエイターしかいない現実。

科学者•芸術家以外何も産み出さない。非生産的。人も救わない。何の為に生まれてきたのか。

他人を蹴落とし、自分を磨かない。

社会の厳しさイコール理不尽。

上司やモンスタークレーマーに会ってやっと苦労して大人になれる。

いじめや虐待は苦労じゃない扱い。


「俺たちは底辺の人間だから、底辺の例•人間しか出ない、出せない。 普通が分からない。その普通が叩いてくんだけどな」



ーーーーーーー会社。


生まれてからずっと学校に縛られ、会社で働き続ける。

風邪で休んで家で少しゆっくりしただけで、罪悪感を抱く程洗脳されきった人達。

旅も有給もフリーターも駄目。だから不労収入を叩く。

なれるんなら自分も望むくせに強がりで「働くということが大事」と偽善的なことを言い出す。誰を救うでも変えるでもなく、一般人の仕事を「働いていること」を拠り所にして得してる不労収入より自分を上と思い込む。

労働がそんなに素晴らしいなら満たされてるはずなのに、他人を気にする。

そこまでして働かされる社会を憎むんじゃなく、建前に使う。


無感覚が正しい世の中。馬車馬のように働かされ、心も体も免疫力も強くないと叩かれ、殺される。

ブラック企業。

家族が亡くなって塞ぎ込む、後追いするひとを「感受性が強い優しい人間」と評せず、すぐ弱る、淘汰されるべき人間と叩く。

社会が回る為の人材。悲しむことも出来ない状況。麻痺した人達。

人を人扱いしない社会。

目の前で人が死んでもPTSDにならず、ケロッとして働き続ける人間が偉い社会。

それは人間なのか?

