七話 姫様からのお礼
「...よし。新木殿。着いたぞ」
馬車に揺られること十八時間強俺が降りるべき街。クルベィード街に着いた。馬車本当に早い。馬って偉い。
「はい。わかりました」
俺は鞄を持って外に出る。
すると、そこにはレンガ作りの家。いわばヨーロッパのような光景が広がっていた。
「おぉ...すごい」
俺が思わず感嘆の言葉を呟くとアレンさんは笑った。
「まぁー確かにクルベィード街はアルドニア王国の二番目の大都市だからな。しかし王都もっとすごいぞ。なんせこれの三倍くらいの規模があるからな」
「三倍!?本当ですか!!」
東京と比べると駄目だが、この街でさえ、俺が住んでいたところよりも栄えている。
「あぁ。本当だ。しかも魔法技術もかなり進んでるからな。なぁに直ぐに来ることになるさ」
アレンさんはそう言って笑う。魔法か・・・少し興味がある。
「あはは、そうですね・・・」
俺も思わず愛想笑いか苦笑か分からない笑みを浮かべてしまう。
王都には行きたいけど城には行きたくないんだよな...まぁ、そんなワガママは言えないんだろうが。
「新木ー本当にこの街で住むのー?一緒に王都行こうよー」
そう言ってリーシャは俺の袖をくいくいと引っ張る。
何だかんだ言ってリーシャが俺と一番仲良くなったのかもしれない。たぶんリーシャがいなかったら、たぶんこんなに四人と信頼関係を築くことはなかっただろう。
「駄目だよリーシャ。新木さんにも色々事情があるんだよ」
そう言ってアドレナはリーシャを嗜める。
アドレナは...うん。可愛かった。以上
「新木殿くれぐれも気を付けろよ。治安は安全と言ったが、比較的安全というだけで、ちょっと路地裏に入れば何がいるかわからないからな」
アレンさんは少しだけ不安そうに俺を見る。アレンさんは常識があまりわかっていない俺が心配なのだろう。
「わかりました。それでは行ってきます」
そう言って俺は頭を下げる。
「しばらくしたら、城の招待がくる。それでは気をつけてくれ」
そう言ってアレンさんは手を差し出してくる。俺はその手を取りしっかり握った。
「じゃあね!!新木!!」
リーシャもぶんぶん手を降ってくる。
「新木さん。ありがとうございました」
アドレナは礼儀正しく御礼をする。可愛い。
俺は歩き出した。
「新木さん!!」
少し歩き出したとき声が聞こえた。振り返ると、そこには姫様がいた。走ったのか、息も少し切れていた。
「なんでしょう?」
俺がそう言うと姫様は少し頬を赤らめて、口を開いた。
「この5日間ありがとうございました!!私救われました!!とても楽しかったです!!」
そう言って姫様は頭を下げる。そう言って姫様は直ぐに馬車に走って行ってしまった。
「...まぁ、お礼をいわれるって言うのは嬉しいものなんだな」
俺はそう呟いた。
「よし、じゃあまずは冒険者ギルドだな。」
寂しさを誤魔化すように独り言を言って、姫様たちに背を向けた。アレンさんにおすすめされた冒険者ギルドに向かっていった。