「鬱も甘え」だから、かといって、自殺しても何も認めてもらえない。

そんな社会で生きる自分。それでも生きていける自分は自殺した奴 より偉い…と。

人の痛み•気持ちが分からない方が正解。


会社のイメージの為に通勤途中にイヤホンも着けてはいけない会社員。

上司よりいい車•スーツをもっては、稼いではいけない。

だから、車好きでも、通勤用にしょぼい車もう一台用意しなきゃならない。

買う物も通勤途中も制限される哀れな会社員。

「だって、その世界を自分で選んだんだから。逆の奴って、いっそのことプロレスラーになって、社長より目立つスーツ着るとかかな」


「上司と話を合わせる為にゴルフ見てる俺は賢い」プライベートまで拘束されて。我慢してる自分は直視しない。話を合わせられない同僚をバカにする。

人の下について媚び売ってる自分は叩かないのにね。

生徒時代は冷めてることが、言うこと聞かないことがかっこよかったのに、その辺のオッさんに熱く合わせ、媚びる。


成人したら、服装も趣味も変えましょう。いつまでも若い気でいたら駄目。必要なくても一人暮らししましょう。


芸能界でもないのに、ウチを選んだ理由を聞く面接官。

ロボット同士で査定し合う。

逆にこの会社に入ってどんないいことがあったのか述べてみてほしい。

嘘を言い合う面接。嘘の上手な人間で構成される社会。

有言実行出来なかった場合、クビルールだったらいいのにね。スポーツの世界みたいにさ。


上司と自分が選んだ業種の関連社長に服従する会社員。

画家だったら、尊敬してる師匠だから耐えれる。

でも、会社員は年が上なだけなどうでもいい大人を尊敬しなきゃいけない。


通勤時間が長いことをバカにする。

でも自分を上げる時は苦労自慢になる。苦労してるから偉い。


「大人になった。成長出来た」って、媚び方を覚えただけだろ?それを自分の成長。媚びなくていい有名人には嫉妬。


自分が妥協したもの。「大人になれ!」と逃げる。

大人っていうのは何の才能も逸脱する勇気もなくて、我慢して妥協するものだよ、それが何十億いるけど、大人になれたことを上から目線で言える。


ムカつくものは社会の建前で叩く。それで逃げるから。逃げる時は「社会なんてそんなもん」


子供の時には止めてた周りの喧嘩を大人になると見て見ぬ振り。退化してる。


下ネタ•セクハラ•タバコ当たり前の上司。


スポーツ選手にとっての、栄養学•技術論みたいに自分に役立つものじゃなく、謎の勉強というものをやってきた一般人。勉強をしてきた努力を認められる奴隷ロボ。

学校の勉強が必要な一般人の仕事。専門技術が必要なクリエイターの仕事。


自分が選んだ道なのに愚痴を言う会社員。ミュージシャンが何か辛いと言うと「自分が選んだ道だろ!文句言うな!」自分達は許される。


作られたロボ、大人。子供と違い一人で生活できるが、拘束時間は学校も会社も一緒。子供じゃ出来ない仕事。

自分の食い扶持の為の働きが責 任。


テストの時代は過ぎ去り、テレビからの情報だけ頭に入れる。本当に言われたことしかできない。受け身のみの人生。


病気になりたくないからプロレスラーのような生活せず、普通の生活してるはずの一般人。

結局メタボになり、成人病になり、喚く。

アスリートと違って疲れてなくて、夢追ってなくて余った時間。余裕あったはずの日常で予防せず、自堕落な生活する。直面すゆまで分からない。

成人したら好きに食って、酒•煙草。成人病になる。これを大人じゃないとは叩かない。自分達が含まれるものは絶対叩かない。


社会で我慢して働いてる。だからダイエットも出来そうなのに。

芸人の卵みたいに「楽して働きたい、一発当てる」タイプが出来ないのは分かるが。

結局一般人は勇気がなくて渋々我慢してるだけの、強制されなきゃ何も出来ないから、自分では何も決めないから。

嫌々働く本当は我慢出来ない一般人。だからダイエットも成功しな。

一番大事な努力をしないと手に入れられない金で詐欺ダイエットサプリを買う。夫の金だからバンバン買える妻も。

サプリが無駄だったと、今までの自分を否定したくないから、サプリ効かない論に反論する。

「無駄な努力しちゃって」と夢追い人を叩く一般人が。


塾程度の努力で「将来楽できる」と束縛する一般親。

普通の仕事しか出来ないように根回したいけど、一般人だし出来ない。

金持ちの親の方が最後職を与えてあげられるから適当に芸能人とかさせてくれる。自由。

金こそが自由になれる唯一の方法。

貧乏人は貧乏人のまま子供産んで、上から目線の説教かまして自由を狭める。


将来餓死する恐怖から逃れる為の自分の為の労働であって、老後衰えた体で何も楽しめない。

それをまた、自分のプライドを守るため「周りのバカと違ってちゃんと金はある!」

楽しい老後が待ってると自己擁護。

自分を守る手段は他を叩くこと。

一般人のかっこつける必要のない自分のプライドを守る。

芸能人すら叩く。下に見られたくないから。

そこまでして守らなきゃいけない程の何かを抱えている一般人。

何から何を守っているのか?


社会主義のように助け合う会社員。資本主義の中で仲良しこよしで給料もらう。


「人に恥ずかしい人生じゃないように」という逃げで何も行動しない。でも人を叩くことはする。


最初から怯えたまま、公務員になれることが確定したら解放されるストレス•人生。

夢の為じゃなく、将来の不安を抑える為の人生。

親は食いっぱぐられるのが嫌で子供に夢を見させず、公務員にさせようとする。

子供にも将来の不安からの解放の人生を歩ませる。

自分が金持ちだったら、養ったり、夢の応援、設備整えてあげられたりもする。

「子供には自由な人生を歩ませてあげよう」じゃなく、辛気臭い人生を遅らせる。

ならなぜ産んだのか?

将来安泰が確定するまで怯えて夢をおわず、公務員を目指す、安定の為の人生を送らせる為に子供を産む親。

餓死されるのが嫌だから、道を修正してあげてるって言い分。

人生の目的。

公務員になる為の人生。まさしく社会の歯車。

その歯車を自分も生み出す立派な親。社会の為に生きる人間。

何も成さず、子にもそれを強制する。

自分の命より大事な子供。

「将来安泰を目指せさせる為に産むって変じゃないか?なら産まなきゃいいって言ってはいけないのか?」

この世に楽しいことがあって、それを自分の子供にも味わってほしいから産んだんじゃない。

社会はきつい。でも産まれてしま ったからには、安定を目指してくれ。


人に「夢を見るな!」と言い、自分も諦めて、逃げた先なんだから簡単であるはずの会社員の道。そこでもトップを取れず燻っている。「昇進なんて夢だよ!諦めろよ」と同じ意味合いの言葉を言うと?


物語でファンタジー世界に飛ばされた主人公が魔王倒す。すると元の世界に戻れるってあるだろ?

あいつらがファンタジー世界から帰ってきて何するか知ってるか?勉強だよ。どんな体験しようが、現実に縛られたまま。他人の為の労働から逃れられない理。

スポーツ選手だって、何か成し遂げたところで、国から金がいく訳じゃない。一から仕事。

ファンタジー世界に主人公が残ってたところで、雑用やらされる。

世界を救えるのが“その人一人だけ“だったとしても。

その功績を讃えて一生遊んで暮らせる訳じゃない。世界を救っても。一般人にできないことをして人に夢を見せたアスリートも一般人と同じように働かなきゃいけない。歌手は印税があるけど。

退役軍人だって、シェルショックに悩まされ、普通の仕事をやらされる。

国を守っても。人ができないことが出来ても。何百人分の働きをしようが。

結局一人の救世主を優遇せず、王様と民衆に回す。何の意味もない、世界を救えない庶民に回す。

一般人側が救世主や特別な存在を支えない。楽しみを夢を平和さをもらってるのに。

社会人という言葉。社会人にならなきゃ生きていけないのに。

特別人じゃなくて、社会の歯車人。



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